甜麺醤第2の謎
中国の甜麺醤という調味料は、謎の多い調味料です。
甜麺醤を手作りしようと思った事がキッカケで、作り方を調べて行くうちに、いくつもの謎にぶち当たってしまいました。
それらの謎を何年もかかって、とうとう解き明かしました。
今回は甜麺醤の第2の謎についてお話したいと思います。
【目次】
1.甜麺醤第1の謎
2.甜麺醤第2の謎
3.第2の謎の解明
4.大麦粉で甜麺醤を作る
4–1.はったい粉で試作
4–2.はったい粉の甜麺醤を試食
4–3.大麦粉で試作
4–4.大麦粉の甜麺醤を試食
5.まとめ
6.動画で説明
甜麺醤第1の謎
第1の謎について詳しくは前回の記事をご覧ください
前回の記事で解き明かした謎はこのようなものでした。
【甜麺醤第1の謎】
日本の甜麺醤は大豆から作られている。
本には小麦粉を原料に作ると書いてある。
これが甜麺醤第1の謎です。
これを解き明かすのに何年もかかりました。
甜麺醤第2の謎
第1の謎解きをしてる過程で、私はこのように考えました。
本には甜麺醤を小麦粉から作ると書いてあるのだから、世界には小麦粉から作られた甜麺醤が売ってるのではないだろうか。
そう思って、ネット通販で調べてみました。
最近はネット通販で世界中の食材が手に入りますからね。
けど、私がネット通販を探しても見つかりませんでした。
また輸入食品店の実店舗でも探しましたが、見つける事はできませんでした。
そして、ブログに小麦粉から作られた甜麺醤を探してる事を書いてました。
↑この記事の中で書いてます。
この記事のタイトルを読めば、中国古来の方法で作ってるように見えますが、これを書いた当時は中国古来の方法を知らなかったので、中国古来の方法を自分でイメージして考案した方法で作ってます。
この記事のコメント欄に、楽天に「麦から作られた甜麺醤がある」と教えてくれた商品があります。
それが、これです。
台湾製の甜麺醤です。
商品価格635円(税込)
送料800円(税込)
合計1435円(税込)
甜麺醤に1435円も出して買いました。
研究のためですからね。
中身はドローっとした黒くて甘い味噌のような味です。
日本の味噌で作った甜麺醤とそっくりな味です。
そして、これの原材料を見てみましょう。
大麦粉・砂糖・塩…
え!?大麦?
小麦と違うやん。
小麦と大麦は、同じ麦ですけど違います。
…と言うことは、
ここでもう一度整理してみましょう。
日本で広まってる甜麺醤は味噌で作られてる
専門的な本には甜麺醤は小麦粉で作ると書いてある。
そして、台湾製の甜麺醤は、大麦粉で作られている。
これが、甜麺醤第二の謎です。
ますます謎は深まるばかりです。
第2の謎の解明
じつは、第2の謎の解明は、そんなに難しくありませんでした。
この答えは、第1の謎を解明する時に、中国語のサイトで甜麺醤を検索したらすぐに分かりました。
日本では、小麦粉を発酵させて作るのは面倒だから、味噌を使った甜麺醤を簡単に作り、それが主流になってます。
だから、日本語で甜麺醤の作り方を検索すると、味噌から作るレシピがヒットします。
中国語で甜麺醤の作り方を検索すると、日本とは全く違います。
中国では、小麦粉を使って、発酵させずに、鍋で煮込んで簡単に作るレシピがいくつもヒットします。
台湾のあの商品は大麦粉から作られています。
小麦粉と大麦粉は違いますが、小麦粉も大麦粉も一緒と考えて、中国式のレシピの小麦粉を大麦粉に変えて作ってみようと思います。
これで上手く出来たら、大麦粉で作った甜麺醤の事も説明できます。
大麦粉で甜麺醤を作る
大麦粉で作ろうと思いましたが、大麦粉はスーパーに売ってません。
富沢商店なら売ってるかと思い、富澤商店にも行きましたが、売ってませんでした。
そこで、代わりにはったい粉を買いました。
はったい粉は、大麦を炒って焦がして、それを粉にしたものです。
別名、麦こがしといいます。
だから、大麦粉の代用になるのではないかと思います。
はったい粉で試作
【はったい粉の甜麺醤の材料】
はったい粉 100g
水 300ml
砂糖 50g
醤油 30ml
塩 2g
鍋に全ての材料を入れ、火をつけて、混ぜると固まるので、固まったら完成です。
はったい粉の甜麺醤を試食
はったい粉で作ったものを少し食べてみます。
う〜む…
すはま団子に、みたらし団子のたれを混ぜたような味でしょうか。
はったい粉の香ばしさが、甜麺醤の味には無い要素で、この味はベクトルが違いすぎて甜麺醤として受け入れられません。
そして、そもそも不味いです。
これを調味料として使えるかと言うと、難しいです。
団子として食べた方がマシかもしれません。
私は食べ物は捨てない主義ですけど、これはどうしましょう。
困りました。
チビチビ食べようかと思います。
この実験から、はったい粉では甜麺醤を作れないことがわかりました。
やはりはったい粉でなく大麦粉を使いましょう。
という訳で、ネット通販で大麦粉をゲットしました。
大麦粉で試作
【大麦粉の甜麺醤の材料】
大麦粉 50g
水 250ml
砂糖 大さじ2
醤油 大さじ2
オイスターソース 大さじ2
ごま油 大さじ1
ボウルに、ごま油以外の材料を入れ、混ぜます。
これを鍋に入れて、火を付けます。
混ぜながら加熱します。
少しずつ固まってきます。
しっかり固まったら火を止めて、最後にごま油を入れ、混ぜます。
色が、キャラメルにしか見えませんが、これで甜麺醤ができました。
大麦粉の甜麺醤を試食
これが大麦粉で作った甜麺醤です。
ちょっと味見してみます。
う〜む…
発酵させてないから、発酵による味の深みはありません。
中華料理の餡かけ料理の餡を濃縮したような味です。
味は何処か物足りないですど、いい線いってます。
一応、甜麺醤と認めても良いのではないでしょうか。
そんな味です。
色は薄いですけど、中国の溜まり醤油を使うともっと濃い色が出るでしょう。
配合に関しては、もっと突き詰めて行く余地はありますが、大麦粉からも甜麺醤が作れるという事が分かったので、もういいです。
中国語のウェブで調べると、同じ要領で、小麦粉から甜麺醤を手作りするレシピがたくさんヒットします。
けど、これらの中国式レシピは、簡単に作れるようにアレンジしたレシピで、本物ではありません。
本物の甜麺醤は、小麦粉を麹菌で発酵させて作ります。
本物の甜麺醤については、前回の記事をご覧ください。
https://otokonakamura.com/tenmenjan4/
まとめ
- 日本の甜麺醤は大豆から作られ、本には小麦粉を原料に作ると書いてある。これが甜麺醤第1の謎。
- 台湾産の甜麺醤は小麦粉でなく大麦粉から作られてた。これが甜麺醤第2の謎。
- 中国では小麦粉を使って発酵させずに鍋で煮込む簡単レシピが一般的。
- 大麦粉を使って中国式の簡単レシピで作ると、台湾産の甜麺醤が再現できた。(第2の謎が解明できた。)
- 本物の甜麺醤は、小麦粉を麹菌で発酵させて作る。
動画で説明
動画では、私が甜麺醤の謎について熱く語っています。
動画でしかお伝えできない事もあるので、併せてご覧ください。