バルサミコ酢を葡萄ジュースから作る方法

自家製バルサミコ

バルサミコ酢を葡萄ジュースから作る方法

お家で、葡萄ジュースから本格的なバルサミコ酢を作る事ができます。
バルサミコは、イタリアのモデナ地方に伝わる、葡萄果汁を醗酵させて作るお酢であり、醗酵食品です。
今回は、バルサミコ酢の作り方を発酵初心者の方でも分かるように丁寧にお伝えします。

【目次】
1.バルサミコとは
2.今回作るバルサミコは
3.バルサミコの作り方の流れ
4.バルサミコの材料
5.工程1.葡萄果汁を煮詰める
6.工程2.アルコール発酵させる
6–1.アルコール醗酵開始から1日経過
6–2.アルコール醗酵開始から5日経過
7.工程3.酢酸発酵させる
8.酢酸醗酵についてちょっと説明
8–1.酢酸発酵についてまとめ
9.酢酸発酵終了
10.バルサミコの試飲
11.今回作って思った事
12.まとめ
13.動画で説明

バルサミコとは

バルサミコを知らない方のために簡単にご説明します。

バルサミコとはイタリアのモデナ地方に伝わるお酢です。
葡萄果汁を煮詰め、木樽で長期熟成させて作ります。


画像引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/バルサミコ酢

イタリア語でアチェート・バルサミコ(aceto balsamico)と言います。
アチェートは「お酢」という意味
バルサミコは「香りがある」という意味です。

バルサミコは、その名の通り香りのあるお酢です。

そして、樽で長期熟成させて作ります。
中でも伝統的なトラディツィオナーレ(tradizione)と呼ばれるものは12年以上熟成させたものです。

今回作るバルサミコは

今回ご紹介する作り方では、熟成させません。
0年熟成の、なんちゃってバルサミコを作ります。

私のブログには、平気で1年熟成させましたとか、3年熟成させましたとか、そんなのが出てきますが、今回は、熟成させません。

短期間で作れますから安心してください。

ですが、熟成させたいと思う人は、何年でも好きなだけ熟成させてください。

バルサミコの作り方の流れ

作る前にバルサミコの作り方の流れを理解しておきましょう。

【バルサミコ作りの流れ】
工程1.葡萄果汁を煮詰める
工程2.アルコール発酵させる
工程3.酢酸発効させる
4.完成

このような流れになっています。

伝統的な作り方では、樽の中で「工程2.アルコール発酵」と「工程3.酢酸発酵」を同時に行いますが、お家で作るときは、別々に行う方が失敗が少なくて、発酵の進み具合も分かりやすいので、別々に行うことにします。

バルサミコの材料

【バルサミコの材料】今回作った量
葡萄ジュース 1リットル
ドライイースト 1g程度
赤ワインビネガー 180ml
レーズン 少々

この分量で、600〜700mlのバルサミコが出来ます。


葡萄ジュースのおすすめはこれです。
スジャータの赤葡萄ジュース。
これは濃くて美味しいです。


葡萄ジュースは何でも良いですが、使う葡萄ジュースが美味しければ、完成したバルサミコも美味しいものになりますから、ご自身が美味しいと思うジュースを使ってください。


今回使った赤ワインビネガーはこれです。
赤ワインビネガーだったら何を使っても構いません。

赤ワインビネガーを使う理由は後述します。


今回使ったレーズンはこれです。
オイルコーティングされていないものをお使いください。
これは有機ですが、オイルコーティングされてなければ有機でなくでも大丈夫です。

レーズンを使う理由は後述します。

工程1.葡萄果汁を煮詰める


お鍋に葡萄ジュースを入れて、火にかけます。
火力は弱火です。

煮詰めると言っても、沸騰させてはいけません。

本物のバルサミコは、温度が80℃を越さないようにじっくりと加熱し、24時間かけて半分の量になるまで煮詰めます。

私は、とても24時間もやってられないので、80℃をはるかに超えてますが、ギリギリ沸騰しない程度の火力で煮詰めました。

これを書きながら思いましたが、炊飯器の保温機能を使ったら80℃以下で煮詰めることが出来るかも知れないですね。
可能な人は、そのようにしてください。


少しずつ量が減っていき、1時間15分で半分くらいになりました。
これで火を止めました。

工程2.アルコール発酵させる

煮詰まった葡萄果汁をアルコール発酵させます。


そのために40度以下まで冷まします。
早く冷ましたかったので、冷水で冷ましました。


冷めたら適当な瓶に、まずは、ドライイーストを1g程度入れて
煮詰めたジュースを注ぎます。

瓶は、ペットボトルでも何でもいいです。


そして、蓋を閉めますが、密閉してはいけません。

アルコール発酵によって炭酸ガスが発生するので。密閉すると瓶の内圧が高まって、最悪の場合は瓶が破裂する事もあるので、蓋は軽く乗せるだけでいいです。

このまま暖かい場所に置いておきます。
冬なら暖房の効いた暖かい部屋に置いておきます。
夏なら、冷房が効いてない暑い所に置いておくと良いですよ。

これは6月末の京都でやってました。
今年は6月の末ですでに猛暑が始まりましたから、そんな暑い環境なら発酵が早く進みます。

アルコール醗酵開始から1日経過


液面のあたりに細かな気泡が発生しています。


これがアルコール発酵によって発生した炭酸ガスです。
このようにアルコール発酵は、見た目にはっきりと発酵してるという証拠を見せてくれるので分かりやすいです。

アルコール醗酵開始から5日経過


液面の気泡が無くなりました。


アルコール発酵は、完了してると思われます。


少しワイングラスに注いで、味を確かめてみます。

おおっ!

濃厚なワインになってます。
これでアルコール発酵は完了です。

夏だから早かったです。
冬だと1ヶ月か、それ以上かかる事もあります。
温度が低くても、例え冷蔵庫の中でもゆっくりですがアルコール発酵は進みます。
寒くても、時間はかかりますが、必ずアルコール醗酵は進みますのでご安心ください。

アルコール発酵が終了したかどうかの見極めは、
葡萄ジュースの糖分がアルコールと炭酸ガスに変わりますから、炭酸ガスの発生が無くなり、飲んでみて甘味が無ければアルコール発酵が完了したという事です。

【アルコール醗酵終了を見極める2点】
1.炭酸ガス発生の有無。
2.甘味の有無。

要するに飲んでみてワインになってたらOKという事です。

工程3.酢酸発酵させる

では、これを酢酸発効させます。


大きめのタッパーに、出来上がったワイン・赤ワインビネガー・レーズンを入れます。
そして、軽く蓋を閉めて、置いておきます。

こうすると酢酸発酵が始まります。
酢酸発酵とは、酢酸菌が、アルコールを原料に酢酸を作る事です。

酢酸醗酵についてちょっと説明

大きめのタッパーに入れるのは、酢酸菌が液面で酸素を消費しながら酢酸発酵するので、液面の面積が広ければ発酵の効率が上がります。
そのために大きなタッパーを使っています。

ワインビネガーを入れるのは、産膜性酵母という有害菌の発生を抑えるためです。
産膜性酵母は酸に弱いので、お酢を入れる事で発生を抑える事ができます。

それから、レーズンの表面に酢酸菌が付いてるので、レーズンを入れる事で酢酸発酵が始まります。

暖かい所に置いておきます。
20℃〜30℃くらいの環境が理想です。

冬なら、酢酸菌は20度を下回ると発酵が進まないので、暖房の効いた暖かい部屋の、例えば、冷蔵庫の上とか、暖かい場所に置いておくといいです。
夏なら30℃を超える暑い部屋でも構いませんが、可能ならエアコンの効いた涼しい部屋に置いておくと良いです。

酢酸発酵には酸素が必要なのでタッパーの蓋は完全に閉めないようにしましょう。
蓋を開けておいたら、虫やゴミが入ります。
またアルコールや酢酸は揮発します。
蓋は空気が通るように、ほんの少しだけ隙間を開けておきます。

酢酸菌は液面に浮いてコロニーを作って酢酸発酵をします。
液を混ぜるとコロニーが壊れて、発酵の効率が下がってしまうので、混ぜないように、あまり動かさないようにした方が、酢酸発酵が早く進みます。

酢酸発酵に必要な期間は、最短3日から、逆に長ければ1ヶ月以上かかります。
環境によって変わります。

酢酸発酵についてまとめ

酢酸発酵についていろいろ説明したんで、もう一度おさらいしておきましょう。

これらの事について、詳しくはお酢づくりシリーズの記事で詳しく述べてます。
詳しく知りたい方は、他のお酢作りの記事もご覧ください。

↓お酢作りの記事一覧↓
https://otokonakamura.com/category/hakkou/su/

酢酸発酵終了

酢酸発酵させてる間は、ほぼ毎日蓋を少し開けて匂いを嗅いで発酵の進み具合を確認してました。


軽く蓋を開けて隙間から匂いを嗅ぎます。

最初はアルコールの匂いが強く、酢の匂いが弱いです。
酢酸発酵が進むにつれて、アルコールの匂いが弱まり、酢の匂いが強くなってきます。

それで、酢酸発酵開始から16日経過した時の匂いは、アルコールを感じませんでした。
そして、完全にお酢の匂いでした。


念のためにスプーンですくって少し味見してみます。

おお!

完全にお酢になってます。

バルサミコの完成です。

本当は、これを木の樽で何年も熟成させますが、今回はこれで完成としておきます。


適当な瓶に移し替えました。

手作りのお酢は、空気に触れると酸化するので、保存する場合は、空気に触れないように密閉瓶に満タン入れると良いです。
密閉できない場合、もしくは、瓶に満タン入らずに、瓶に空気がたくさん入ってる場合は、冷蔵庫に入れておけば、ほとんど酸化しません。

バルサミコの試飲


完成したバルサミコを、ワイングラスに入れて飲んでみます。

酸っぱ〜い。

十分な酸味が出ています。

酸っぱいですが、まるでボディの強いワインを飲んでような感覚です。

葡萄の味が濃いです。
葡萄の味と言っても、甘味は全くありません。

そして、熟成香は感じられません。
若い感じです。

そんなバルサミコに仕上がりました。
満足の出来です。

今回作って思った事

今回、酢酸発酵させた環境が、気温が25℃〜35℃くらいの場所でした。
酢酸発酵させるには、少し気温が高過ぎたようです。

酢酸発酵完了までに16日もかかってますから、気温が高くて酢酸発酵が遅くなったと考えられます。
遅くなるだけなら良いですが、気温が高い事でアルコールや酢酸が揮発して、完成した酢の酸味が弱まってました。
計算では、とんでもなく酸っぱい酢ができるはずでしたが、程よい酸味でした。
酸度は私の体感で5〜6度程度だと思います。

今回作ってみて、酢酸発酵に理想的な温度は20℃〜30℃くらいである事が、改めて分かりました。
夏なら、エアコンの効いた涼しい部屋に置いておくのが良いと思います。

まとめ

  • バルサミコとはイタリアのモデナ地方に伝わるお酢。
  • 葡萄果汁を煮詰め木樽で長期熟成させて作る。
  • 今回は葡萄果汁を煮詰め、アルコール発酵させ、酢酸発効させて作る。
  • 本物のバルサミコは温度が80℃を越さないようにじっくりと24時間かけて半分の量になるまで煮詰める。
  • アルコール発酵によって炭酸ガスが発生するので、瓶は密閉しない。
  • アルコール発酵の終了は炭酸ガス発生の有無と甘味の有無で判断する。
  • 酢酸発酵については 酢酸発酵についてまとめ を参照。
  • 濃くて美味しいバルサミコが完成した。

動画で説明

動画では私が出演して熱く語っております。
動画でしか表現できない事もあるので、併せてご覧ください。

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このブログを書いてる人

オトコ中村
京都在住で2児の父 40代 料理を通じて皆が健康で幸せになればいいなと思っている。
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