
納豆で肉を溶かす発酵実験|112日後にできた"肉納豆醤"が美味すぎた
生の鶏ミンチと、ひきわり納豆を合わせ熟成発酵させるとどうなるか試してみました。
夏の猛暑の中で112日間置いておくと、肉が跡形もなく溶け、まるで濃厚な「納豆コンソメ」のような極上の調味料が完成しました!
これを肉納豆醤と名付けます。
【目次】
1.肉納豆醤を仕込む(5月16日)
2.2週間後(5月30日)
3.29日後(6月14日)
4.112日後(9月5日)
5.火入れ
6.ミキサーにかける
7.肉納豆醤を試食
8.保存について
9.まとめ
10.動画で説明
肉納豆醤を仕込む(5月16日)

肉納豆醤の材料(今回作った量)
鶏ミンチ 120g
ひきわり納豆 3p(120g)
塩 24g

材料をボウルに入れます。

混ぜます。
ミンチは鶏でなくても、豚でも牛でも構いませんよ。
脂身がない方がいいです。
大豆の発酵食品では脂が必要というケースはほとんど聞かないです。
いや全く聞かないです。
大豆に含まれてる脂肪分は、味噌ならそのまま味噌の中に残ってます。
醤油の場合は、製造過程で大豆油が浮かび上がるので取り除かれます。
最近では大豆油を絞った後の脱脂加工大豆を原料に作られた醤油が多いですよね。

混ざりました。
適当な容器に入れます。

蓋をしてこれで常温で熟成発酵させます。
2週間後(5月30日)

肉が空気に触れるのはよくないなぁと思いまして、中にラップを貼って空気に触れないようにしました。
最初は、納豆菌が呼吸をするから空気が必要かと思いましたが、空気があるとカビの発生リスクが劇的に高まります。

この発酵調味料は、納豆菌に呼吸させるよりも、納豆に含まれるタンパク質分解酵素に肉のタンパク質を分解してもらうという作戦です。
だから、空気を必要としません。
そのため納豆菌の呼吸よりも、カビ対策を重視してラップをしました。
29日後(6月14日)

このようになっています。

画像を拡大してみました。
白い細かな粒のようなものが見受けられますが、おそらくチロシンの粒でしょう。
チロシンとは、大豆のたんぱく質が分解されてできたアミノ酸が結晶化したものです。
112日後(9月5日)

この112日間は、太平洋高気圧とチベット高気圧の「ダブル高気圧」の影響を強く受けたと言われ、非常に厳しい暑さでした。
我が家は京都ですが、この期間の猛暑日は44日と、暮らしにくい暑さではありましたが、発酵食品を作るには恵まれた環境でした。

さて、このようになりました。

拡大しました。
暑い夏を越して、少し色が濃くなりました。
水分が出てるようにも見えます。

開けてみると、ものすごい納豆臭です。

強烈な納豆臭!
だって夏を越した納豆ですからね。
匂いも強くなりますよ。
以前紹介した中村納豆醤と同じ匂いだと思いました。

中村納豆醤がまだ残ってるから、比較のためにこれの匂いも嗅いでみます。
これは今年の猛暑を常温放置でも腐らずに乗り越えました。
画像は作りたての時のものですが、この容器の底にまだほんの少しだけ残ってるのです。

蓋を開けます。
クンクン…
うわっ!

こっちの方がより強烈だ!
肉納豆醤の匂いを嗅いで、これがレベル100で世界最強だと思ってたところに、中村納豆醤の匂いを嗅ぐと、レベル1000くらいありました。
作りたての時よりも、夏を越してレベルが上がってます。
これは鼻がひん曲がってのけ反ってバック転するくらいの匂いです。
私はバック転できませんよ。
例えですからね。

表面のラップをめくりました。
匂いは納豆臭だけで、肉の発酵臭や、肉の腐ったような臭いはしません。
火入れ

生の肉を使ってるから火入れをします。
鍋にこれをぶちまけ、加熱しました。
加熱すると、肉はほとんど溶けて液体のようになり、カプチーノみたいに泡が出ました。
肉醤の時と同じです。
この肉醤は、お肉で作る醤油のことです。
上記リンクのレシピは私が考案したものです。
そしてしばらく沸騰させて火を止めました。
匂いは納豆臭ですが、火を入れたから強烈になったとかそんなこともありません。

完全に冷めました。
泡はおさまりました。
お肉はほとんど溶けて液体になってますが、納豆は原型のままです。
そして、この段階でちょっと味見してみました。
メチャクチャ美味いです。
一言で言うと納豆コンソメです。
コンソメと言っても粉末のコンソメをイメージしてはいけませんよ。
ちゃんとしたレストランで出てくる、お肉から出汁を取ったコンソメを濃縮したような味です。
それと納豆の味が混ざり合った感じで、めっちゃ美味いです。
これを濾過すると澄み切った液体の調味料が取れるでしょうけど、納豆の粒と少しの肉のカスが残ってしまうのがもったいないので、ミキサーにかけてペースト状にします。
ミキサーにかける

ミキサーにかけました。

適当な容器に入れます。
ミキサー容器からなかなか落ちてきません。
ミキサーにかける前は、ほぼ液体になってるかと思いましたが、固さなどは味噌だれと同じくらいになりました。
要するに中村納豆醤と同じような質感です。

というわけで、肉納豆醤が完成しました。
肉納豆醤を試食

では、完成した肉納豆醤を味見します。
やはり納豆コンソメです。
ミキサーにかける前に舐めたときは、納豆の粒が残った状態だったから、先にコンソメを感じてから、その後に納豆の粒を噛んで納豆の味を感じました。
このように味に時間差がありました。
これは口に入れた瞬間からコンソメと納豆が同時に来ます。
時間差なしですが、納豆の味には持続力があります。
コンソメ味は唾液とともに流れ去っていくのですが、納豆の味は粘りのためか唾液には簡単に流されずに持続します。
このように後味には時間差があります。
そして、中村納豆醤とよく似てます。
原材料の半分が中村納豆醤と同じ納豆ですから。
両者の質感はほとんど同じです。

中村納豆醤も舐めてみます。
こっちは納豆のレベルが段違いです。
納豆道を極めています。
超極道納豆と言えるでしょう。
肉納豆醤を食べた時点で、その納豆臭が最高に強烈だと思ってるところに、はるかにレベルの高い中村納豆醤を食べると、一瞬脳がバグります。
しばらくしてから、中村納豆醤の方がはるかに強烈であることを脳が理解します。
それでやっと納得してバグが直ります。
まとめると、肉納豆醤は、納豆とコンソメの上品で濃厚な味がガツンと来てめちゃくちゃ美味しいです。
そして納豆の味だけが持続します。
納豆臭はとても強いです。
でも中村納豆醤ほどではありません。
保存について

これはお肉も混ざってるから冷蔵保存しようと思います。
中村納豆醤は、常温で大丈夫でした。
熟成期間も夏を越し、完成後も夏を越しました。
納豆パワー恐るべしです。
次回は、肉納豆醤を使った料理をいくつか試してみたいと思います。
まとめ

肉納豆醤は、鶏ミンチとひきわり納豆を合わせて112日間熟成発酵させただけで、肉が跡形もなく溶けて「納豆コンソメ」と呼びたくなるほど濃厚な調味料に変わりました。
味はレストランで出てくるお肉で出汁を取ったコンソメを濃縮したような上品さと、納豆特有の粘りある後味が同居していて、口に入れた瞬間から両方が同時に来ます。
また、今回改めて中村納豆醤と食べ比べてみると、肉納豆醤でさえ強烈だと思ってた納豆の強さも、中村納豆醤の方が圧倒的すぎて驚きました。
発酵調味料は本来「大量に採れた食材を保存するため」に生まれたものです。
今回のものはそれとは違い「現代の発酵の知識をもとに、こんなのどうだろう?」という探究心から生まれています。
今後もこうしたアプローチで新しい発酵調味料に挑戦していきたいと思います。
面白いアイデアがあればぜひコメントで教えてください。
動画で説明
動画では私が実演しています。
動画でしか表現できないこともあるので併せてご覧ください。







