
海老の発酵調味料「蝦醬(かしょう)」を調べ自作に挑戦!
皆様は蝦醬(かしょう)をご存知でしょうか?
蝦醬は海老を塩漬けにして熟成発酵させた調味料です。
海老と塩だけで旨味たっぷりの調味料になるのです。
今回は、1年かけて熟成させる蝦醬作りに挑戦します。
【目次】
1.蝦醬(かしょう)とは?
2.アジアのいろいろな蝦醬
3.作る前に本物の蝦醬を知る
3ー1.【蝦醬その1】中国産蝦醬(シージャン)
3ー2.【蝦醬その2】タイ産ガピ
4.蝦醬の偽物に注意
5.材料の入手法
6.蝦醬を仕込む
7.蝦醬チャーハン作る
8.蝦醬チャーハンをいただく
9.蝦醬の余談
10.まとめ
11.動画で説明
蝦醬(かしょう)とは?
冒頭にも述べましたが、蝦醬は海老を塩漬けにして熟成発酵させて作った調味料です。
蝦という漢字は海老の意味です。
だから蝦醬とは、蝦(えび)の醤油という意味です。
ちなみにこれを海老でなく魚で作れば魚醤です。
魚醤は魚を塩漬けにして作ります。
魚醤については以下の記事に詳しく書いてあるのでそちらをお読みください。
日本には魚醤の文化はありますが、蝦醬の文化はありません。
私が知らないだけかもしれませんが、調べた限りでは日本での蝦醬についての情報は見つかっていません。

日本でも蝦醬ではありませんが、アミエビの塩辛は少しですが作られています。
日本よりも韓国でよく作られてるようです。
キムチの仕込みに使いますよね。
キムチの旨味は、アミエビの発酵によるところが大きいと思います。
関係ないけど、日本のスーパーに売ってるキムチの旨味は、化学調味料によるところが大きいです。
さてそれで、海老の塩辛の熟成発酵が進んだものが蝦醬です。
発酵度合いのどこまでが塩辛で、どこからが醬なのか、明確な境界線はないです。
とにかくエビの塩辛の熟成発酵が進んだものが蝦醬です。
アジアのいろいろな蝦醬
アジアにはいろんな蝦醬があります。

カンボジアやタイでは「ガピ」と呼ばれる調味料がそれです。
カンボジアやタイでは「ガピ」
ベトナムでは「マム・ロク」
インドネシアでは「トラシ」
マレーシアでは「ブラチャン」
などなど、それぞれ呼び方も違えば、製法も違って、蝦醬だけでも様々なバリエーションがあり、言い出したらキリがありません。
作る前に本物の蝦醬を知る
まずは完成品の蝦醬を仕入れて実際に味わってみようと思います。
今ではネット通販で世界中の食材が指先一つで家に届きますから便利な世の中になりました。
というわけでタイプの異なる2種類の蝦醬を入手しました。
【蝦醬その1】中国産蝦醬(シージャン)

中国産の蝦醬です。
中国語で蝦醬をシージャンと読みます。
えびみそという商品名ですが、その下に蝦醬と明記してあります。
おそらく蝦醬という日本語はあまり知られてないので、えびみそという言葉の方が中身をイメージしやすいだろうと考えたのではないかと思います。
そして、業務用と書いてあります。
業務用は大容量のイメージですが、これは227g入りで業務用とのことです。

原材料名:小えび、塩、(一部にえびを含む)
海老で作られてるのに(一部にえびを含む)とは何やねん!と突っ込みたくなりますが、これはアレルギー物質として「えび」が入っていますよ、という注意書きだと思います。
そんなこと書いたからといって、海老アレルギーの人が誤ってこれを食べる確率は変わらないと思いますがね。

中身はこのようになっています。
味は、口の中に入れた瞬間に濃厚な旨味と海老を発酵させた香りが広がります。
私はアミエビの塩辛を食べたことはありませんのでよく分かりませんが、イカの塩辛に通じる旨味と香りでもあります。
また、アミエビを使った本物のキムチに共通する旨味と香りも感じました。
塩味も濃厚ですが、カドが取れたまろやかな塩味になっています。
これは海老の生臭さもあるので、苦手な人もいると思います。

中国では甕に海老と塩を入れ竹製の蓋を被せ熟成発酵させて作る方法があるようです。
この商品がこの方法で作られてるのかどうかは分かりませんが、中国ではこういう方法もあるのです。
【蝦醬その2】タイ産ガピ

タイ産のガピです。
英語では「shrimp paste」と言うみたいです。

原材料:オキアミ 食塩
この商品のラベルは非常にシンプルでツッコミどころは特にありません。
ただし、容器が完全に密閉されているわけでなく、蓋を閉めていても匂いが漏れ出してきます。

Amazonの紙袋に入れて送られてきましたが、紙袋を開けた瞬間からブワッと匂いを感じました。
画像はその模様を再現したものです。

これは、先ほどの中国産のものとは全く異なる色と質感です。
明らかに水分が少ないです。
味は、よく似ていますが、こちらの方がより海老の風味が濃く生臭さは弱いです。
生臭さは弱いですが、発酵臭はしっかりしているので、匂いそのものが弱い訳ではありません。

海老は水分を多く含んでいるので、蝦醬には乾燥という工程があるものもあります。
この画像は蝦醬を乾燥させてる場面ですが、この商品がこのように乾燥されているのかどうかは分かりません。
とにかくこの質感は乾燥工程を経たものだと推測されます。

容器のまま1日リビングに放置して出勤し、仕事を終えて帰宅したら、家の中に海老の発酵臭が漂っていて驚きました。
この商品は、このように容器ごとタッパーの中に入れて匂いを閉じ込めるなど、何らかの対策が必要になります。
蝦醬の偽物に注意
ここで注意しなければいけないのが、蝦醬には偽物があるのです。

ユウキ食品のえび醬という商品、これはスーパーにも売ってるので、手に入りやすいです。

ユウキ食品のサイトで原材料を調べてみると、何か色々入ってますね。
本物だったら原材料が海老と塩だけのはずです。
これは本物の海老と塩を熟成発酵させて作ったものではありません。
別にユウキ食品のこれを否定するわけではありませんよ。
本物は発酵臭がしたり生臭かったりなど、クセが強いから、そういった部分をマイルドにアレンジした商品なのだと思います。
ただ、この商品は伝統的な製法で作られたものではないということです。

また、ネット通販ではタイ産のこんな本物っぽい商品も売ってたりします。

商品情報を調べると、いろいろ入ってます。
これも本物ではありません。
だから、本物を買いたい場合は、原材料を確認しなければいけません。
原材料が海老と塩だけ → 本物
原材料が色々入ってる → 本物ではない
上記の基準は私が勝手に決めたものです。
異論があるかもしれませんが、私は一応、本物の蝦醬がどんなものか知ることができたので、自分で作ってみたいと思います。
作るのは簡単です。
魚醤と同じで、海老を塩漬けにして放置するだけです。
材料の入手法
蝦醬を手作りするにあたって、いきなり問題に直面しました。
新鮮な生の小えびが入手困難なのです。

生のアミエビをネット通販で調べると、いっぱいヒットしますが、それらは釣りのエサなのです。
さすがに釣りのエサを人間が食べても大丈夫なのかどうかわかりません。
少し迷いましたが買いませんでしたよ。

そこで、スーパーで買ってきた干し小えびで作ってみることにしました。
これでもきっと大丈夫ですよ。
アジアの蝦醬では、乾燥という工程を経て作られてる物もあるくらいですから。
だから、干したエビでも旨味が凝縮されているので、実は蝦醬作りに向いているかもしれませんよ。
では作っていきましょう。
蝦醬を仕込む
蝦醬の材料(今回仕込んだ量)
干し小えび 33g
水 100ml
塩 30g

小えびをすり鉢に入れてすり潰します。
ミキサーなどの機械を使ってもいいですが、なるべく昔ながらの方法っぽくしたかったので、面倒ですが手作業ですり潰します。

塩水も作っておきます。

ワンカップ大関の容器に粉にした小えびと塩水を入れます。

塩水が多かったので、上澄みを取り除いて、ひたひたになるようにしました。
これで仕込みは完了です。
これを1年熟成させようと思います。
1年経ったら海老の殻も溶けるみたいです。
海老の目は黒い点となってますが、それも溶けるのかもしれません。
YouTubeでいただいたコメントに、「干し海老で仕込んでも、タンパク質分解酵素が失活してるからダメではないか。」という意味のものがありました。
確かに海老を熱で乾燥させていたら、酵素が失活して海老が溶けないかもしれません。
天日干しなら大丈夫ですが、干し海老を使う場合は、どのように干されたのかという部分まで考えた方が良さそうです。
今回使った干し海老は、どのように干されたのか分からないので、1年後にどうなってるかは、そのときまで分かりません。
1年後に結果報告しますので、楽しみにお待ちください。
蝦醬チャーハン作る
蝦醬は炒め物に使うのがおすすめです。
特におすすめなのが、チャーハンです。
蝦醬チャーハンの作り方をご紹介します。

蝦醬チャーハンの材料(1人前)
ラード 10g程度
ニンニク 1かけ
ショウガ 1かけ
ちくわ 3本
卵 1個
ネギ 1本
ご飯 1膳分
コショウ 少々
蝦醬 小さじ1程度
醬油 少々
※これに使ったのは中国産の蝦醬です。

ショウガとニンニクをみじん切りにします。
ネギは適当に切ります。
ちくわも適当に切ります。

フライパンを熱しラードを溶かし、ショウガとニンニク、ちくわ、卵、ご飯を入れ混ぜます。
ご飯は、冷やご飯を電子レンジで加熱したものです。
コショウを振り、ネギを入れます。

蝦醬と醤油を入れ混ぜたらできあがりです。
器に盛ります。

蝦醬チャーハンの完成です!
蝦醬チャーハンをいただく

蝦醬チャーハンをいただきます。
めちゃくちゃウマイです!
魚介類の香りと旨味が爆発します。
この旨味は発酵によって醸し出されたものでしょう。
発酵臭と旨味はセットになってると思います。
このセットは非常にパンチ力のある味で、満足感があります。
以前、イカスミ炒飯を作りましたが、その時は、イカの量が少なかったために、磯臭さが物足りなくて少し残念な味でした。
しかし、今回の蝦醬チャーハンは、磯臭さだけでなく、そこに発酵臭と発酵による旨味も追加されて十分な威力を発揮しています。
そういう臭みがあるために、ショウガとニンニクとネギなどの薬味を効かせるとまたそれが美味しいのです。
パクチーなんかも合うと思います。
そういうエスニックな味のチャーハンになりました。
他の炒め物に使っても魔法のように旨味が広がって美味しくなりますよ。
蝦醬の余談

高2の娘は、蝦醬の匂いは亀のエサの匂いに似てるから苦手だと言って、蝦醬を使った料理を食べません。
そういった人には偽物の蝦醬が向いてるかもしれません。

また私は、アジアの現地まで行って本物の蝦醬を作る場面を見学して、現地の人がそれを使って作る料理を、実際に食べてみたいと思ってます。
そういったフィールドワークに基づいた研究というのもやってみたいです。
しかし、私の本業はサラリーマンですから、実現させるにはいくつものハードルがあり、道のりは長いです。
それでも、ありがたいことに、現代は家に居ながら世界中の食材を楽しむことができますから、家で研究を進めることができます。
しばらくは今のスタイルで研究を進めていきたいと思います。
今回仕込んだ蝦醬は、1年後に解禁としますから、その時完成品がどうなったかの動画をアップするんで、お楽しみにお待ちください。
日本には蝦醬はありませんが、地域ごとにいろんな魚醤やら塩辛が伝わってますから、皆様がお住まいの地域には、変わった魚醤や塩辛はありますか?
ご存知でしたらぜひコメントで教えてください。
まとめ

今回は、日本にはあまり馴染みのない発酵調味料「蝦醬」について調べ、中国産とタイ産の本物を実際に味わってみました。
そして、干し小えびを使って蝦醬づくりに挑戦し、1年間の熟成をスタートさせました。
蝦醬を使ったチャーハンは、発酵の旨味と磯の香りがしっかり効いた、満足感のある一皿に仕上がりました。
干し海老で仕込んだ場合、殻が本当に溶けるのかどうかはまだ未知数ですが、1年後、手作り蝦醬がどんな姿になっているのか、今から楽しみです。
動画で説明
動画では私が実演しております。
動画でしか表現できないこともあるので、併せてご覧ください。









