前回紹介したサラダチキンの成功で肉の低温調理に興味が沸いてきました。
肉の低温調理とは、50~80℃あたりの温度でじっくりと調理する事です。
肉という食物は、火を通しすぎると硬くパサパサになってしまいますが、低温調理した肉は、柔らかくしっとり仕上がります。
例えば鶏ムネ肉なんて、火を通しすぎたら硬くてパサパサになって、美味しくなくなる食材の典型ですが、低温調理する事によって柔らかいサラダチキンになるのです。
サラダチキンの記事:超簡単で驚きの柔らかさ!サラダチキンの作り方
サラダチキンが柔らかく調理できたのと同じように、牛肉も豚肉も柔らかくなるのです。
それでは、硬くなってしまいがちの肉を柔らかく仕上げる低温調理という方法を探求してみます。
1.低温調理と言えばローストビーフ
1-2.調理開始から2時間後
1-3.ローストビーフのたれを作る
1-4.ローストビーフの仕上げ
1-5.牛肉の食中毒リスクについて
1-6.ローストビーフの完成
2.低温調理で厚切りステーキ
3.まとめ
低温調理と言えばローストビーフ
霜降り肉のような、サシの入った牛肉の場合は、最初から柔らかいので低温調理してもあまり意味がありません。
しかし、脂身の少ない肉で低温調理はその威力を発揮します。
米国産牛肩ロース約300gです。
肉の重さに対して1%くらいの塩と、ブラックペッパーを適当に表面にまぶし、赤ワイン少々と一緒にビニール袋に入れます。
赤ワインの量は、量ってませんが大さじ2~3杯くらいだったかな、肉の重さの1割くらいでしょうか。
安いポリエチレンの袋を使っていますが、ジッパー付きの袋でも、もちろんOKです。
鍋にお湯を入れて、60℃まで加熱します。
60℃になってから、ビニール袋ごとお肉を入れます。
肉を沈めて、水圧で袋の中の空気を抜いて真空のような状態にします。
ジッパー付き袋の場合は、真空のような状態にしてからジッパーを閉じると良いでしょう。
私の場合、袋の口は閉じずにそのままにしています。
後で鍋の蓋を閉めるときに、鍋の蓋で袋の口を押さえて、閉じたような状態にしてます。
温度は61.2℃まで上がりました。
ここで火を止めます。
一応、理想は、58℃くらいの温度を保ち、2時間調理です。
低温調理器というアイテムを使えば、58℃に設定して2時間待てば完成ですが、低温調理器という物は、最近かなりお手ごろ価格になってきてますが、それでも結構な値段がするので簡単に買える物ではありません。
だから私は、今のところ低温調理器を買わないつもりです。
頑張って低温調理器を使わない方法で低温調理を実践します。
ですが、将来的に低温調理器を買うかも知れません。
さて、61.2℃で火を止めました。
火を止めたら当然、温度が下がります。
温度が下がればまた火を点けます。
それを繰り返すわけです。
実際は火を止めてから30分おきくらいに温度を点検しました。
火を止めて30分後には55℃くらいまで温度が下がっていたので、また火を入れて61℃くらいまで加熱して火を止め、また30分後に同じ事を繰り返しました。
調理開始から2時間後
こんな状態になりました。
色が変わって火が通った色になりました。
ローストビーフのたれを作る
袋の中は、肉汁と赤ワインが混ざった水分がたまっています。
袋にたまった水分に、醤油大さじ1を加えて煮詰め、ローストビーフのたれを作ります。
ローストビーフの仕上げ
フライパンでサッと焼いてお肉の表面に焦げ目を付けます。
焼かなくても食べられますが、これをしないと焼いた香ばしさが無く、味が物足りません。
焼いてから10分以上置いて、肉を休ませたら完成です。
牛肉の食中毒リスクについて
食中毒のリスクを回避する為にも表面を焼いておく必要があります。
牛肉は表面に菌が付いても内部に菌が入り込む可能性は少ないので、表面を焼いておけば普通の人は食中毒になる心配はありません。
仮に内部に菌が入り込んだとしても58℃で2時間加熱しているのですから、菌は、ほぼ死滅しているでしょう。
一応、厚生労働省の基準では肉の中心部分が63℃で30分維持できれば食中毒を予防できるとされています。
心配な方は63℃で30分調理してください。
ローストビーフの完成
低温調理のローストビーフ。
ピンク色の理想的な色になっています。
美味しそう。
たれをかけて、わさびと酢玉ネギを添えていただきます。
めちゃくちゃ美味しいです!!
柔らかくて、しっとり瑞々しく、肉の旨味と香りが活きています。
これは絶品!!
米国産の安い牛肉がこんなにも美味しくなるなんて!!
子供達も気に入ってモリモリ食べました。
これは大成功でした!
※ローストビーフをもっと知りたい方は
↓こちらをご覧ください↓
低温調理で厚切りステーキ
米国産肩ロース厚切りを買ってきました。
デカイです。
600g以上あります。
肉の重さに対して1%くらいの塩と、ブラックペッパー・ナツメグ少々・山椒少々を表面にまぶしてビニール袋に入れます。
このブラックペッパー・ナツメグ少々・山椒少々というスパイスの配合は、ステーキのスパイスとして使えるので覚えておくと良いでしょう。
袋ごとお湯に沈めて真空のような状態にします。
お湯の温度は、58℃くらいで1時間調理します。
実際は60℃まで上がってから火を止めて、30分後に点検すると55℃くらいまで下がっていたので、また60℃くらいまで加熱して、さらに30分放置しました。
1時間後には、袋の中に肉汁が溜まります。
それに醤油を加えて煮詰めるとステーキソースになりますが、今回はそれをやらず、その肉を冷蔵庫で冷やし、バーベキューで炭火焼にしました。
低温調理でおまけに炭火焼のステーキです。
炭火で表面を焼きます。
低温調理をしたので、もうすでに中まで火は通っています。
だから表面に焦げ目を付けるだけでいいです。
けど、肉を冷蔵庫で冷やしていたため、中が冷たいと美味しくないので、中がある程度温かくなるようにじっくり焼きます。
まな板に取り出して、10分以上休ませます。
休ませた肉を一口大に切りました。
いただきます。
確かに、肉をそのまま炭火で焼いたよりは、低温調理したおかげで、柔らかくなっています。
特に、脂身の柔らかさが目立ちます。
厚切りステーキの場合、肉はレアでもちろん美味しいのですが、脂身がレアだと美味しくないです。
低温調理したおかげで、脂身までしっかりと火が通って柔らかくとろけました。
ただし、低温調理した後に冷蔵庫で冷やしてしまったために、それを温めるために炭火で焼く時間が長くなってしまいました。
家で低温調理してから、バーベキュー会場まで移動するまでの間、家から真っ直ぐバーベキューに向かったわけでなく、車で一日色々と移動した後でバーベキューだったので冷やしてクーラーボックスに入れるしか方法が無かったのです。
真夏の炎天下の中の車ですからね。
どれだけ暑い事か。
逆に生の肉をそのまま車の中に置いておけば低温調理ができたかも知れませんね。
太陽光による低温調理、省エネで理想的ですね。
ちょと試すのは怖いですが…
さて、焼く時間が長くなったおかげで肉がちょっと硬くなってしまいました。
生の肉をそのまま焼くよりは、低温調理したおかげで柔らかく仕上がりましたが、低温調理ローストビーフを食べた時ほどの感動はありませんでした。
肉が温かい状態のまま表面だけを炭火でジュッと焼けば、きっと驚きのステーキになったと思います。
素材が安いお肉なだけに、調理法を間違うと美味しくいただく事は期待できません。
しかし、正しい調理法を守ると感動的な美味しさになります。
※低温調理ステーキについてもっと詳しく知りたい方は
↓こちらをご覧ください↓
まとめ
・肉の重さに対して1%くらいの塩と、ブラックペッパーを適当に表面にまぶす。
・肉の重さに対して1割くらいの赤ワインと一緒にビニール袋に入れる。
・58℃のお湯に袋ごと沈めて、真空のような状態にし、2時間調理する。
・袋にたまった水分に醤油大さじ1を加え煮詰め、ローストビーフのたれを作る。
・肉の表面をフライパンでサッと焼いて焦げ目を付け、10分以上休ませる。
・スライスしていただく。
・肉の重さに対して1%くらいの塩と、ブラックペッパー・ナツメグ少々・山椒少々を適当に表面にまぶし、ビニール袋に入れる。
・58℃のお湯に袋ごと沈めて、真空のような状態にし、1時間調理する。
・袋にたまった水分に醤油加え煮詰めるとステーキソースになる。
・肉の表面をサッと焼いて焦げ目を付け、10分以上休ませていただく。
という訳で、低温調理はちょっと手がかかりますが、ローストビーフなんて、オーブンで調理する場合でも手がかかりますから、私に言わせればどちらも同じです。
おまけにオーブンでローストビーフを作る場合、肉の大きさによって温度や焼き時間などを調節しなければいけないので経験値が必要です。
私には、その経験値がありません。
それに比べて、低温調理は、温度をある程度守るだけで上手くいきます。
経験値の無い私でも1回目から上手くできました。
はっきり言って簡単ですよ。
では次回は、なぜ低温調理でこのように感動的な美味しさになるのかを説明します。
それを理解する事によって、より低温調理を極める事が出来るでしょう。