
猫じゃらし(エノコログサ)を美味しく食べる方法を探求する
猫じゃらし(エノコログサ)は食べる事が出来ます。
今回は、どのようにすれば美味しく食べる事ができるかを探求したレポートです。
【目次】
1.猫じゃらしの収穫
2.猫じゃらしという植物について
3.最も手軽な食べ方
4.脱穀
5.籾ずり
6.炒る
7.炒り猫じゃらしをアレンジする
8.猫じゃらし茶
9.猫じゃらしを使った2品の味
10.パフ再挑戦
11.猫じゃらしコーヒーを作る
12.まとめ
13.動画で説明
猫じゃらしの収穫
ここは京都の鴨川です。
ここの河川敷に、このように猫じゃらしが生えています。
これを収穫します。
河川敷でなくても道端でも何処でも生えてるので、好きなところで収穫してください。
道端に生えてるものは、犬にオシッコをかけられてるかもしれないので、私は河川敷のものを収穫しています。
オシッコかけられていても洗えば済みますよ。
けど、かかってない方がいいでしょ。
これだけ収穫しました。
猫じゃらしという植物について
猫じゃらしの正式名称は、イネ科のエノコログサ属のエノコログサという植物です。
粟(アワ)の原種になります。
粟とは、穀物の粟です。
粟は、イネ科のエノコログサ属のアワです。
エノコログサとアワの関係図です。
このようにエノコログサとアワは近親種なのです。
だから、猫じゃらしは粟と同じように食べることが出来ます。
最も手軽な食べ方
まずは、最も手軽な方法で食べてみましょう。
10年くらい前に読んだ本ですが、子供向けのアウトドアの本に書いてあった食べ方です。
その本には、猫じゃらしを火で炙ると、ホップコーンのように弾けて、それに醤油を付けて食べる事ができると書いてありました。
その方法を試してみます。
ガスコンロの火で炙ります。
表面の毛は取り除く事は出来ないので、燃やしてしまいます。
まずは毛を燃やし、それからじっくり炙ります。
おっと、先端を燃やしてしまった!
燃やした先端は切り落として、醤油を付けて食べてみます。
モグモグ…
不味そうだと思ってませんか?
味は…
どうかと言うと…
マズイです!
餅の真っ黒けに焦がした部分の味がして、口の中に硬い皮というか殻の繊維質が残ります。
なかなか厳しい味です。
これはきっと焼き過ぎだったのでしょう。
もう1度挑戦してみます。
今度は焦がさないように慎重に焼きました。
醤油を付けて食べます。
硬い草を食べてるみたいです。
草と言うか、草の皮と言うか、草の殻というか…
要するに人間が食べるものという感じはありません。
本当に火で炙って美味しく食べられるのでしょうか?
本にはそう書いてあったのです。
もし、その本を書いた人がこの記事を読んでいたら、上手な焼き方をコメント欄で教えてください。
そうでないと話を盛ってたとしか考えられません。
よろしくお願いします。
さて、手軽な食べ方は置いといて、少し手がかかりますが、粟と同じような手順で食べることにします。
脱穀
脱穀(だっこく)とは穀物を穂から取り外す事です。
まずは、猫じゃらしを1週間くらい干しました。
指で穂をしごいてみましたが、うまくいきません。
割り箸で挟むようにしごいてみると、結構いい感じに脱穀できます。
もっといい方法は無いかと思い櫛を通してみようとしましたが、上手く出来ませんでした。
猫じゃらしを脱穀するには、割り箸でやるのが現時点で1番の方法です。
これだけ脱穀できました。
1円玉と粒の大きさを比較してみます。
えらい細かい粒ですね。
もし、これを生きていくためのエネルギー源にしようと思えば、想像も付かないくらい大量に収穫しなければいけません。
これを食べて得られるエネルギーと、これを収穫して食べられる状態まで加工するエネルギーを考えると、どちらの方が多いのやらというレベルですね。
籾ずり
籾ずりとは、臼などですって、籾殻を取り除く事です。
籾ずりができたら、ご飯と一緒に炊いて、猫じゃらしご飯として食べる事も可能です。
我が家に臼なんてありませんから、別の方法でやってみます。
まずは板の上に広げます。
上から別の板で挟んで擦ります。
少し擦ってみましたが、全く擦れてないようだったので、体重をかけて擦りました。
全く籾殻は剥がれてません。
次はすり鉢を使ってやってみます。
全く籾殻は外れてないどころか、粉々に潰れてる物も見受けられます。
これではダメです。
籾ずりは止めにします。
炒る
フライパンで炒ります。
炒るとポップコーンみたいに弾けてパフが出来るので、パフにして食べようと思います。
10年前に猫じゃらしの研究をした時にパフにしたことがあります。

これは、その当時の画像ですが、猫じゃらし茶を作ろうとして、脱穀も何もしていない状態の猫じゃらしをフライパンで炒りました。
そしたら、パンッ!パンッ!て弾けてパフが出来ました。

これがその時にできた猫じゃらしパフです。
たったこれだけですが、猫じゃらしパフが作れるという事は証明済なのです。
今回は脱穀したものを炒りますから、もっと沢山のパフが出来るでしょう。
弾けて飛び散らないように蓋をして、均等に熱を加えるためにフライパンを揺すりながら加熱します。
こんがり焦げてきました。
そろそろ弾ける頃でしょう。
と思ったのですが…
しかし…
全く弾けません。
もう少ししたら弾けるだろうと思いながら続けましたが、これ以上やったら真っ黒焦げになるだけという段階まで来たので、やめました。
猫じゃらしパフの失敗です。
失敗の原因は、推測ですが、今回の収穫時期が8月前半だったので、猫じゃらしが未熟だったのでしょう。
10年前の実験では9月後半に収穫してました。
9月後半になれば種として成熟して、パフになるのではないかと思います。
ところで、この焦げた猫じゃらしは、炒りごまみたいな匂いがします。
炒り猫じゃらしをアレンジする
どうせ、このままでは食べる事は出来ないので、炒りごまのようにすり潰してみようと思います。
すりつぶしました。
そこに、ピュアオリーブオイル(大さじ1)
マヨネーズ(大さじ1)
酢(小さじ1)
醤油(小さじ1)
砂糖(3g)
塩(ひとつまみ)
加えました。
混ぜます。
混ざりました。
何か適当な容器に、入れます。
猫じゃらしドレッシングが完成しました。
まさかのドレッシングになりました。
これは私の胡麻ドレッシングのレシピを参考に、胡麻を猫じゃらしにアレンジして作りました。
そんな訳でドレッシングを作ったのだからサラダを作ります。
レタス・トマト・茹でたオクラを盛って、猫じゃらしドレッシングをかけました。
これの味は後述します。
猫じゃらし茶
野草は乾燥させて茶にすると大抵美味しいです。
猫じゃらしも例外ではありません。

脱穀した後の猫じゃらしの穂と藁を適当に切ってフライパンで炒ります。
ある程度こんがりすればいいです。
これで茶葉が完成です。
焦がし具合はお好みでどうぞ。
これは、どちらかと言うと浅炒りです。
もっと、ほうじ茶と同じ色になるまで焦がしても大丈夫です。
鍋にお湯を沸かして、茶葉を入れ、火を止めて蓋をして、15分程度蒸らします。
15分くらい経ちました。
蓋を開けてみると、いい色が出てます。
グラスに、氷をどっさり入れ、茶漉しを使って注ぎます。
猫じゃらしアイスティーの完成です。
猫じゃらしを使った2品の味
猫じゃらしを使った2品をいただきます。
まずは、猫じゃらしアイスティー。
ゴクッ!
美味いっ!
麦茶のような番茶のような味です。
種の部分は麦茶に似た香ばしい味で、穂や葉の部分は番茶のような味です。
だから麦茶と番茶をブレンドしたような味がします。
夏にこのように冷たくして飲むとおいしいです。
もちろんホットで飲んでも美味しいです。
家族も普通に麦茶を飲むような感覚で飲んでました。
猫じゃらしドレッシングを使ったサラダ。
これもウマイです。
炒った猫じゃらしの香ばしさが効いてます。
この香ばしさは、麦茶の香ばしさに似ていて、コーヒーの香ばしさにも似てます。
香ばしさがマヨネーズと混ざる事によって、カフェオレの風味に少し似てます。
本当に美味しいです。
当然ですが、今までに食べた事の無い味です。
特に高校1年の息子が、このドレッシングを大絶賛でした。
先ほどリンクを紹介した、私が6年かけて到達した胡麻ドレッシングよりも美味しいという評価でした。
そんなに美味しいと言ってもらえるのは嬉しいのですが、作るのが面倒すぎるので、頻繁に作るのは難しいですね。
パフ再挑戦
10月2日に鴨川にやってきました。
失敗したパフは、8月7日に収穫したものでした。
8月では実が成熟してなかったためにパフにならなかったと考えました。
10月2日に収穫した物なら大丈夫でしょう。
このように自らの重みで垂れ下がるほどに実がぎっしり詰まっています。
これなら大丈夫でしょう。
これらを収穫しました。
収穫してから知りましたが、猫じゃらしにも種類があります。
右側の茶色い毛のものはキンエノコログサ。
左側の緑色のものはアキエノコログサと言います。
今回は、両方を収穫しましたが、品種ごとに区別せずに一緒に調理します。
1日干してから脱穀しました。
粒の大きさを見てみると、明らかに10月2日に収穫したものの粒が大きいです。
フライパンで炒りました。
今回は、明らかにパンパン音をたてて弾けました。
写真では弾けた様子が分かりにくいので、以下に動画を貼り付けます。
このように見事にパンパン弾けました。
完成品がこれです。
拡大して見てみましょう。
あまりパフらしくありません。
弾け度合いが中途半端のようで、これはパフとは言えません。
これだけ成熟した実を使ったのに上手く出来ませんでした。
残念ではあったのですが、匂いは炒りごまのような、麦茶のような香ばしく良い香りなのです。
そして、この香りにそっくりなものを思い出しました。
イタリアやイギリスでは、大麦を炒って焦がしたオルゾーコーヒーという飲み物があります。
この猫じゃらしも、オルゾーの香りに似ています。
オルゾーは、もっと焦げてるので、これをもう少し焦がしたらオルゾーのようにコーヒーとして飲めるのではないでしょうか。
猫じゃらしコーヒーを作る
さらにフライパンで焦がします。
コーヒーで言うところのフレンチローストかイタリアンローストくらいまで焦がします。
バットに入れて冷まします。
ミルで挽きます。
猫じゃらしコーヒーの粉になりました。
この粉の量ならおよそ2杯弱です。
ペーパードリップで淹れました。
猫じゃらしコーヒーです。
紛れもなくコーヒーの味です。
本物のコーヒーとはもちろん違う味ですよ。
コーヒーのような香ばしさと、猫じゃらし特有の干草のような香りもあり、野趣溢れるコーヒーと言ったところでしょうか。
コーヒーで言うならエスプレッソと同じレベルの深煎りなので、苦味があり、酸味はありません。
やはりオルゾーに近い味です。
オルゾーに似てるけど、猫じゃらし特有の干草のような香りがある。
期待してなかったのですが、これはちゃんと飲めるレベルです。
猫じゃらしラテ。
牛乳を加えました。
焦がした苦味が牛乳のおかげでマイルドになって、カフェラテのイメージです。
と言うか、やはりオルゾーラテに似ています。
その中にやはり猫じゃらしの香りがあります。
これも、飲めるレベルです。
猫じゃらしをコーヒーにしても十分に素材の持つ個性が感じられました。
アキエノコログサだけでコーヒーを作ったり、キンエノコログサだけでコーヒーを作っても、品種による違いを楽しむ事が出来ると思います。
まとめ
- 猫じゃらし(エノコログサ)は粟の原種。
- 火で炙って食べることは可能だが美味しくない。
- 脱穀は割り箸で挟んでしごくのが良い。
- 籾ずりはうまく出来なかった。
- パフにするには9月後半に収穫すべきだと推測。
- 猫じゃらしを炒って茶にすると美味しい。
- 炒った猫じゃらしのドレッシングは未知の美味しさ。
- 10月2日に収穫したものは実がぎっしり詰まっていた。
- 猫じゃらしをパフにするのは難しい。
- 猫じゃらしはコーヒーすることも出来る。意外と飲める。
とりあえず今回のレポートはここまでですが、パフを沢山作るという課題が残ってます。
また、炒った猫じゃらしの使い道にも可能性を感じます。
まだまだ、研究は続きます。
新たな研究結果が出たら追記していきます。
動画で説明
動画では私が出演して料理を実演して語ってます。
動画でしか表現できない事もあるので、併せてご覧ください。
こちらは、パフに再挑戦してからコーヒーを作って飲む所までの動画です。