1kgの塊肉を低温調理ローストビーフにする
第14回世界料理研究会(前編)
2019年9月某日、第14回世界料理研究会が、京都市右京区京北(けいほく)にある山の家で行われました。
今回のメインは、炭火で焼く、ど迫力の1kg塊肉ローストビーフです。
【目次】
1.アマゾンでグラスフェッドビーフ1kg塊を購入
2.塊肉を焼く時の注意
3.低温調理なら技術は不要
4.低温調理で1kgの塊肉ローストビーフの仕込み
5.炭火を熾す
6.仕上げ 炭火でローストビーフを焼く
7.ローストビーフを切り分ける
8.ローストビーフをいただく
9.まとめ
アマゾンでグラスフェッドビーフ1kg塊を購入
今回は、豪快な肉料理を作ってみたいと思い、アマゾンでグラスフェッドビーフ1kg塊を仕入れました。
オーストラリア産グラスフェッドビーフ1kg塊。
グラスフェッドビーフとは、牧草で飼育された牛肉の事です。
赤身が多く、オメガ3系の脂肪酸が多く含まれています。
塊肉を焼く時の注意
バーベキューで塊肉を焼くと、迫力があり、ビジュアル的に映えます。
一度はやってみたいと思う料理ですね。
けど、塊肉を美味しく焼くにはちょっと技術がいります。
単純に中まで火を通そうと長時間焼くと、表面は焦げて、焼きすぎてパサパサになり、おまけに中心部は生で美味しくないという事態になりかねません。
1kg級の塊肉を上手に焼こうと思えば、必ず経験がものを言います。
例えば、練習のために500gの塊肉を焼いてみても、その経験は1kgの肉を焼く時には、あまり役に立ちません。
実際に同じ1kgの塊肉で、最低でも1回は練習してからでないと、的確な火力と焼き時間の判断なんてできません。
肉の火入れというのは、その技術だけで、何冊もの専門書が出てるくらいの分野なのです。
バーベキューで女子達に良い所を見せようと思っている男子諸君は、肉の火入れを甘く見てはなりません。
低温調理なら技術は不要
低温調理を使えば肉の火入れ技術は不要です。
調理温度さえ守れば、肉の中心部が生ではなく、ほんのりピンク色で柔らかい、という理想的な火入れが実現できます。
しかも、プロを凌駕するほど柔らかく美味しくできるのです。
低温調理は、現代の科学が生んだ最先端の調理技術なのです。
低温調理が美味しい理由は
↓こちらをご覧ください↓
低温調理で1kgの塊肉ローストビーフの仕込み
まず、バーベキューに行く前に、家で仕込みが必要になります。
バーベキューに行く前日の夜でも、当日の朝でも良いので、低温調理をしておきます。
【材料】
グラスフェッドビーフ 1kg塊
塩・胡椒 お好みの量
赤ワイン 50mlくらい
肉の表面に塩コショウをまぶし、ビニール袋に入れます。
使用したビニール袋は、普通のポリエチレン製の袋です。
ジッパー付の袋でも、もちろんOKです。
60℃くらいのお湯に袋ごと沈めます。
お湯に沈めると、袋の中の空気は水圧で押し出されて真空みたいな状態になります。
少しくらい空気が残っていても問題ありませんが、ちゃんと沈めて空気が残っていない状態にします。
袋の口は空けたままにしています。
鍋の縁に袋を引っ掛けて、鍋の蓋を閉めたら、ほぼ密閉されます。
この時点での、お湯の温度は、アバウトでいいです。
お湯の温度が低ければ、温めればいいですし、少しくらいお湯の温度が高くても、冷たい肉を入れるわけですから、すぐにお湯の温度は下がるので大丈夫です。
ただし、沸騰するほどの熱湯はいけません。
鍋の底は熱くなるので、肉が鍋底に触れないようにするために、底網を敷いてます。
底網がなければ、お皿でも何でも良いので、とにかく底に何か入れて肉が鍋底に触れないようにします。
おっと、赤ワインを入れるのを忘れていた。
袋の中に赤ワインを入れます。
そして、また袋ごとお湯に沈めます。
お湯の温度は、56℃を2時間キープします。
低温調理器があれば56℃に設定すれば2時間放置でいいです。
私は、60℃くらいに温めて、1時間放置してから、58℃くらいに温めて1時間放置しました。
温度計がない場合は、体感で温度を判断します。
56℃という温度は、お湯に指を第2関節まで突っ込んで1秒くらいなら我慢できる熱さです。
手首から先をを丸ごとお湯に入れるのは我慢できない熱さです。
2時間低温調理したものです。
袋の中に出てきた肉汁に赤ワインと醤油大さじ3を入れ、煮詰めたら、ローストビーフのたれになります。
これで仕込みは完了です。
低温調理した肉は、温かいままバーベキュー会場へと持っていきます。
3時間くらいなら温かいまま置いておいても腐りはしないでしょう。
炭火を熾す
チャコールスターター(チャコスタ)を使って炭火を熾します。
着火材を持って来なかったので、薪を少し燃やして、薪の炎で炭に火をつけました。
使用している炭はオガ炭です。
オガ炭とは、おが屑を固めて炭にしたもので、火は点き難いですが、火が長持ちして使いやすいです。
よく売ってるバーベキュー用の安い炭は、火を点けやすいですが、マングローブを原料にしていて、マングローブの伐採が森林破壊を引き起こしている事と、炭質が悪く、炭から炎が出る事が気に入らず、私は使いません。
オガ炭は、強引に伐採されたマングローブが原料だったりしますが、木材として加工した後のおが屑を原料としているので、森林破壊への影響はマイルドなのです。
それに、何故か炭質が良く、備長炭と同じレベルで使えるのです。
おまけに備長炭にある爆跳(ばくちょう)が起こりません。
価格も良心的です。
だから、私はいつもオガ炭を使用しています。
炭のことを語ると結構止まらなくなるので、機会があれば、炭の事を詳しく書いてみたいと思ってます。
オガ炭は、チャコスタを使って1時間くらいで火が熾ります。
火を熾している間に、他の準備を進めておきます。
真っ赤に燃える炭になりました。
これをバーベキューコンロにぶちまけます。
これで炭火の準備は完了です。
仕上げ 炭火でローストビーフを焼く
低温調理済みの温かい塊肉です。
強めの火力で一気に焼きます。
表面に焦げ目を付けるのが目的です。
低温調理したので、すでに火は通っているので食べられるのですが、焼いた香ばしさが無く、腑抜けみたいな味なのです。
表面に焦げ目を付けると、香ばしさが加わり、味が完成するのです。
しかも炭火で焦げ目を付けるのですから、最高の香ばしさが加わるのです。
3分くらい焼いて裏返しました。
良い色が付いてます。
側面も焼きます。
側面と言うのか、何面と言えば良いのか?
狭い面もトングで挟みながら焼きます。
焼けました。
これをアルミホイで包んで10分くらいは休ませた方が良いです。
肉は、焼いた時間と同じくらいの時間休ませるのが理想です。
10分くらい焼きましたから、10分くらい休ませると良いでしょう。
けど、5分くらい休ませただけで、切り始めます。
理由は、早く食べたいからです。
ローストビーフを切り分ける
肉を切ります。
肉の内部はどのようになっているでしょうか。
おお!!
理想的なピンク色の断面!!
色はピンク色なのに火が通っている状態です。
詳しく言うと、ミオシンというタンパク質は変成しているけど、アクチンは変成していない状態です。
これが低温調理の凄さ!!
ローストビーフをいただく
皿に切り分けて、ローストビーフのたれをかけて、焼き野菜を添えていただきます。
めちゃくちゃ美味しいです!!
とんでもなく柔らかくジューシーに仕上がっています。
そして、炭で焼いた香ばしさが加味され、もうたまりません。
参加者の中には、あまりの美味しさに失禁した人もいるでしょう。
中にはそれを見越してオムツを着用して参加した人もいました。
本当ですよ。
オムツ付けてたのは2歳児ですけどね。
とにかく最高に美味しかったです。
人生最高のローストビーフと評価してくれた人もいました。
まとめ
- グラスフェッドビーフとは、牧草で飼育された牛肉。赤身が多く、オメガ3系の脂肪酸が多く含まれている。
- 1kg級の塊肉を美味しく焼くには技術が必要。低温調理なら温度を守るだけで技術は不要。
- 1kgローストビーフは、56℃を2時間キープ。
- 炭は、オガ炭がお勧め。
- 仕上げに強めの火力で肉の表面に焦げ目を付ける。
- 肉は、焼いた時間と同じくらいの時間休ませるのが理想。
- 低温調理して炭火で焼いた1kgローストビーフは、めちゃくちゃ美味しい!
さて、次は恒例のスイーツと参りましょう。