豆腐よう(豆腐餻)とは、沖縄に伝わる豆腐を使った発酵食品です。
豆腐と米麹を泡盛に漬け込んで作ります。
豆腐ようのうんちく
豆腐ようのルーツは、中国の豆腐を使った発酵食品である豆腐乳です。
沖縄は、琉球王朝の時代、中国(当時は明)との交易が盛んで、中国から伝わった豆腐乳が沖縄で独自の進化を遂げて豆腐ようになりました。
中国の豆腐乳は豆腐を塩漬けにして雑菌の繁殖を抑えているのに対して、沖縄の豆腐ようは泡盛のアルコールで雑菌の繁殖を抑えています。
そのために、中国の豆腐乳は塩辛く、そのまま食べるよりも調味料のように使う事が多いです。
それに比べて沖縄の豆腐ようは塩分マイルドで、そのまま食べる事が多いです。
また、アルコールが含まれていて、独自の風味を醸し出してます。
その味は、豆腐とは思えない濃厚なチーズのような風味で、東洋のチーズとも言われています。
このように非常に珍しい料理である豆腐ようを、私は今まで食べた事がなかったのですが、豆腐ようの好きな友人のリクエストで、初めて注目して作ってみる事にしました。
豆腐ようとは実際どんなものか
私の住む京都で豆腐ようはどこにも売ってませんので、アマゾンで買いました。
たまに百貨店などで沖縄物産展を開催している時があれば買う事もできますが、そんなチャンスはあまりないので、なかなか珍しい品物です。
ちなみに常温で送られてきます。
冷蔵する必要はありません。
箱の中はこのようにパック詰めされています。
サイコロ状の豆腐ようが4個入っています。
この赤い色は、唐辛子とは全く関係なく、紅麹という麹菌の持つ色で、天然の色です。
決して辛いことはありません。
ほんの少しずつ、耳かき1杯分くらいでしょうか、チビチビといただきます。
味は、アルコールのツーンという香りと共に、ねっとりとチーズのような、酒粕のようなウニのような風味で、塩分はマイルドで少し甘味もあります。
私にはチョコレートのような風味も感じられました。
とても豆腐とは思えない味です。
11歳の息子と9歳の娘にも食べさせましたが、口に入れた瞬間、あまりのアルコール臭に驚いた顔をしてました。
そして口に合わないと言ってました。
アルコールの味がツーンと来ますから、子供や、お酒に弱い方は食べるのに注意が必要です。
まあ、とにかく珍味です。
豆腐ようの作り方
豆腐ようは、ものすごく複雑な工程を経て作られるような気がしますが、実際に作るのは簡単です。
1.豆腐の水を切る
2.水を切った豆腐を泡盛・米麹・塩と共に漬ける
3.熟成させる(半年以上)
たったこれだけです。
大切なのは半年間という熟成期間です。
半年間熟成させている間に、米麹に含まれるタンパク質分解酵素が、豆腐のタンパク質を分解して、また米麹に含まれるデンプン分解酵素が米麹のデンプンを分解して、複雑な味になるのです。
1ヶ月くらいの熟成でも豆腐ようの味にはなりますが、美味しくいただこうと思えば、やはり半年は熟成させた方が良いでしょう。
豆腐ようを作る
島豆腐 1丁
米麹 100g
泡盛 300mlくらい(豆腐が完全に浸かる量)
塩 20g
原材料となる豆腐は、沖縄の島豆腐という堅い豆腐を使います。
島豆腐は木綿豆腐よりも堅く、縄でしばっても崩れません。
この堅い島豆腐を使うのが鍵となりますが、私の住む京都に島豆腐は売ってません。
京都は豆腐が美味しいと言われる土地で、実際に美味しい豆腐が沢山売られています。
しかし、京都の豆腐は柔らかいのが特徴で、木綿豆腐でも、柔らかさを売りにしたソフト木綿などが売られていて、堅い豆腐はなかなか売ってません。
我が家のすぐ近くにある湯葉屋さんにも、めちゃくちゃ美味しい豆腐を売ってるのですが、柔らかいのです。
豆腐屋さんとスーパーを何軒も回って探した結果、近所の自然食品店でやっとの事で「堅もめん」という豆腐を見つけました。
小さいパックなので、2パックで1丁相当だと思います。
堅もめんを2個買ったつもりでしたが、間違って普通のもめんと堅もめんを買ってしまいました。
仕方がないのでこれで作りましょう。
豆腐の水を切ります。
水を切った豆腐です。
もっと水を切りたいのですが、重しをのせて水を切る方法では限度がありそうです。
豆腐を切って、冷蔵庫で3日間くらい置いて水分を飛ばしました。
これで島豆腐くらいの堅さになったでしょうか。
泡盛です。
泡盛とは、沖縄で黒麹を使って発酵させた単式蒸留焼酎です。
泡盛は、京都でも酒屋さんで売ってるので簡単に手に入ります。
全ての材料を適当な容器に入れました。
食用色素。
今回のレシピでは、普通の白い米麹を使いましたが、沖縄の豆腐ようは、紅麹を使います。
紅麹とは赤い米麹の事です。
お米に紅麹菌を植えつけると、真っ赤な紅麹になるのです。
沖縄の気候風土には白い麹菌よりも赤い紅麹や黒い黒麹などが育ちやすいようで、沖縄の豆腐ようには紅麹が使用されています。
画像の食用色素には「ベニコウジより得られる色素です」と書いてあります。
これを使えば、紅麹を使ったのと同様の効果が得られるのではないでしょうか。
食用色素を投入。
色素が混ざって全体が赤くなりました。
それでは、このまま常温で半年間熟成させます。
3ヶ月経過
赤い色素がちょっと色あせたような感じです。
匂いは、泡盛のツーンとくる香りに、麹が糖化した甘酒のような甘ったるさを足したような匂いです。
半年経過
赤い色素がさらに色あせて、ちょっと茶色っぽくなってます。
匂いは、3ヶ月の時点とあまり変わりませんが、ちょっと熟成香が足されたような気がします。
それでは、これで完成という事で、いただいてみましょう。
豆腐よう完成
自家製豆腐よう。
色は赤くありません。
茶色になってしまいました。
こんな事になるなら、紅麹色素を使わずに、いっその事、白い豆腐ようにすればよかったです。
しかし、味は、完全に豆腐ようの味です。
上手くいきました。
やったー!
そして、ちょっと柔らかいです。
やはり、島豆腐でないと濃厚でねっとりとした豆腐ようにはならないのでしょう。
ソフトタイプの豆腐ようになりました。
まとめ
そんな訳で、豆腐ようは簡単に作る事ができました。
簡単と言っても半年の熟成期間が必要なので、ハードルは決して低くないです。
それでも、実際に完成品を食べてみて本当に豆腐ようの味になっているのには感動しました。
まだまだ日本にはいろんな発酵食品があるので、興味は尽きません。
挑戦は続きます。