麺料理

手打ちそばに挑戦!二八そば失敗から十割そば成功までの道のり

2013年6月28日

暑い季節になってきました。

暑い時期は、ご飯が進まず、冷たい麺料理が美味しかったりしますね。
そうめんも然り、冷麦も然り、うどんも然り。

私は、ざるそばが大好物です。
昔、一人暮らししていた頃、夏場は、毎日ざるそばを食べていました。
今は、家族と同じものを食べていますが、毎日ざるそばでも、もちろんOKです。
…てか大歓迎です。

そんな訳で今回は、手打ちそばに挑戦してみようと思います。
手打ちそばは、初挑戦になりますが、今まで、うどんやパスタやラーメンを手打ちしていたので、同じようにやったらできるでしょう。
要は、素材となる粉が違うだけだと思います。

言うまでもない事ですが、うどん・パスタ・ラーメンは、小麦粉。
そばは、そば粉を使います。

富沢商店で、更科粉というそば粉を購入しました。
更科粉とは、そばの実の中心部分だけを粉にしたもので、白色で旨味や甘みが高い最上級粉です。

まずは二八そば

そば材料

そばと言えば、二八そばと言いますよね。
だからそば粉8割、小麦粉2割で打ってみようと思います。

更科粉 240g ・ 強力粉 60g ・ 水 135ml を用意します。

まぜる粉に水を加え、混ぜます。

こねるしっかりとこねます。

寝かすこの状態で約30分寝かせます。

伸ばす伸ばします。
そば粉は小麦粉のように弾力が無く、粘りが無く、ボソボソで、生地を伸ばそうとしても、生地が割れてしまいます。

今まで小麦粉の麺なら、何度も作り馴れていますが、そば粉は初めてで、思い通りにいきません。

もっと伸ばすこんなになりました。
一応、生地を四角い形に伸ばそうとしたのですが、四角には程遠いですね。

伸びた1.5mmくらいの厚さに伸ばします。

ひどい形になりました。
うどんやパスタを打った経験から、製麺技術をある程度身に付けていたつもりでしたが、そばには通用しませんでした。
少し反省。

切る麺を切りました。
もうボロボロです。

まあしかし、とりあえず茹でてみましょう。
茹で時間は約2分。

ざるそば茹でました。
画像では分かりにくいですが、麺がブチブチに切れて、全て5cmくらいの麺になってます。

箸で食べるよりスプーンで食べたほうが食べやすいのじゃないか?というくらいです。

自家製のつゆで頂きます。

うん、味は美味しい。
つゆも、こだわって作ったので美味しいです。
しかし、麺が短い。食べにくい。
これでは、味は美味しいからといって満足できません。
完全に失敗です。
ですが、このままでは終われません。

そこで、まず失敗の原因を色々調べました。

まず、使用した「更科粉」という粉は、粘り気が少なく生地がつながりにくいので、まず最初は「挽きぐるみ」という普通のそば粉を使うほうが良い。
次に、いきなり二八そばから始めるのではなく、まず最初は5割そばくらいから始めて、そば打ちの要領をつかみ、慣れてきたら徐々にそば粉の割合を増やす。

…という事は「とりあえず何でもいいからやってよう!」という当ブログのポリシーだと、そば打ちは、失敗から始まって当然ですね。

ハハハ…

たまにはそんなこともありますよ。
けど、失敗の原因が分かったのだから、あとは成功する以外無いですね。
では、普通のそば粉を使用して、5割から始めてみようと思います。
5割ができたら6割、6割ができたら7割、7割ができたら8割…
という風に、順番どおりにそば粉の割合を増やしてみます。

◆5割そば

5割そばの材料

まずは、5割からいきます。

そば粉 50g
小麦粉 50g
水 43ml

5割そばの生地

こねました。
生地がねっちり、しっかり、つながっています。
これなら失敗しないと思います。
この状態で10分寝かせます。

5割そば伸ばす慎重に伸ばします。

5割そばもっと伸ばす四角い状態を目指して伸ばします。

伸ばした5割そばほぼ四角に近い状態で伸ばす事が出来ました。
はっきり言って、この配合割合だと、思い通りに伸ばす事が出来ます。
簡単でした。

5割そば切る切る。

切る事に関しては、小麦粉の配合割合が多いほど、弾力が強いために、包丁を持つ手に少し力を入れないと切りにくいです。
逆に、そば粉の割合が増えるほど、弾力が弱く、力を入れなくてもサクサクっと切れます。

ゆでる茹でる。
茹で時間は約2分。

5割そば5割そば出来ました。
味はめちゃくちゃ美味しいです。
麺が途中で切れたりせず、麺としての完成度も問題ありません。

5割でも十分にそばの味を感じる事ができて、美味しかったです。
5割そば合格です。

次は6割そば

伸ばした6割そば

これも、だいたい思い通りに伸ばす事ができました。

6割そば6割そば出来ました。
製麺過程でのミスは無かったのですが、ゆでる段階で、麺がほぐれていない状態で茹でてしまいました。
茹で方の失敗による味のマイナスはありますが、まあ美味しいと思います。
6割そば合格です。

7割そば

伸ばした7割そば

少し生地のつながりが弱くなってきましたが、慎重に伸ばせば、まだ大丈夫です。

7割そば7割そば出来ました。

めちゃくちゃ美味しいです。
まったく問題ありません。

7割そば合格です。

5割に比べて、7割のほうが、より一層そばの味わいが強く感じられましたが、それが美味しいのかと言うと、どちらとも言えないですね。
好みの問題でしょうか?

さて次は8割そば、いわゆる二八そばに挑戦です。
二八そばは、前回ボロボロに失敗した配合ですが、ちゃんとできるのでしょうか?
そば粉の扱いに慣れてきた事と、7割そばの成功を思えば、おそらく大丈夫でしょう。

実際はどうなる事やら…

◆二八そばに再挑戦

二八そば丸める

そば粉 80g
小麦粉 20g
水 43ml

こねました。
生地は、かなりパサパサしています。
この状態で10分寝かせます。

二八そば伸ばす慎重~っに四角い状態を目指して伸ばします。

二八そば伸ばしたまあ何とか四角に近い状態で伸ばす事が出来ましたが、生地の端には細かい割れ目がいっぱいできました。

二八そば切る切ります。

生地を半分に折り畳んで切ったのですが、生地がパサパサのため折り目の部分が完全に割れてしまい、麺の長さが半分になってしまいました。

二八そば二八そば出来ました。

麺の長さは短いですが、味はめちゃくちゃ美味しいです。
噛めば噛むほど、そばの味わいを感じられます。
それが美味しいかと言うと、どちらとも言えないですね。

好みの問題でしょうか?

一応、二八そばも合格という事で。
次は9割と言いたい所ですが、そば粉が残り少なくなって来ました。
9割、10割と順に作ってると、そば粉が足りません。
だから、いきなり10割そばに挑戦してみます。

◆とうとう十割そばに挑戦

10割そば丸める

そば粉 100g
水 43ml

こねました。
生地は、もうパッサパサで、丸めてもすぐに割れてしまいます。
右下に割れ目が見えますが、このまま生地を伸ばせば、確実に割れ目が広がってしまうので、割れ目があってはいけません。
しかし、まったく割れ目の無い状態で丸める事が出来ませんでした。
仕方なく、この状態で10分寝かせます。

10割そば伸ばす慎重~っに四角い状態を目指して伸ばすものの、もうすでに割れてきました。

10割そば伸ばした慎重に慎重を重ね、伸ばしました。

めちゃくちゃに割れました。
この状態をなんと表現すれば良いのでしょうか?
雪の結晶と言ったところでしょうか?

10割そば切るまな板に移動させるだけでも生地が切れたりするので、細心の注意を払いながら移動させましたが、それでも少し切れました。
折り畳んだら、畳んだ部分が割れるので、畳まずに切りました。
弾力が無いので、包丁を入れるとサクサクっと簡単に切れます。

10割そば10割そば出来ました。
噛めば噛むほどそばの味わいを感じられます。
だって100%そば粉だからね。

それが美味しいかと言うと、う~んどうでしょう?
好みの問題でしょうか?

◆現時点での総括

十割そばが美味しいかどうかは別問題として、そば打ちの究極は十割そばなので、上手に十割そばを打てるようになりたいです。
十割に対する憧れのようなものがあります。

「美味しいかどうかは別として、究極を目指す」これは、そば哲学でしょうか?
私も、そば哲学に、少しかぶれてしまったみたいです。

十割そばの技術について、さらに調べてみたところ、そば粉の割合が増えるほど、こねる水の量も増やすみたいです。
私は今回、5割から10割までをすべて水分43%でこねましたが、10割だと水分は48%くらいが適量との事。
もちろん粉の状況によって水の量は左右されますが、そば粉の割合が増えるほど、水の量を増やすことには違いありません。

また、生地の繋がりを強める為に、そば粉の一部を熱湯で捏ねる(湯種式)という方法や、山芋のすり下ろしを混ぜる・布海苔を混ぜる等の方法もあるようです。
ただ、後者の混ぜ物をして繋がりを強くする方法だと、厳密には10割で無く9割何分になります。

私のそば哲学としましては、まずは湯種式での10割を達成してから、さらに究極の粉と水だけの10割を目指したいと思います。

しかしそれは置いといて、趣味で打つなら5割そばがお勧めです。
格好つけてそば粉の割合を増やす必要はありません。
そば粉の割合を増やしても美味しくなるわけではないです。
そば粉の方が小麦粉より高価な為、そば粉の割合を増やすほど、高コストになるので、やはり5割くらいが妥当かな。

そば哲学を抜きにして得た結論は、そういうことです。

また、話は飛躍して、市販そばの話になりますが、市販の乾麺は、JAS法によると、そば粉を5%以上配合していたら「そば」と表記しても良いことになっています。
つまり、1割未満でも「そば」と表記しても良いという事。
ただ、そば粉が30%未満の場合は、「そば粉配合何%」と記載しなければいけません。
実際にスーパーで、「そば粉配合20%」と記載されたそばを見た事がありまして、「こんだけしか、そば粉が入っとらんのか?」と思った事があります。
また、そば粉が30%以上だったら「そば粉配合何%」と書かなくても良いので、3割のそばでも、普通に「そば」として売られていますが、原材料を見ると、小麦粉・そば粉という順に表記されています。
原材料は、多い順に表記されますから、是非とも原材料の第1番目に「そば粉」と書かれたそばを買いたいものです。

◆湯種式十割そばに挑戦

さて、先ほどの十割そばは、そば粉と水だけで打ったために、あまりにも繋がりが弱く、麺がボロボロになってしまいました。

次は、そば粉の一部を熱湯でこねる湯種式で挑戦してみようと思います。
そば粉を熱湯で練ることによって、そば粉のでんぷん質がα化して、いわゆる「糊」になり、粘りが出るという訳です。
では、湯種式で十割そばを打ってみましょう。

〈材料〉
そば粉 50g
熱湯 25ml
そば粉 50g
水 25ml

そば粉50gに熱湯25mlを加え、練る。
さらにそば粉50gと水25mlを加え、練る。
しっかり練る。

湯種式丸めた状態。
確かに粘り気が出て、生地の繋がりが強くなっています。
これなら上手くいきそう。

湯種式伸ばす伸ばしました。
少し生地の端が割れましたが、前回のことを思えば上出来です。

湯種式十割そば湯種式の十割そばです。

原材料は、正真正銘のそば粉と水だけです。
つゆは、もちろんこだわりの自家製で美味しいです。
つゆの説明をしたら長くなるので、別の機会を設けて、つゆの記事も書こうと思ってます。

さて、そばの味ですが…

若干そばの風味が落ちている!?

これはきっと、そば粉を熱湯で練ったために、風味が落ちたものだと思われます。
そば本来の味を楽しむ十割そばなのに、そばの風味が落ちていたら、十割の意味がありません。
粘りを出す為に熱湯で練り、風味が落ちるなら、熱湯でなく小麦粉を足すほうが絶対に美味しいです。

湯種式は十割に違いありませんが、私のそば哲学には反します。
なので、湯種式は却下されました。

◆正真正銘のそば粉と水だけの十割そばに再挑戦

十割

〈材料〉
そば粉 100g
水 48ml

十割伸ばす

少し割れましたが、前回よりマシです。

ブチブチ十割そばしかし、完成品は、ブチブチに切れてしまいました。
そばの風味は、湯種式に勝りますが、これではダメです。
そば粉と水だけの十割そばは、難しいですね。
何がいけなかったのでしょうか。

◆十割そばを成功させるには?

また調べてみて分かったのですが、そば粉に水を回す時点で上手くやらないと、粘りが出ないみたいです。
捏ねる前に、そば粉の隅々まで水分を行き渡らせなければいけません。
これがおろそかになると、ボロボロのそばになってしまいます。
ここに気をつけると失敗しないでしょう。

◆失敗しない十割そばを打つ

水回し1

水は、3回くらいに分けて加えます。
まず、全量の7割くらいの水を加えて水を均一に混ぜます。
そして、次に2割の水を加えて混ぜます。

水回し2最後に残り1割の水を加えて混ぜます。
このくらいになってから初めて練り始めます。

十割丸める良く練って丸めました。
今までこの状態で生地を寝かせていましたが、十割だと寝かせている間に生地が割れるので、寝かし無しで伸ばします。
ちなみに小麦粉を配合している場合は、寝かしが必要です。

十割伸ばすほとんど割れずに伸ばす事が出来ました。

十割そば十割そば。

まあ、一応ちゃんとした物が出来ました。
とりあえずオマケで十割そば合格という事にしておきましょう。
あまり短期間に、そば哲学を追求しすぎると、出口の無い迷路に迷い込む恐れがあるので、このくらいにしておきます。

それにしても十割そばは、そばの風味がよく分かりますが、ムチムチボソボソという食感で、美味しいかどうかは別問題ですね。
しかし、そばの究極である十割ですから、心は大いに満足しております。
さて、そばの収穫時期は秋です。
秋に採れる新そばは、風味が良く、粘りが強いらしいので、是非とも十割で食べてみたいと思います。
だから、この手打ちそばシリーズの記事は、秋に続編が出るかもしれません。

◆少し余談

五割そば

その後、また五割そばを作ってみました。
麺がつるっとしていて美味し~い!!
味のバランスが良いですね。

五割掛けそば五割そばで、掛けそばも作ってみました。

これもまた美味し~い!!
十割そばの立場危うしですが、そば哲学が、その立場を守っているのです。
では、続編をお楽しみに。

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このブログを書いてる人

オトコ中村
京都在住 40代 料理を通じて皆が健康で幸せになればいいなと思っている。
YouTubeもやってます。
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詳しくは プロフィールのページ をご覧ください。

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