我が家で使用する米麹は、麹屋さんで売っている種麹を使って手作りしています。
米麹の作り方は以下をご覧ください。
・米麴作りに挑戦!
・自宅消費用の簡易版、鍋一つで作れる米麹(こめこうじ)の作り方。これで甘酒も作れます。
これをパン作りに例えるなら、イースト菌はドライイーストを使って焼いているようなものでしょうか。
パン作りを追求すると、イーストでは飽き足らず、天然酵母でパンを焼いてみたいと思うようになりますよね。
同じように、米麹作りを追求するようになり、天然麹菌で米麹を作ってみたいと思うようになりました。
どうやって天然麹菌で米麹を作る?
天然麹菌は、稲に付いている菌です。
稲がたくさんあれば、そこに天然麹菌がたくさん住んでいるはずですから、田んぼがあるような環境が、天然麹菌を育てるには良い環境なのではないでしょうか。
しかし、我が家の周りに、田んぼなんて全くありません。
とりあえず、田んぼはありませんが、我が家に住んでいるかも知れない天然麹菌を捕まえて育ててみようと思います。
おにぎりトラップで天然麹菌を捕まえる
一膳分のご飯に、醤油・砂糖・酢をそれぞれ小さじ1入れて混ぜます。
こうする事により、酢の酸や、醤油の塩分によって雑菌の繁殖を抑え、砂糖が栄養分となり、麹菌が育ちやすくなるのです。
おにぎりにします。
そして、庭に放置します。
鳥や虫などから守るためにネットに入れて吊るしておきます。
このまま置いておくと、おにぎりに天然麹菌が繁殖してくれる…?
かもしれない。
そもそも庭に天然麹菌が住んでなければ意味が無いです。
いや、庭に住んでなくても空気中の天然麹菌の胞子が遠くからでも飛んできておにぎりに付着して育ってくれたら良いのです。
5日経過
麹菌が繁殖したような形跡はありません。
おにぎりが乾燥してひび割れてきました。
10日経過
麹菌が繁殖したような形跡は、全くありません。
おにぎりがパリパリに乾燥してます。
カチンコチンの乾燥おにぎりになってしまいました。
見ての通り、これは乾し飯(ほしいい)です。
乾し飯とは、文字通り乾した飯の事で昔の保存食です。
時代小説や大河ドラマなどに出てくる、戦の時の携帯食としてボリボリと食べていたアレです。
試しに食べてみましたが、硬すぎて顎が割れそうになります。
噛み砕く衝撃が顎から脳に直接ガツンと伝わります。
それは、食べながら脳震盪を起こすのではないかと思うくらいの衝撃です。
あまりに硬いので、一度口に含んで唾液で軟らかくしてから噛み砕く方法を採ってみましたが、なかなか軟らかくなりません。
それでも、口の中で転がしているうちに少しずつ溶けたり軟らかくなったりして、何とか食べられましたが、おにぎり1個分食べるのは体力的に不可能です。
緊急時に、食料がこれだけしか無ければ、本当に生きるか死ぬかという状況でなければ食べられないでしょう。
…と、別な意味で勉強になりました。
失敗の原因と対策
調べてみると、おにぎりトラップは、そもそも天然麹菌を捕まえる方法ではなく、農家の人が堆肥を早く分解させる為の土壌菌を捕まえる方法だという事が分かりました。
おにぎりトラップを土の上に置いておけば、土壌菌が繁殖して、おにぎりにふわふわの白いカビが生えます。
それを土に混ぜると、堆肥が早く分解されるのです。
生ゴミ堆肥を分解させるのに有効との事。
という事で、麹菌ではなく、土壌菌を捕まえる方法でした。
ろくに調べもせずにやるからこういう事になるのですが、それだけ天然麹菌を甘く見ていたからなのでありました。
次は、甘く見ないでしっかりやりましょう。
この事を、知人で発酵食品に詳しいYさんに話すと、天然麹菌を捕まえるにあたって以下のようなアドバイスを頂きました。
- 灰の上澄みでご飯を炊くか、炊いたご飯に灰をまぶすと、灰のアルカリで雑菌が繁殖しなくなる。
- 灰のアルカリの環境で繁殖できるのは麹菌だけ。
- 灰は、椿の木を燃やした灰が最も理想的。
ナルホド。
さすがに家に椿の灰は無いですが、バーベキューの時に発生した灰ならあるので、灰の上澄みでご飯を炊いておにぎりトラップを作ってみます。
そして、乾燥しないように、霧吹きでおにぎりを湿らせる事にします。
おにぎりトラップ第2弾
グラスに灰を入れます。
水を入れて混ぜます。
しばらく置いておくと灰が沈殿するので、この上澄みでご飯を炊きます。
炊きました。
灰の上澄みには、特に色は付いてなかったのですが、ご飯が黄色くなっています。
そして…
ラーメンの匂い!
ご飯がラーメン化しています。
ちょっと食べてみましたが、まさにラーメンの味です。
おおっ!
これはまた別な発見!
ラーメンは、小麦粉をかん水でこねて作る事はご存知ですよね。
かん水とは、要するにアルカリの水の事なので、灰の上澄みは、かん水と同じ物なのです。
実際に中国では小麦粉を灰の上澄みでこねた麺もあるのです。
今回は天然麹菌の実験ですから、ラーメンとかん水の関係についての説明は、別の機会に譲りますが、とにかく灰の上澄みで炊いたご飯はラーメン化する事がわかりました。
このラーメン化ご飯についても、また別の機会に料理法を考えてみたいと思います。
ラーメン化ご飯をおにぎりにします。
庭でネットに入れて吊るしておきます。
乾燥しないように、毎日霧吹きで水分を補給してやります。
1週間くらいは毎日欠かさず水分補給してましたが、麹菌が繁殖したような気配は全く無く、次第に水分補給をサボるようになりました。
そして…
1ヶ月経過
乾し飯が完成してしまいました。
全く麹菌の気配はありません。
裏返すと、カビが生えています。
これは麹菌か?
いや違うだろう。
明らかにアウトでしょう。
また失敗の原因と対策
おにぎりをネットに入れて放置する方法は、どうしても乾燥してしまうから適切でないですね。
何か違う方法を試さなければいけません。
知人で発酵食品に詳しいYさんは、稲以外にも、ヨモギにも麹菌が住んでいると言っていました。
ヨモギならどこにでも生えています。
ヨモギを摘んできて、ヨモギの葉でラーメン化したおにぎりを包んだら乾燥を防げるし、麹菌も繁殖するのではないでしょうか。
※2019年8月14日注
↓天然麹菌で米麹作りに成功しました↓