大文字山の地学を学ぶ

      2017/06/25

先日、小学5年の息子と一緒に、京都市青少年科学センター主催の自然観察教室に行ってきました。
科学センターの先生と一緒に大文字山に登って、大文字山の地学について実際の石を見ながら学びます。
私は大文字山も好きで、自然も好きですが、大文字山の地学については全くの無知でしたから、参加して大いに得るものがありました。

自然観察教室のコースコースは、銀閣寺から火床・山頂を経て如意ヶ岳の麓を通り皇子山ゴルフ場のすぐ近くまで行き、そこから比叡平まで引き返してゴールという結構長いコースで、このコースを歩けば大文字山の成り立ちがよく分かり、ちょっとした地質学者の気分になれますよ。

またハイキングとしても十分楽しめました。

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大文字山から比叡山の地質

比叡山と大文字山京都の中心部から東の山を見ると北側に比叡山、南側に大文字山があり、その間はなだらかに凹んでいます。

大文字山から比叡山の地質比叡山と大文字山付近では、中生代白亜紀の終わり頃、地下の深いところからマグマが上がってきて、地表に噴出する事なく地下深くでゆっくり冷え固まり花崗岩になりました。
現在は隆起したり風化作用で削り取られ、地下にあった花崗岩も地表に現れています。

マグマの周りにあった岩石は、マグマの熱で蒸し焼きになり、ホルンフェルスという熱変成岩に変わりました。
ホルンフェルスは硬く緻密な岩石ですが、花崗岩は年月がたつと風化してボロボロになります。
そのために、比叡山と大文字山の間が低くなっているのです。

そういった事を実際に山を歩きながら確認していきます。
今回のルートは、花崗岩とホルンフェルスの接した部分を歩きます。

それでは、自然観察教室のスタートです。

銀閣寺の石から学ぶ

銀閣寺門前世界遺産の銀閣寺。
大文字山の最もポピュラーな登山ルートが、ここ銀閣寺のすぐ脇から登るルートです。
銀閣寺から大文字山の地学の勉強が始まります。

銀閣寺の敷石ここの敷き石のほとんどが近くの山でできた石です。

銀閣寺の敷石拡大拡大してみると、表面にツブツブの模様があるものと無いものが確認できます。

この模様の意味については、山に登って、山の石を観察しながら明らかになっていきます。
実際は、先生がこの時に説明してくださってたと思うのですが、この時点での私には全くのチンプンカンプンで、理解できてませんでした。

銀閣寺の敷石 花崗岩の間に何か層があります。
これは、半花崗岩(アプライト)と言い、花崗岩などの中に岩脈状でみられる岩石です。
花崗岩と成分がよく似ているので半花崗岩と言われています。
大文字山の登り口付近でよく見られる岩石です。

 

銀閣寺の石が理解できたら、大文字山に登らなくてもOKと先生は仰っていました。
それだけ銀閣寺の石には大文字山の石が使われて、それが理解できたら大文字山の地学が分かるという事です。

大文字山の石と、銀閣寺という歴史的建造物が繋がりを持つ事によって、大文字山に歴史ロマンを感じるようになり、俄然興味が沸いてきました。

太閤岩

太閤岩ここは、太閤岩と呼ばれる石切場跡のちょっと下にある石がたくさん転がっている所です。
石切場跡は、数年前の豪雨で崩れて危険であるために、コンクリートで固められています。
画像の右上に少しだけコンクリートの壁が写ってます。

この、石切場では太閤さんの時代から昭和の始めまで花崗岩を切り出していました。
その石は、京都御所の石垣などや、石碑に使われています。

また、花崗岩が風化して細かくなった砂は「まさ」と呼ばれ、白川でとれる「まさ」は白川砂とよばれ寺社仏閣の庭園に敷き詰められています。

向月台この画像はウィキペディアより拝借しました。

銀閣寺の庭園に使われているのも白川砂です。

また、大文字山の花崗岩には褐簾石(カツレンセキ)という鉱物が含まれています。

花崗岩を割る花崗岩をハンマーで割って褐簾石を探します。

花崗岩の断面ありました。

花崗岩の中にある褐簾石この細長いシャープペンシルの芯のような石が褐簾石です。

褐簾石(カツレンセキ)は、大文字山の花崗岩に副成分として含まれる鉱物で、セリウム・イットリウムなどの希土類元素を含む珪酸塩鉱物です。
微量のウランやトリウムを含んでいるために弱い放射能があります。
明治30年に京都大学の比企博士によって、日本で最初に大文字山の花崗岩から発見された鉱物です。※いただいた資料から抜粋

火床「大の字」に到着

大文字山火床より京都を撮影火床「大」の中心部からアイフォンでパノラマ撮影。
ここからは、京都の町が一望できて最高の眺めなんですが、目的は石ですから、ゆっくり景色を眺める訳でなく、少しだけ休憩して次へ進みます。

大文字山の三角点(標高466m)に到着

時刻は12時を過ぎていたので、私はてっきりここでお昼休憩かと思ってましたが、さにあらず。
休憩は少しだけで、次へ進みます。
お腹減ってたのですが、目的はハイキングでなく、石ですから。

先生は3度の飯より石が好きな人なので、飯より石が優先されます。

ホルンフェルス

ホルンフェルス山頂から10分ほど東に歩いた所です。
ここに見えている岩は、マグマの熱による変成によって生じたホルンフェルスという岩です。
銀閣寺の敷石に使われていたものと同じ石です。
ここから切り出した石を銀閣寺に使ってたという意味ではありませんが、この山の石が使われていたのは間違いありません。

散らばっているホルンフェルスを観察するこの辺に散らばっている石を調べます。
菫青石(キンセイセキ)を含むホルンフェルスを確認できます。

ホルンフェルスの断面石を割ってみると菫青石(キンセイセキ)の模様が確認できます。

このように模様があるものが、「泥質ホルンフェルス」と言います。
原岩に含まれる菫青石(キンセイセキ)鉱物の結晶が模様となっているのです。

結晶の断面に桜の花のような模様が出るものは桜石と呼びますが、ここで桜石は見つかりませんでした。

一方、模様が無いものは「砂質ホルンフェルス」と言います。

銀閣寺の敷石にある模様の有無は、泥質ホルンフェルスと砂質ホルンフェルスの違いによるものだったのです。

やっとお昼休憩

時刻は13時20分を過ぎていました。
比叡平の最南端にある小さな寺院の前にちょっとしたハーブ園があり、そこでお昼休憩です。

お弁当は私の手作りサンドイッチでした。
パンから作ったサンドイッチで美味しかったですが、今回は料理の話は無しです。

花崗岩の洞窟

花崗岩のトンネル 腹ごしらえも済ませ、気分良く訪れたのが、花崗岩の洞窟です。

この洞窟は、人間が花崗岩を切り出したために出来た人工的な洞窟です。

花崗岩のタマネギ状節理苔が生えて緑色になってますが、花崗岩のタマネギ状節理が観察できます。

洞窟の砂を採取洞窟の奥の砂には褐簾石(カツレンセキ)が多く含まれるので、砂を採取します。

この砂を持ち帰って、家で褐簾石を取り出します。

大理石の露頭

大理石の露頭皇子山ゴルフ場のすぐ近くにある大理石の露頭です。
ここは昔、大理石を切り出していた場所です。

大理石は、石灰岩が花崗岩マグマの熱で蒸し焼きにされて作られた岩石です。
石灰岩は海底火山の周りのサンゴ礁からできた炭酸カルシウムを主成分とする岩石です。
ちなみに、大文字山では熱変成を受けていない石灰岩は見られません。

大理石を割る大理石をハンマーで割ってみます。
表面は汚れて褐色になってますが、割ると中はキラキラした真っ白な大理石です。

大理石と珪灰石大理石を繊維状の珪灰石(ケイカイセキ)が挟んでいるのが確認できました。

珪灰石は、石灰岩に花崗岩マグマが接触した付近にできるスカルン鉱物(接触変成鉱物)です。

ここでは、珪灰石の他にもサーラ輝石(きせき)も見られるようでしたが、私と息子は見つける事が出来ませんでした。

そして、比叡平のバス停まで歩いて、そこで解散となりました。
以上で自然観察教室は終了です。

息子も私も楽しく勉強させていただきました。
科学センターの先生方ありがとうございました。

家でも研究は続きます

洗って乾かした砂花崗岩のトンネルで採取した砂を、お米を研ぐように泥を洗い流して、それを新聞紙の上に広げて乾かし、集めた砂です。

ここから褐簾石(カツレンセキ)を取り出します。

白い紙に砂を乗せる白い紙に砂を大さじ1杯くらい乗せます。

砂を広げて褐簾石を探す砂を広げて褐簾石(カツレンセキ)を探します。
褐簾石はシャープペンシルの芯のような形をしいているので、目を凝らしてそれを見つけます。

けど、見つかりません。

さらに褐簾石を探すまた次の砂を広げて探しますが、なかなか見つかりません。

褐簾石見つかる10クール目くらいでやっと見つかりました。

指に乗せた褐簾石これが褐簾石(カツレンセキ)です。

砂の中から一粒の鉱石を探し出すのも、宝探しみたいで楽しかったです。

褐簾石砂を半分くらい調べたら、これだけ褐簾石が見つかりました。

これで私も地質学者になった気分です。
そして、鉱石収集家の端くれになりました。

関連記事:京都御苑の石垣から褐簾石(カツレンセキ)を探す

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