豚肉の低温調理が美味い!ローストポーク・トンテキ・スペアリブ煮込み・角煮

      2018/08/16

前回の 低温調理が美味しい理由を化学的に考察する の理論を踏まえて豚肉を調理してみます。

前回の記事を、お読みでない方に結論だけお伝えします。

【前回の結論】
60~66℃の範囲で24時間くらい低温調理すれば、だいたいどんな肉でも柔らかく美味しく調理できる。

詳しく知りたい方は前回の 低温調理が美味しい理由を化学的に考察する を読んでくださいね。

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低温調理の温度キープについて

最初に紹介した結論を守るだけで、フレンチシェフの高度な肉の火入れ技術なんか無くても、同等かそれ以上のクオリティの肉料理が作れてしまいます。

 

本当ですよ。

 

問題は「60~66℃の温度帯をどのようにキープするか。」です。

低温調理器というアイテムを使えば簡単ですが、前回述べたように私は、低温調理器を買わない事に決めました。
また、業務用のスチームコンベクションオーブンを使っても簡単に低温調理ができますが、機器が高価すぎて買えません。

また、調べてみると、ヨーグルトメーカーでも60~66℃で保温できるみたいですね。
ヨーグルトメーカーは、5千円未満のものもあり、買おうかどうか、ちょっと心が動きましたが、容量が小さく、小さい肉しか入れられないために、結局買いませんでした。

私は、温度計で温度を計りながら火力を調節するという原始的な方法で低温調理を実践する事にします。

豚肉の食中毒リスク回避について

「豚肉はしっかり火を通して食べないといけない。」と、よく言われます。
はい、その通りです。

豚肉の低温調理では、しっかり火が通ってないのではないか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
このへんの事もしっかりと説明しておかなければいけませんね。

厚生労働省の定める豚の食肉の基準では、肉の中心部の温度を、63℃で30分間以上加熱するか、これと同等以上とされています。

だから大丈夫です。

いや、ちょっと待って、厚生労働省の基準は63℃で30分以上、オトコ中村の提唱する低温調理は、60~66℃で24時間だから、もし、63℃未満だったら危ないのでは?

たとえ63℃未満でも、62℃なら、加熱時間を約1.6倍の50分にすれば大丈夫です。
61℃なら、加熱時間を、さらに約1.6倍の80分にすれば大丈夫です。
60℃なら、加熱時間を、さらに約1.6倍の2時間にすれば大丈夫です。

60℃でも、2時間どころか、24時間加熱するのだから大、大、大丈夫!です。

温度が下がれば加熱時間を長くすればいいのですが、その根拠を説明するのは、あまりにも難しい話になるので詳しく理解できておらず、私にはその説明ができません。
とにかく加熱温度が上がれば加熱時間が短くなり、加熱温度が下がれば加熱時間が長くなるという事です。

そもそも、60℃のお湯ってどんなに熱いか知ってますか?
お風呂のお湯が60℃だったら熱すぎて1秒も入ってられません。
そんな環境で2時間も居たら菌は死んでしまいますよ。
世の中には熱に強い菌も居ますが、少なくとも食中毒を起こす菌は、それでほぼ死滅するのです。
調理前に、よほど不潔な環境に肉を置くとか、肉をカビだらけにするとか、そういう事をしなければ、少なくとも普通に料理をすれば、60℃を2時間で食中毒のリスクは回避できます。

それでも心配な方は、肉の中心部分が、必ず63℃以上になるようにして30分以上加熱してください。

低温で4時間調理するローストポーク

米国産豚肩ロース米国産豚肩ロースの塊です。
あまりに大きな塊で、ビニール袋に入らなかったために、2等分して袋に入れました。

肉の重さに対して1%くらいの重さの塩と、好みの量のコショウを、肉の表面になすりつけてから袋に入れます。

肉をお湯に沈めるお湯を張った鍋に豚肉の入った袋を沈めます。
袋を沈めて、水圧で袋の中の空気を抜いて真空のような状態にします。

ジッパー付きの袋を使う場合は、袋の中の空気を完全に抜いてからジッパーを閉じます。
私はジッパー付きの袋は高いから、安いポリエチレン袋を使っています。
袋の口を鍋の縁に引っ掛けて、その上から鍋の蓋をすることで、密閉のような状態にしています。
そこまでしなくても、袋を沈めて真空のような状態にしたら、袋の口が開いていようと閉じていようと差はありません。

鍋底部分は、直接火に当たる部分なので、高温になります。
底網を敷いて肉が鍋底に当たらないようにします。
底網が無ければ、代わりに皿でも何でもいいので鍋底に沈めて、肉が鍋底に当たらないようにします。

66℃鍋を火にかけて、66℃まで加熱して火を消しました。

鍋の蓋を閉じて、なるべく温度が下がらないようにします。

58℃30分くらい経って、温度を計ると、58℃まで下がってました。
また66℃くらいまで加熱して火を止めます。

調理完了30分おきに温度を調節、と言いたいところですが、面倒でやってられずに途中から1時間おきになりました。
そして調理開始から4時間経過しました。

理想の調理時間は24時間です。
現時点で4時間と、24時間の6分の1ですが、完成という事にしました。

4時間でも、ミオシンというタンパク質は、変成し美味しくなり、アクチンというタンパク質は、変成せずに柔らかいままで、十分に低温調理としての美味しさが出ているはずです。
筋の部分のコラーゲンは6分の1だけ柔らかくゼラチン化して、6分の5は筋のままかもしれません。
4時間の低温調理というのは、理論的にはそういう事になります。
理論よりも、実際に食べて確かめてみましょう。

肉汁が出た様子袋の中には、肉からの水分が出ています。

この水分は、豚肉の旨味たっぷりスープなので捨ててはいけません。

ローストポークのたれ肉の水分に、醤油大さじ1と、梅ジャム大さじ1を加えて煮詰め、ローストポークのたれを作りました。

ローストポークの断面ローストポークの断面はこんな感じです。
理想的なピンク色に仕上がっています。
ピンク色であるという事は、アクチンが変成してないので柔らかいという事です。

本当は、仕上げにフライパンで焼いて、肉の表面にさっと焦げ目を付けるのですが、焼くのを忘れてました。
表面を焦がすと、香ばしさがプラスされて、味が完成します。
それをやらなければ、腑抜けみたいな味になるでしょう。

低温調理ローストポーク酢玉ネギを添えてローストポークに酢玉ネギを添えていただきます。

柔らかく仕上がっています。
もともと筋の少ない肉なので、筋の存在も感じないで、本当に柔らかい肉としていただく事ができました。

低温調理ローストポーク切り方を変えて切り方を変えていただいてみましたが、こちらも柔らかいです。
こんなに柔らかいローストポークを食べたのは初めてです。

ただ、米国産の豚肉であるために、味が物足りなく、ちょっと臭みがあります。
11歳の息子は食べましたが、8歳の娘はほとんど食べませんでした。
フライパンで表面を焼いていれば、味も良くなり、臭みは少し弱まったかもしれませんが、それでも、感動的な美味しさは期待できないでしょう。

次からは、国産の豚肉を使う事にします。

低温で4時間調理するトンテキ

国産豚ロース塊国産豚ロース塊です。

肉をお湯に沈める肉の重さに対して1%くらいの重さの塩と、好みの量のコショウを、肉の表面になすりつけてから袋に入れ、お湯に沈めて真空のような状態にします。

調理完了温度管理は先ほどのローストポークと同じ要領で、66℃くらいまで加熱して火を消し、30分放置、また66℃くらいまで加熱してから1時間放置、という具合で合計4時間調理しました。

肉をスライスする完成した肉を切ってみると、断面はきれいなピンク色になっています。
いい感じです。

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表面に付いている黒い斑点は、ブラックペッパーです。

フライパンで表面を焼くフライパンでさっと焼き、表面に焦げ目を付けます。

低温調理したトンテキ4時間低温調理したトンテキ。

めちゃくちゃ美味しいです。

赤身の部分は、とんでもなく柔らかいです。
脂身と赤身の境目に筋っぽいコラーゲンの膜がありましたが、少し柔らかくなっていました。

赤身の中にも、薄く網のようにコラーゲンが張り巡らされているのですが、それは4時間の低温調理でゼラチン化していると思われます。
だから赤身がとんでもなく柔らかいのでしょう。

筋っぽい部分は、4時間の低温調理では少し柔らかくなる程度でした。
完全に柔らかくトロトロにしようと思えば、もっと長時間の調理が必要です。

けど、24時間低温調理をすれば、筋の部分もトロトロに柔らかくなるという事が、理論上の事だけでなく、現実の事として実感できました。
やはり24時間の低温調理を試してみなければ気が済まなくなってきました。

低温で24時間調理するスペアリブ煮込み

国産スペアリブ国産のスペアリブを買ってきました。

スペアリブって、たまに食べるけど、いつも硬いです。
スペアリブを柔らかく食べた事がありません。
これを24時間低温調理すれば、柔らかく食べられるのではないでしょうか。

フライパンで表面を焼く最初に表面をサッと焼いて焦げ目を付けます。

調味液に漬ける袋に醤油大さじ2、砂糖小さじ1、生姜粉末1gを混ぜた調味液と一緒に入れます。

生の生姜を使う場合は、すりおろし生姜を小さじ1入れるといいです。

お湯に沈める鍋に沈めて真空のような状態にします。

こうすると、放っておいても調味液が肉全体に行き渡ります。

そしてお湯の温度を66℃くらいまで加熱してから…

超弱火にする火力を、これくらいの超弱火にします。
これは直径3cmくらいの小バーナーです。

鍋の蓋を少しずらす鍋の蓋は完全に閉めずに、少しずらして閉めます。

そしてこのまま1晩放置しました。

63℃をキープ翌朝、温度を計ると63℃でした。

よし、理想の温度をキープできた!

火力を超弱火にして、鍋の蓋を少しずらして閉めると、63℃くらいをキープできる事が分かりました。
これで低温調理器がなくても大丈夫です。

ただし、室温によって調理温度も左右されます。
今は夏で室温は30℃近くあります。
冬になると、室温は10~20℃くらいでしょうから、室温によって火力と蓋の閉め方を工夫しなければいけません。
それでも、火力や蓋の閉め方を工夫するだけで低温調理が出来てしまう事が分かったので、低温調理器を買わなくて正解でした。

調理完了24時間経過しました。
肉から水分が出て、調味液が薄まってます。

汁を煮詰める調味液は、鍋でドロドロになるまで煮詰め、スペアリブ煮込みのたれにします。

低温調理スペアリブ煮込み24時間低温調理したスペアリブ煮込み。

低温調理スペアリブをいただく確かに柔らかく美味しく出来ました。
人生で食べた中で、最高に柔らかいスペアリブである事は間違いありません。
味も美味しいです。

食べる前には、骨の周りの肉がペロリと簡単に剥がれるというのを期待してましたが、実際は、骨の周りは頑丈に肉がくっ付いていて、ベリベリと剥がして食べました。
そこが期待はずれでした。

けど、骨の周り以外は、全く問題なく柔らかかったです。

低温で24時間調理する豚角煮

国産豚バラ肉国産豚バラ肉塊です。

フライパンで肉の表面を焼く最初にフライパンで表面を焼いて焦げ目を付けます。

調味液と一緒に袋に入れる醤油大さじ1、砂糖3g、生姜粉末1gくらい(もしくは、すりおろし生姜小さじ1)と一緒に袋に入れます。

お湯に沈める鍋に沈めて、火力を超弱火にして、鍋の蓋を少しずらして閉めて、63℃くらいをキープしながら24時間調理します。

調理完了24時間経過しました。
肉から水分が沢山出ています。

この水分は、ドロドロになるまで煮詰めて、たれにします。

低温調理豚角煮の断面切ってみました。
断面は、理想的なうっすらピンク色に仕上がっています。

低温調理豚角煮24時間低温調理した豚角煮。

では、いただきます。

 

パクッ…

 

 

ん?

 

 

何じゃこりゃ!?

 

口の中で溶けて無くなってしまいました。

驚きの口溶け感!!

まるでゼリーを食べているようだ!!

美味しすぎます!!

 

脂身の部分は完全にゼラチン化しています。
赤身の部分は、もちろん柔らかく仕上がっています。
理想的な形で低温調理が成功したようです。

やったー!!

まとめ

  • 60~66℃の範囲で24時間くらい低温調理すれば、だいたいどんな肉でも柔らかく美味しく調理できる。
  • 食中毒のリスクを避けるために、肉の中心部の温度を、63℃で30分間以上加熱する。
  • 肉の中心部の温度が60℃でも2時間以上加熱すれば大丈夫。
  • 米国産豚肉のローストポークは少し臭みがあった。
  • 国産豚肉のトンテキは臭みも無く美味しかった。
  • 火力の調節と鍋蓋の閉め加減の調節によって60~66℃の範囲で保温する事が可能。
  • スペアリブは、24時間低温調理したら柔らかくなったが、骨がペロリと剥がれるくらいまでは柔らかくならない。
  • 豚バラ肉を24時間低温調理したら、驚きの口溶け感で美味しすぎ!
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