天然麹菌で米麹を作る(前編)
天然麹菌で米麹を作る(中編)
の続き
天然麹菌で米麹を作るシリーズを書き始めたのは、最終的に成功するという勝算があったからです。
最終的に成功すれば、途中までの失敗談も美談となるでしょう。
そして最後に成功して、めでたし、めでたし。
というシナリオを、思い描いておりました。
そのつもりで(前編)(中編)と書き進めたのです。
ですが、実は、現時点では全く成功しておりませんし、勝算も疑わしい状態です。
だから、この(後編)を書くことをためらっていましたが、せっかく(前編)(中編)と、途中まで発表したのだから、(後編)まで発表しようと思ったのです。
一生懸命に実験を繰り返した結果をとりあえず読んでください。
〈前回までのあらすじ〉
天然麹菌を培養するために、3パターンのアプローチで実験しましたが、ことごとく失敗。
次は、ヨモギの葉に麹菌が住んでいるという情報から、ヨモギを摘んできました。
ヨモギから麹菌を育てる
お米2合を蒸しました。
炊くよりも蒸す方が、お米に含まれる水分が少なく、雑菌の繁殖が抑えられるのではないかと思い、そうしました。
小さじ1杯分くらいの灰をまぶします。
灰の上澄みでご飯をラーメン化させるよりも、灰をまぶした方が雑菌の繁殖を抑えられそうな気がしたので、こうしました。
理由は何となくです。
灰を混ぜます。
ホームベーカリーの容器に灰をまぜたご飯を少し入れ、その上にヨモギの葉を入れます。
またその上からご飯→ヨモギ→ご飯と乗せ、それをホームベーカリーにセットします。
生種おこしに設定します。
これは本来、ホシノ天然酵母を起こすモードで、これに設定すると30℃で24時間保温されます。
けど、12時間経った時点で取り出します。
12時間後
ヨモギを取り出します。
見た目には変化はありませんが、これでヨモギに住んでいる麹菌がご飯にも移り住んだはずです。
40℃のオーブンで24時間保温します。
麹菌は酸素を好むので、蓋は少しずらして空気の通り道を作っておきます。
そして…
24時間後
あれ!?
変化なしです。
麹菌が少なくて増えるのに時間がかかるのかも知れません。
もう少し様子を見てみましょう。
そして…
さらに24時間後(合計48時間)
あれれ~!?
変化無しです。
もしかして、麹菌が付いてなかったのでしょうか。
全く腐敗しているような雰囲気も無いので、灰の防腐効果はバッチリのようです。
灰の防腐効果が強すぎて麹菌すら育たなくなってしまったのでしょうか?
いずれにせよ、もうしばらく様子を見ます。
そして…
さらに24間後(合計72時間)
まだ変化なし!
そして…
さらに24時間後(合計96時間)
まだまだ変化なし!!!
このままでは永遠に変化が無さそうです。
少しずつ乾燥が進んでいるので、最終的には乾し飯が完成するというコースが見えてきました。
このままではいけない。
何か変化を与えないと。
この状況を打破するために、またヨモギを摘んできて埋め込みました。
ヨモギを埋め込んでから24時間後
おや?
画像を拡大してみましょう。
白いふわふわのお米が何粒か発生しています。
いいぞ!
頑張れ!
※この時点で勝算ありと判断して 天然麹菌で米麹を作る(前編) をアップしました。
ヨモギを入れたままかき混ぜて、さらに12時間40℃で保温します。
ヨモギを埋め込んでから48時間後
全体が真っ白になっているかと期待しましたが、そんなに都合良く事が運んでません。
少ない麹菌が部分的に育っているだけなので、まだ全体に広がってないのでしょう。
ヨモギを埋め込んでから60時間後
全体的には麹菌は広がってません。
ヨモギの葉を取り出して見てみると、葉の裏に付いているご飯粒が、特に白いふわふわになっているように見えます。
麹菌は、ヨモギの葉の裏側に住んでいるのではないでしょうか?
ヨモギを埋め込んでから84時間後
白いふわふわもあるのですが、違う色の奴がちらほらと出てきました。
違う色の奴は、表面に見えている限りは箸でつまみ出しましたが、これは非常にマズイ状況です。
ヨモギを取り出して、混ぜてみました。
ヨモギを埋め込んでから108時間後
あちゃ~。
麹菌とは違う色の奴らが、完全に優位になってしまいました。
拡大。
緑っぽい部分が所々に確認できます。
完全にアウトです。
そもそも臭いが完全にアウトです。
トホホ…
しかし、最終的にはアウトになりましたが、白いふわふわのご飯が発生しただけでも大いに前進です。
【今回の実験で分かった事】
ヨモギには麹菌が住んでいるっぽいという事。
特にヨモギの葉の裏側に麹菌が住んでいるっぽいという事
以上の結果を踏まえて、また挑戦
2合のお米を蒸して、灰をまぶし、たっぷりのヨモギと混ぜました。
これを40℃で保温します。
先ほどの実験との違いは、ヨモギの量が多い事と、30℃での保温を経ず、いきなり40℃で保温を始めるという事です。
24時間経過
上に乗せたヨモギが朽ちてしまいました。
ご飯には変化は見られません。
朽ちたヨモギは取り除きます。
さらに24時間後(合計48時間)
ご飯には変化無しです。
ヨモギが全体的に朽ちて真っ黒になってきました。
今回のヨモギが何故朽ちたのでしょうか?
謎です。
さらに24時間後(合計72時間)
新鮮なヨモギに替えました。
ご飯には特に変化がありません。
いや…
実は…
匂いが…
ちょっと先行き不安な匂いがしてます。
さらに24時間後(合計96時間)
あちゃ~。
やはり違う色の奴が発生してしまいました。
拡大。
緑っぽい部分が散見され、これはアウトです。
そもそも臭いがダメです。
麹菌の匂いは、ポワーンと酒のような分かりやすい匂いがするので、匂いで判断すれば間違いありません。
またしてもアウトです。
自信あったんだけどなぁ(笑)
【今回の実験で分かった事】
ヨモギには麹菌が住んでいるっぽいけど、育てるのは簡単じゃないって事。
こんな事が分かっても、研究が進んでないじゃないか!!
原点に返って、もう一度おにぎりトラップを作ってみます
ヨモギを敷き詰めたタッパーに、灰をまぶしたご飯のおにぎりを入れて、さらに上からヨモギを被せます。
庭に放置しておきます。
季節は5月で、最高気温が30℃を超える日もあるくらいの気候です。
4日後
なんじゃこりゃ~?
おにぎりの梅干がはみ出したのか?
いやいや、梅干なんか入れてない。
何か分かりませんが、何かの微生物でしょう。
残念ながら麹菌じゃなさそうですね。
という事は、アウトですね。
【今回の実験で分かった事】
おにぎりを置いておくと赤くなったりもするって事。
こんな事が分かっても、全く研究が進んでないじゃないか!!
まだ懲りずに、違うアプローチでおにぎりトラップを作ってみます
今度は米ぬかに着目しました。
米ぬかにも麹菌が住んでいるのです。
タッパーに米ぬかを敷いて、霧吹きで湿らせておきます。
そこに、灰を混ぜて握ったおにぎりの表面に米ぬかをまぶしたものを置きます。
庭に放置しておきます。
季節は6月に入って、最高気温は30℃を超えたり超えなかったりです。
4日後
ほら期待通り、白いふわふわが発生しています。
ちょっと気になるのが、うっすらとピンク色の部分がある事です。
白いふわふわの部分だけを取り出して、蒸して灰をまぶしたご飯に移植します。
混ぜました。
これをまた40℃で保温します。
そして
その後の記録は残ってません。
しかし記憶は残ってます。
腐ったご飯ができたという記憶です。
【今回の実験で分かった事】
ぬかから天然麹菌を育てるのも簡単じゃないって事。
まとめ
散々実験を繰り返した結果、都会で天然麹菌を育てるのは難しいという事が分かりました。
難しいですが、決して不可能だとは思っていません。
新たなる方法を模索中です。
ヨモギには麹菌が住んでいるっぽい事と、特に葉の裏側白い部分に多く住んでいるっぽい事が分かっているので、そこらへんが成功への手がかりとなるかも知れません。
もしかすると、ヨモギではなく、また違ったアプローチの方が良いのかも知れません。
それは分かりませんが、今度こそ、良い報告が出来るように頑張ります。
※2019年8月14日注
↓天然麹菌で米麹作りに成功しました↓