甜麺醤(テンメンジャン)を中国古来の小麦粉を発酵させる方法で作る の続き
【前回の復習】甜麺醤の作り方について
現在の日本で手に入る甜麺醤は、赤味噌をベースに色々な調味料を調合して作られたものです。
甜麺醤の手作りレシピなども紹介されてますが、全てが赤味噌ベースの作り方になっています。
ですが、中華の料理本などには、「甜麺醤は小麦粉を発酵させて作る」と書いてあります。
しかし、売っている甜麺醤も、ネットなどで紹介されている手作りレシピも、全て赤味噌ベースです。
しかし、繰り返しますが、中華の料理本などには小麦粉を発酵させて作ると書いてあります。
本を1冊だけ調べたという訳じゃありません。
本屋と図書館に置いてある中華料理の専門書を全て調べました。
いろいろな本を調べた結果
専門的な本には小麦粉を発酵させて作ると書いてあります。
また、一般的なレシピ本などには、赤味噌ベースの作り方が載っています。
要するに、専門的な本と一般的な本に書いてある内容が違うのです。
専門的な本と一般的な本のどちらを信用するかと言えば、やはり専門的な本を信用しましょう。
専門的な本には、甜麺醤は小麦粉を発酵させて作ると書いてあります。
小麦粉を発酵させて作った甜麺醤は売ってない
専門的な本に小麦粉を発酵させて作ると書いてあるにも関わらず、小麦粉を発酵させて作った甜麺醤なんてどこにも売ってません。
少なくとも、日本国内では、ネット通販や輸入食品店などを私が調べた限りでは売ってません。
いったい…
どういう事なんでしょうか?
いったい…
この矛盾に対しての明確な答えは見つかってません。
これは料理史の謎です。
この謎については、解明するまで引き続き調べ続けますが、まあ、謎は置いといて…
どこにも売っていないので、自分で作ってみた訳です。
これが小麦粉を1年熟成発酵させた甜麺醤(テンメンジャン)です。
作る過程は 甜麺醤(テンメンジャン)を中国古来の小麦粉を発酵させる方法で作る をご覧ください。
色は、市販の甜麺醤のように黒くありません。
香りは、大豆から作った味噌とそっくりで、あるいは金山時味噌の香りにも似ています。
そして麹の香りがポワーンとします。
味は、これまた大豆から作った味噌とそっくりですが、甘いです。
市販の甜麺醤と大豆味噌の中間のような味でしょうか。
また、味噌に砂糖などを調合した味噌だれのような味とも言えます。
それから、大豆味噌に比べて食物繊維が少ないためか、口溶けが良いです。
まあ、とにかく美味しい事は間違いないです!
美味しくて良かった。
1年かけて作った甲斐がありました。
果たして、これが本物の甜麺醤なのかどうかは、歴史の謎なので分からないですが、これを本物と信じて話を進めていきます。
いずれにせよ、これは美味しい調味料ですよ。
せっかく本物の甜麺醤が完成したのだから、これを使って本格的な中華料理を作ってみましょう。
超本格的な回鍋肉(ホイコーロー)
回鍋肉の「回」は戻るという意味です。
鍋で肉を茹でて、それを再び鍋に戻して炒める事から回鍋肉という料理名になったのです。
せっかく本物の甜麺醤で作るのだから、本物の作り方で作ります。
<材料 4人前>
キャベツ 200gくらい
ねぎ 1本
ピーマン 2個
豚ばら肉塊 150gくらい
ニンニクスライス 1かけ分
甜麺醤 大さじ2
醤油 小さじ2
豆板醤 小さじ1
老酒(無ければ日本酒) 大さじ1
豚ばら肉を15分間茹でます。
茹でている間に野菜を適当な大きさに切っておきます。
調味料を合わせておきます。
15分間茹でた豚ばら肉をスライスします。
フライパンで豚ばら肉を中火で香ばしくなるまで焼く。
弱火にしてニンニクを入れて香りを出す。
野菜を入れて強火で炒める。←ここからは手早く。
野菜が少ししんなりしたら調味料を加え、フライパンを振って混ぜる。
最後に味見をします。
フライパンの底の汁をサッと指でさらって舐めてみます。
指は熱いですが、一瞬ならどうって事ありません。
怖かったらスプーンを使うとか、箸で一つまみ食べるとか、何でも良いから味見します。
甘さが勝っていたら醤油や豆板醤(分量外)を追加します。
塩辛さが勝っていたら甜麺醤(分量外)を追加します。
いずれも素早く行います。
中華炒めは、ここぞという時の素早さが大切なので、迷わずテキパキと行いましょう。
そして味が調ったら完成です。
超本格的な回鍋肉(ホイコーロー)
めちゃくちゃウマイです!
発酵によるポワーンとする香りが美味しさを引き立てます。
甜麺醤を1年かけて作った甲斐がありました。
家族にも好評で、瞬く間に食べ尽くされてしまいました。
超本格的な、なんちゃって北京ダック
北京ダックを鶏もも肉で代用して作るので、なんちゃって北京ダックです。
けど、それを超本格的に、小麦粉を練って薄く焼いた荷叶餅(ホーイエピン)で包んで、本物の甜麺醤を付けて食べます。
ホーイエとは、蓮の葉の事で、ピンとは小麦粉を練って丸く平たく整形したものの事です。
要するにホーイエピンとは小麦粉を練って薄い円形に焼いたものの事です。
なんちゃって北京ダックは、鶏もも肉に塩コショウで味付けして、皮がパリッとなるようにフライパンで焼きます。
別名、鶏のソテーとも言います。
次に、荷叶餅(ホーイエピン)を焼きます。
ホーイエピンを焼くのは、初の試みだったので、上手に焼けるかどうか自信がありませんでした。
そのため小麦粉を練って伸ばす過程を撮影してませんでした。
作り方は、小麦粉を熱湯で練った生地を、1枚分ずつに切り分けて、2枚分の生地(2個の生地)の片方に油を塗って、2枚分を重ねてめん棒で伸ばします。
2枚分が重なったまま伸ばされて、2枚が重なったまま焼いて、焼けたら2枚をはがします。
本当に上手くはがれるか、という部分が、ちょっと心配です。
フライパンを熱し、油をひかずに焼きます。
焼いているのは1枚に見えますが、2枚の生地が重なっているのです。
30秒くらいでひっくり返し、さらに30秒くらい焼けばOKです。
これを取り出して、熱いうちに2枚をはがします。
簡単にはがれました。
ちょっと拍子抜けでしたが、ホッとしました。
2枚分を一度に伸ばして焼く事が出来るなんて、合理的な方法ですね。
焼きあがったホーイエピンの焼き目を外にして折りたたんで盛り付けます。
なんちゃって北京ダックは細く切ります。
それと白髪ねぎを用意しておきます。
ホーイエピンに、なんちゃって北京ダックと白髪ねぎを乗せ、甜麺醤を付け、包んでいただきます。
超本格的です。
超本格的ですが…
味は…
味は普通でした。
いや、美味しいのですが、鶏肉だと普通の食材なので、非日常感があまり出ません。
家族の反応も、普通の料理を食べているという感じでした。
まとめ
回鍋肉と北京ダック以外にも、茹でた野菜に甜麺醤を付けて食べるというシンプルな料理が美味しかったです。
手の込んだ料理をしなくても美味しいのです。
甜麺醤は、わざわざ1年かけて発酵させただけの価値がある逸品でした。
専門的な本に甜麺醤は小麦粉を発酵させて作ると書いてあるのに、そんな甜麺醤がどこにも売っていないという「謎」に関しては、引き続き調査を続けたいと思います。