暑い季節になってきました。
暑い時期は、ご飯が進まず、冷たい麺料理が美味しかったりしますね。
そうめんも然り、冷麦も然り、うどんも然り。
私は、ざるそばが大好物です。
昔、一人暮らししていた頃、夏場は、毎日ざるそばを食べていました。
今は、家族と同じものを食べていますが、毎日ざるそばでも、もちろんOKです。
…てか大歓迎です。
そんな訳で今回は、手打ちそばに挑戦してみようと思います。
手打ちそばは、初挑戦になりますが、今まで、うどんやパスタやラーメンを手打ちしていたので、同じようにやったらできるでしょう。
要は、素材となる粉が違うだけだと思います。
言うまでもない事ですが、うどん・パスタ・ラーメンは、小麦粉。
そばは、そば粉を使います。
富沢商店で、更科粉というそば粉を購入しました。
更科粉とは、そばの実の中心部分だけを粉にしたもので、白色で旨味や甘みが高い最上級粉です。
まずは二八そば
そばと言えば、二八そばと言いますよね。
だからそば粉8割、小麦粉2割で打ってみようと思います。
更科粉 240g ・ 強力粉 60g ・ 水 135ml を用意します。
伸ばします。
そば粉は小麦粉のように弾力が無く、粘りが無く、ボソボソで、生地を伸ばそうとしても、生地が割れてしまいます。
今まで小麦粉の麺なら、何度も作り馴れていますが、そば粉は初めてで、思い通りにいきません。
こんなになりました。
一応、生地を四角い形に伸ばそうとしたのですが、四角には程遠いですね。
ひどい形になりました。
うどんやパスタを打った経験から、製麺技術をある程度身に付けていたつもりでしたが、そばには通用しませんでした。
少し反省。
まあしかし、とりあえず茹でてみましょう。
茹で時間は約2分。
茹でました。
画像では分かりにくいですが、麺がブチブチに切れて、全て5cmくらいの麺になってます。
箸で食べるよりスプーンで食べたほうが食べやすいのじゃないか?というくらいです。
自家製のつゆで頂きます。
うん、味は美味しい。
つゆも、こだわって作ったので美味しいです。
しかし、麺が短い。食べにくい。
これでは、味は美味しいからといって満足できません。
完全に失敗です。
ですが、このままでは終われません。
そこで、まず失敗の原因を色々調べました。
まず、使用した「更科粉」という粉は、粘り気が少なく生地がつながりにくいので、まず最初は「挽きぐるみ」という普通のそば粉を使うほうが良い。
次に、いきなり二八そばから始めるのではなく、まず最初は5割そばくらいから始めて、そば打ちの要領をつかみ、慣れてきたら徐々にそば粉の割合を増やす。
…という事は「とりあえず何でもいいからやってよう!」という当ブログのポリシーだと、そば打ちは、失敗から始まって当然ですね。
ハハハ…
たまにはそんなこともありますよ。
けど、失敗の原因が分かったのだから、あとは成功する以外無いですね。
では、普通のそば粉を使用して、5割から始めてみようと思います。
5割ができたら6割、6割ができたら7割、7割ができたら8割…
という風に、順番どおりにそば粉の割合を増やしてみます。
◆5割そば
まずは、5割からいきます。
小麦粉 50g
水 43ml
こねました。
生地がねっちり、しっかり、つながっています。
これなら失敗しないと思います。
この状態で10分寝かせます。
ほぼ四角に近い状態で伸ばす事が出来ました。
はっきり言って、この配合割合だと、思い通りに伸ばす事が出来ます。
簡単でした。
切る事に関しては、小麦粉の配合割合が多いほど、弾力が強いために、包丁を持つ手に少し力を入れないと切りにくいです。
逆に、そば粉の割合が増えるほど、弾力が弱く、力を入れなくてもサクサクっと切れます。
5割そば出来ました。
味はめちゃくちゃ美味しいです。
麺が途中で切れたりせず、麺としての完成度も問題ありません。
5割でも十分にそばの味を感じる事ができて、美味しかったです。
5割そば合格です。
次は6割そば
これも、だいたい思い通りに伸ばす事ができました。
6割そば出来ました。
製麺過程でのミスは無かったのですが、ゆでる段階で、麺がほぐれていない状態で茹でてしまいました。
茹で方の失敗による味のマイナスはありますが、まあ美味しいと思います。
6割そば合格です。
7割そば
少し生地のつながりが弱くなってきましたが、慎重に伸ばせば、まだ大丈夫です。
めちゃくちゃ美味しいです。
まったく問題ありません。
7割そば合格です。
5割に比べて、7割のほうが、より一層そばの味わいが強く感じられましたが、それが美味しいのかと言うと、どちらとも言えないですね。
好みの問題でしょうか?
さて次は8割そば、いわゆる二八そばに挑戦です。
二八そばは、前回ボロボロに失敗した配合ですが、ちゃんとできるのでしょうか?
そば粉の扱いに慣れてきた事と、7割そばの成功を思えば、おそらく大丈夫でしょう。
実際はどうなる事やら…
◆二八そばに再挑戦
小麦粉 20g
水 43ml
こねました。
生地は、かなりパサパサしています。
この状態で10分寝かせます。
まあ何とか四角に近い状態で伸ばす事が出来ましたが、生地の端には細かい割れ目がいっぱいできました。
生地を半分に折り畳んで切ったのですが、生地がパサパサのため折り目の部分が完全に割れてしまい、麺の長さが半分になってしまいました。
麺の長さは短いですが、味はめちゃくちゃ美味しいです。
噛めば噛むほど、そばの味わいを感じられます。
それが美味しいかと言うと、どちらとも言えないですね。
好みの問題でしょうか?
一応、二八そばも合格という事で。
次は9割と言いたい所ですが、そば粉が残り少なくなって来ました。
9割、10割と順に作ってると、そば粉が足りません。
だから、いきなり10割そばに挑戦してみます。
◆とうとう十割そばに挑戦
水 43ml
こねました。
生地は、もうパッサパサで、丸めてもすぐに割れてしまいます。
右下に割れ目が見えますが、このまま生地を伸ばせば、確実に割れ目が広がってしまうので、割れ目があってはいけません。
しかし、まったく割れ目の無い状態で丸める事が出来ませんでした。
仕方なく、この状態で10分寝かせます。
慎重~っに四角い状態を目指して伸ばすものの、もうすでに割れてきました。
めちゃくちゃに割れました。
この状態をなんと表現すれば良いのでしょうか?
雪の結晶と言ったところでしょうか?
まな板に移動させるだけでも生地が切れたりするので、細心の注意を払いながら移動させましたが、それでも少し切れました。
折り畳んだら、畳んだ部分が割れるので、畳まずに切りました。
弾力が無いので、包丁を入れるとサクサクっと簡単に切れます。
10割そば出来ました。
噛めば噛むほどそばの味わいを感じられます。
だって100%そば粉だからね。
それが美味しいかと言うと、う~んどうでしょう?
好みの問題でしょうか?
◆現時点での総括
十割そばが美味しいかどうかは別問題として、そば打ちの究極は十割そばなので、上手に十割そばを打てるようになりたいです。
十割に対する憧れのようなものがあります。
「美味しいかどうかは別として、究極を目指す」これは、そば哲学でしょうか?
私も、そば哲学に、少しかぶれてしまったみたいです。
十割そばの技術について、さらに調べてみたところ、そば粉の割合が増えるほど、こねる水の量も増やすみたいです。
私は今回、5割から10割までをすべて水分43%でこねましたが、10割だと水分は48%くらいが適量との事。
もちろん粉の状況によって水の量は左右されますが、そば粉の割合が増えるほど、水の量を増やすことには違いありません。
また、生地の繋がりを強める為に、そば粉の一部を熱湯で捏ねる(湯種式)という方法や、山芋のすり下ろしを混ぜる・布海苔を混ぜる等の方法もあるようです。
ただ、後者の混ぜ物をして繋がりを強くする方法だと、厳密には10割で無く9割何分になります。
私のそば哲学としましては、まずは湯種式での10割を達成してから、さらに究極の粉と水だけの10割を目指したいと思います。
しかしそれは置いといて、趣味で打つなら5割そばがお勧めです。
格好つけてそば粉の割合を増やす必要はありません。
そば粉の割合を増やしても美味しくなるわけではないです。
そば粉の方が小麦粉より高価な為、そば粉の割合を増やすほど、高コストになるので、やはり5割くらいが妥当かな。
そば哲学を抜きにして得た結論は、そういうことです。
また、話は飛躍して、市販そばの話になりますが、市販の乾麺は、JAS法によると、そば粉を5%以上配合していたら「そば」と表記しても良いことになっています。
つまり、1割未満でも「そば」と表記しても良いという事。
ただ、そば粉が30%未満の場合は、「そば粉配合何%」と記載しなければいけません。
実際にスーパーで、「そば粉配合20%」と記載されたそばを見た事がありまして、「こんだけしか、そば粉が入っとらんのか?」と思った事があります。
また、そば粉が30%以上だったら「そば粉配合何%」と書かなくても良いので、3割のそばでも、普通に「そば」として売られていますが、原材料を見ると、小麦粉・そば粉という順に表記されています。
原材料は、多い順に表記されますから、是非とも原材料の第1番目に「そば粉」と書かれたそばを買いたいものです。
◆湯種式十割そばに挑戦
さて、先ほどの十割そばは、そば粉と水だけで打ったために、あまりにも繋がりが弱く、麺がボロボロになってしまいました。
次は、そば粉の一部を熱湯でこねる湯種式で挑戦してみようと思います。
そば粉を熱湯で練ることによって、そば粉のでんぷん質がα化して、いわゆる「糊」になり、粘りが出るという訳です。
では、湯種式で十割そばを打ってみましょう。
そば粉 50g
熱湯 25ml
そば粉 50g
水 25ml
そば粉50gに熱湯25mlを加え、練る。
さらにそば粉50gと水25mlを加え、練る。
しっかり練る。
丸めた状態。
確かに粘り気が出て、生地の繋がりが強くなっています。
これなら上手くいきそう。
伸ばしました。
少し生地の端が割れましたが、前回のことを思えば上出来です。
原材料は、正真正銘のそば粉と水だけです。
つゆは、もちろんこだわりの自家製で美味しいです。
つゆの説明をしたら長くなるので、別の機会を設けて、つゆの記事も書こうと思ってます。
さて、そばの味ですが…
若干そばの風味が落ちている!?
これはきっと、そば粉を熱湯で練ったために、風味が落ちたものだと思われます。
そば本来の味を楽しむ十割そばなのに、そばの風味が落ちていたら、十割の意味がありません。
粘りを出す為に熱湯で練り、風味が落ちるなら、熱湯でなく小麦粉を足すほうが絶対に美味しいです。
湯種式は十割に違いありませんが、私のそば哲学には反します。
なので、湯種式は却下されました。
◆正真正銘のそば粉と水だけの十割そばに再挑戦
そば粉 100g
水 48ml
少し割れましたが、前回よりマシです。
しかし、完成品は、ブチブチに切れてしまいました。
そばの風味は、湯種式に勝りますが、これではダメです。
そば粉と水だけの十割そばは、難しいですね。
何がいけなかったのでしょうか。
◆十割そばを成功させるには?
また調べてみて分かったのですが、そば粉に水を回す時点で上手くやらないと、粘りが出ないみたいです。
捏ねる前に、そば粉の隅々まで水分を行き渡らせなければいけません。
これがおろそかになると、ボロボロのそばになってしまいます。
ここに気をつけると失敗しないでしょう。
◆失敗しない十割そばを打つ
水は、3回くらいに分けて加えます。
まず、全量の7割くらいの水を加えて水を均一に混ぜます。
そして、次に2割の水を加えて混ぜます。
最後に残り1割の水を加えて混ぜます。
このくらいになってから初めて練り始めます。
良く練って丸めました。
今までこの状態で生地を寝かせていましたが、十割だと寝かせている間に生地が割れるので、寝かし無しで伸ばします。
ちなみに小麦粉を配合している場合は、寝かしが必要です。
まあ、一応ちゃんとした物が出来ました。
とりあえずオマケで十割そば合格という事にしておきましょう。
あまり短期間に、そば哲学を追求しすぎると、出口の無い迷路に迷い込む恐れがあるので、このくらいにしておきます。
それにしても十割そばは、そばの風味がよく分かりますが、ムチムチボソボソという食感で、美味しいかどうかは別問題ですね。
しかし、そばの究極である十割ですから、心は大いに満足しております。
さて、そばの収穫時期は秋です。
秋に採れる新そばは、風味が良く、粘りが強いらしいので、是非とも十割で食べてみたいと思います。
だから、この手打ちそばシリーズの記事は、秋に続編が出るかもしれません。
◆少し余談
その後、また五割そばを作ってみました。
麺がつるっとしていて美味し~い!!
味のバランスが良いですね。
これもまた美味し~い!!
十割そばの立場危うしですが、そば哲学が、その立場を守っているのです。
では、続編をお楽しみに。