米酢を作る 仕込み編

      2016/07/31

皆様、酢は発酵食品であるという事をご存知ですか?

酢は、アルコールを酢酸発酵させて作ります。
また、酢の原料となるアルコールは、糖分をアルコール発酵させて作ります。
ですから酢は、発酵に発酵を重ねた発酵食品なのです。

売っている酢は、熱処理されているために菌は死んでますが、どれも発酵に発酵を重ねて作られたものです。
発酵食品が大好きな私は、これまで酢作りに挑戦した事はありましたが、あまりパッとした成果は出ていません。
ナタデココを作ろうとして、間違ってココナッツ酢が出来上がった事がありますが、酢を作ろうとしてまともな酢を作った事はありません。

酢作りの方法は、分からない事が多かったのです。
それを調べようとしても、あまり詳しい資料が出回っていないのです。

「酢の作り方」なんてキーワードでググッてみても、実際に自分で作るのに役立つ情報には、ほとんどめぐり合えません。
これが、例えば「味噌の作り方」でググッたら、いくらでも情報が出てきますよ。
しかし、なぜか酢の情報は少ないのです。
本屋にも立ち寄り、いろいろ読んでみましたが、酢ができるまでの理論的な事が書かれてるものはあるのですが、手作りするための情報は、ほとんど見つかりませんでした。

そんなふうに困っていたある日、とうとうこんな本に出会いました。

誰でもできる手づくり酢 [ 永田十蔵 ]

誰でもできる手づくり酢 [ 永田十蔵 ]
価格:1,512円(税込、送料込)

私とこの本との出合いは、例えて言うなら男女が運命の出会いをしたかの如く、「ずっと前からこんな本を探していたのだ~!」という衝撃的なものでした。

タイトルどおり、誰でもできる酢の作り方が、分かりやすく丁寧に書いてあります。
この1冊のおかげで、私がずっと疑問だった事が、全て解決されました。
オトコ中村の推薦図書とさせていただきます。

この本を読んだ結果、酢はいろいろありますが、日本人の主食である米を使った米酢を作ってみようと思いました。
米酢は「よねず」とも「こめず」とも「こめす」とも読めるみたいです。

読み方よりも作り方ですよね。

スポンサーリンク




米酢の作り方

米酢は、当たり前の事ですが、米から作ります。
米250gで、酸度4~5%の酢を1リットル作る事ができます。
JAS規格では、米酢1リットルにつき米40g以上を使えば米酢と表記できるので、米を40gさえ使えばあとは安い原材料を混ぜても良いです。

例えば、ミツカン米酢の原材料をみると、米・アルコールと表記されています。
このアルコールとは、おそらく砂糖を精製する時に出る廃棄糖をアルコール発酵させたものでしょう。
安い酢は、そういった原材料で作られています。
しかし、ここで安い酢の事を悪く言うつもりはありません。
ただ、安い酢はそういう物なのだという事が言いたかっただけです。
ミツカンの米酢は安くて手に入りやすいので消費者にとってはありがたい商品であり、私も買ってます。
ちなみに米100%の酢は、純米酢と表記されていると思います。

余談になりますが、リンゴ酢は、リンゴ果汁1リットルで、おおよそですが酸度4~5%のリンゴ酢を1リットルを作る事ができます。
JAS規格では、リンゴ酢1リットルにつきリンゴ果汁300g以上を使えばリンゴ酢と表記できるので、あとはアルコールなど、安い材料を混ぜても良いです。
リンゴ100%の酢に関しては、純リンゴ酢など表記されてると思います。
原材料を見て確認しましょう。

さて、本題に戻ります。
米酢は、まず、米を原料にして日本酒を作り、その日本酒を原料にして酢を作ります。
日本酒を仕込む時、本来なら米を蒸すのですが、我が家では蒸すのが困難なので、硬めに炊きます。
米を炊いても蒸しても、ちゃんと酒になりますが、蒸せる鍋があるなら蒸した方が良いと思います。

◆酢の原料となる酒の作り方

〈材料〉
米麹 1kg
米 1升
米を炊く用の水 1リットル
仕込み水 2リットル
ドライイースト 1g

※米麹の作り方は 米麴作りに挑戦! をご覧ください。

まず、米を洗って一晩水に漬けて、十分に水を吸わせてから炊いて、冷まします。

容器に水を入れる仕込む容器は、蓋ができる容器なら何でも良いです。
これは漬物用の10リットル樽です。
容器に仕込み水を入れます。

米麹、ご飯を入れる米麹をほぐして入れ、冷ました米を入れます。

ドライイーストを入れるドライイーストを入れ、混ぜます。
ドライイーストを入れなくても、天然酵母が勝手に働いて発酵を始めると思いますが、確実に発酵を進めるために入れました。
そして、蓋をして暖房の効いた暖かい部屋に置いておきます。
暖かい部屋だと、1週間くらいで完成します。
酒蔵など伝統的な製法では、暖房など効かせずに1ヶ月くらいかけて発酵させます。

米麹が作り出した酵素が、米のデンプンを糖に変え、その糖を酵母菌(イースト)がアルコールと二酸化炭素に変えます。
また、米に含まれているタンパク質も酵素によってアミノ酸に分解されます。
このアミノ酸が、酢に旨味を与えてくれます。

発酵させる容器の蓋をしっかり閉めると、特にガラス瓶などの場合、蓋をしっかり閉めると、発酵によって発生した二酸化炭素の圧力で瓶が破裂する恐れがあるので、蓋は軽く閉めるようにしましょう。
漬物樽の蓋は、載せておくだけなので、破裂の心配はありません。

3日後仕込から3日後。
シュワシュワーと音をたてて元気に発酵しています。
二酸化炭素の気泡が沸き立って、米粒が浮いています。

この浮いているものを粕蓋(かすぶた)と呼びます。
粕蓋の空気に触れている部分に、雑菌が繁殖する可能性があるので、たまに混ぜて沈めてやります。
発酵させている間、粕蓋を混ぜて沈める以外は、特に何もする必要はありません。
基本的に放置です。

スポンサーリンク

10日後仕込みから10日後。
発酵の勢いが弱まってきました。
これで発酵完了とします。

酒を布で濾す発酵が完了した酒を布で濾します。

ペットボトルに入れる濾した酒は白く濁ってますが、数日置いておくと、白濁成分は沈殿します。
濁ったままでも酢にはなりますが、きれいな酢にしたいので、このまま置いて沈殿させます。

沈殿する数日経ちました。
この上澄みを使います。
これでいよいよ酢の原料となる酒ができました。
それでは、酢を仕込みましょう。

◆酢の仕込み(2リットルの瓶で仕込む場合)

〈材料〉
酒 600ml
水 800ml
市販の酢 500ml
種酢 100ml

※市販の酢を混ぜる理由は、酢作りにおいて有害菌となる産膜性酵母の発生を防ぐ為です。
産膜性酵母は、酢酸菌と生育条件が非常に似ているために、発生しやすく、また酢酸発酵を著しく阻害するので、絶対に発生させてはいけません。
ただ産膜性酵母は、酢酸菌と違い、酸性に弱い為、仕込み時に酢を入れて、酸性にしてやる事によって発生を防ぐ事ができます。
伝統的な酢作りをしているお酢屋さんでもそうしています。
こうして出来た酢は、市販の酢が3割近く混ざっている計算になり、自家製と言えど、自家製の度合いは7割くらいで、ちょっと物足りない感じがします。
しかし、また再び酢を仕込む時に、自家製酢を加えて仕込めば、完成した酢の自家製度合いは高まり、それを繰り返せば、完全に自家製と言えるものになるでしょう。

※種酢というのは、酢酸菌が生きた酢の事です。
これによって酢酸発酵を促します。
市販の酢は、熱処理されたり濾過されて無菌であるために、種酢にはなりません。
菌が生きている酢なんて、私は売っているところを見た事ありませんので、入手は極めて困難だと思います。
種酢を入れなくても、空気中の酢酸菌が繁殖してくれるでしょうし、また柿などの果物を入れると、果物についている酢酸菌が繁殖してくれる事もあるでしょうから、無くても大丈夫だと思います。

ココナッツ酢我が家には、偶然にもこのような種酢がありました。
これはナタデココを作ろうとして間違って出来たココナッツ酢です。

※ココナッツ酢について詳しくは ナタデココを作る をご覧ください。

熟成とともに色が黒くなり、ココナッツ黒酢になりましたが、酢酸菌が生きている正真正銘の種酢です。
これは、空気中の酢酸菌が繁殖したのか、リンゴの種から酢酸菌が繁殖したのか、どちらかは分かりませんが、そのいずれかです。
とにかく、ありがたく、これを使わせていただきます。

全ての材料を瓶に投入2リットルの瓶に、全ての材料を入れました。

ネットをかぶせる酢酸発酵には、酸素が必要なので、瓶の蓋をしっかり閉めてはいけません。
少し開けておくと良いのですが、埃や虫が入らないように、生ゴミ用の水切りネットをかぶせました。
この上に、少し隙間が開くように蓋を乗せます。
酢酸菌が活発に活動する温度は、20~30℃くらいなので、冬でも比較的暖かい冷蔵庫の上に置きました。
発酵期間の目安は1~3ヶ月です。

4日後仕込みから4日経過。
これがもし酒の発酵なら、シュワシュワーと音をたてて発酵するので分かりやすいですが、酢酸発酵は、ウンともスンとも言わないので、よく分かりません。

画像では見にくいですが、液面にうっすらと膜ができました。
この膜が酢酸菌の集まりです。
酢酸菌は、このように液面に浮いて酸素とアルコールを消費しながら発酵します。
酢酸発酵がスムーズに行われているかの判断は、この膜と臭いを見ることです。

間違って有害菌である産膜性酵母が膜を張った場合は、もっと白くて粉っぽい膜になり、シンナー臭がします。
こういった特徴から、酢酸発酵させている間は、液体を混ぜたり振動を与えたりすると、酢酸菌が沈んだりするので静置しておいた方が良いです。
逆に、産膜性酵母が発生した場合は、混ぜたり振動を与え、それを沈め、酢を追加して再発生を防ぎます。

2週間後仕込みから2週間経過。
膜が張り、ツーンと酢の臭いがします。
順調に発酵が進んでいる証拠です。
スプーンですくって味見をしてみましたが、ゲホッと咽るほど酸っぱかったです。
ほとんど酢として完成してると思いますが、まだ完成ではありません。

酢酸発酵が完了したかどうかの見極めは、酢酸菌膜が薄くなり、消滅する事で判断しますが、何しろ初めての事なので、まだよく分かりません。

続き 米酢を作る 完成編

スポンサーリンク




 -