生のらっきょう1kgです。
らっきょう漬けを作るために買いました。
実は、生のらっきょうを買って、自分で漬けたのは今回が初めてでした。
しかも、一般的な漬け方でなく、発酵させて漬けるという方法です。
今まで発酵食品をいろいろやってきたおかげで、経験値があったためか、特にトラブルも無く、美味しく漬ける事ができました。
という訳で、発酵させるらっきょうの漬け方を紹介します。
1.らっきょうの下ごしらえ
洗って薄皮を剥き、先端と根の部分を切り離します。
下ごしらえは、これだけの事ですが、らっきょう1kg全てをこのように処理するのは、簡単ではありません。
だから下処理済みの洗いらっきょうが売っているのですね。
しかし、自分で下処理したほうが風味は良いですよ。
1kgのらっきょうの下ごしらえをするのに40分くらいかかりました。
下処理済みのらっきょうは、根と先端と皮を取り除いたので700gくらいです。
これを漬けるのですが、今回は2種類の漬け方で漬けました。
2.ちょっと発酵させる普通のらっきょう甘酢漬け
下処理済みらっきょう 300g
15%食塩水 200mlくらい
甘酢 200mlくらい(市販のらっきょう酢でも良い)
下漬け:3週間以上
塩抜き:1日
本漬け:3日以上、できれば10日以上
下漬け
らっきょうを15%の食塩水に漬けて温かいところに置いておきます。
夏の日光が当たるような暑い場所に置いておいても大丈夫です。
いや、むしろ暑い場所の方が、発酵が進んで好ましいです。
15%の食塩水で漬けてますから簡単には腐りません。
恐ろしく不潔な容器に入れていたら別ですが、普通に洗った容器に入れているなら絶対に腐らないと思います。
乳酸菌や酵母菌がじわじわと活動して美味しくしてくれます。
漬け始めてから2~3日は、発酵によりガスが発生して小さな気泡が少し出てきます。
小さな気泡は、微生物が美味しくしてくれている証だと思ってニヤニヤ眺めておくと良いでしょう。
漬けてから25日後
しっかり漬かったように見えるので、次の工程に移ります。
塩抜き
1日水にさらして塩を抜きます。
1日というのは24時間の事です。
24時間も水を流しっぱなしにするのはもったいないので、何時間おきか、気が付いた時に水を替える方法で良いです。
最終的に、らっきょうを少し切り取って食べて、塩の抜け具合を確認しましょう。
塩味が薄い、もしくは薄すぎると感じるくらいがちょうど良いです。
ちゃんと塩の抜け具合に納得してから本漬けに移ります。
本漬け
甘酢に3日以上、できれば10日以上漬けたら食べられます。
いや、3日で食べることはできますが、はっきり言って早いです。
10日漬けると甘酢が完全に浸み込んで美味しく、しかも柔らかくなります。
甘酢は、市販のらっきょう酢でもいいですが、簡単なので手作りする事をお勧めします。
昆布だし 100ml(面倒なら水でも可)
米酢 100ml
砂糖 50g
塩 1g
※米酢の作り方は、以下の記事をご覧ください。
米酢を作る 仕込み編
米酢を作る 完成編
完成
いただきます。
ポリポリ…
うまい!
らっきょうの風味がモロに感じられます。
そして発酵による旨味がプラスされて美味しいです。
やはり手作りした甲斐がありますね。
さて、次は最初から最後まで微生物の発酵による力で漬ける方法です。
今までのは前座で、これからが本番になります。
3.酢を使わない乳酸発酵で酸味を出すらっきょう漬け
下処理済みらっきょう 400g
水 400ml
砂糖 80g
塩 20g
漬け:1ヶ月以上
工程は、要するに、1ヶ月以上漬けて置いておくだけという事です。
漬け始め
水に砂糖と塩を溶かしておきます。
そこに下処理済みのらっきょうを入れ、そのまま夏の日光が当たるような暑い場所に1ヶ月以上放置しておきます。
ベランダの直射日光が当たるような場所に置いてました。
現代農業という雑誌の2017年7月号に、直射日光の当たるような所に置いておくと良いと書いてあったので、そのようにしました。
この塩分濃度でこんな所に置いておけば腐るのではないかと思うかも知れませんが、不潔な容器にでも入れない限り大丈夫です。
らっきょうに住んでいる乳酸菌や酵母菌が活躍して、腐敗菌が活躍できないようにしてくれるのです。
発酵菌の力で美味しくなり、腐敗を防いでくれるだけでなく、健康にも良いです。
このように発酵食品は面白い事ばかりなのです。
漬けてから5日経過
画像では分かりませんが、小さな気泡がポツポツと発生して、発酵が始まっているのが分かります。
漬けてから35日経過
漬け汁は白く濁り、濁り成分は沈殿しています。
らっきょうも漬け始めは浮いていましたが、今は沈んでいます。
では、いただいてみましょう。
完成
酢を使わずに、乳酸発酵で酸味を出したらっきょう漬けです。
いただきます。
ポリポリ…
うっ…
うまい~っ!!
フルーティーな甘酸っぱさと発酵による本物の漬物の味がします。
そして柔らかく仕上がっています。
とてもお上品な味です。
ところで、京都では「お上品な味」という表現には相反する2つの意味があります。
一つは、文字通り味が上品であるという意味です。
このらっきょう漬けの味の事です。
また高級料亭での料理もお上品な味ですね。
もう一つの意味としては、味が薄くて不味い場合のお世辞として使われます。
京都の人は、味が薄くて不味い料理を出された場合は、「お上品な味ですね。」と言います。
もし、京都の人に手料理を振舞って「お上品な味」と評価されたらマズかったんだと思ったらいいでしょう。
京都では、ほとんどの料理を薄味で作りますので、ほとんどの料理の評価を「お上品な味」という言葉でカバーできます。
また逆に、味が濃くて不味い場合は「しっかりした味」と言います。
「しっかりした味」という表現は、「お上品な味」に比べて言葉の文化としての成熟度合いが浅いように感じられます。
味が濃くて不味い料理の歴史が浅いのでしょうか?
4.まとめ
そんなこんなで、話は脱線しましたが、酢を使わずに、乳酸発酵で酸味を出したらっきょう漬けは、めちゃくちゃ美味しいです。
しかも、漬けるのは簡単です。
1ヶ月以上放置しておくだけです。
ちょっと発酵させる普通のらっきょう甘酢漬けでも、食べられるまでに1ヶ月かかるのですから、しかも途中で塩抜きしたり甘酢を作って本漬けしたりと手間がかかります。
それに比べて、乳酸発酵で酸味を出したらっきょう漬けは、放置しておくだけです。
こんなに簡単なのに、しかも発酵食品だから健康に良いのに、あまり作っている人がいません。
これを読んだ方は、是非とも挑戦してみてください。