2016年9月25日の事ですが、このようなコメントをいただきました。
レンネットを使わなくても、水きりヨーグルトに納豆を混ぜて発酵させればモッツァレラチーズが出来るとの事。
レンネットと言うのは、牛乳を固める凝固材の事です。
チーズは、牛乳にレンネットを加え、牛乳を固まらせ、固形分と水分に分けて作ります。
牛乳の固形分がいわゆる「チーズ」です。
コメントを書いてくださった方は、当ブログへのコメントが、後にも先にもその1回だけなので、失礼ですが信頼するに足りる情報なのか全く分かりません。
ですが、水切りヨーグルトに納豆を混ぜて発酵させるなんて、めちゃくちゃ面白そうじゃないですか。
その情報が信頼できるかどうかは別にして、一丁試してみることにしました。
まずはヨーグルトを作る
既製品のヨーグルトを使えば、自分で作らなくても済みますが、生乳100%ヨーグルトを使わなければいけません。
生乳100%ヨーグルトは、ちょっと高いので、自分でヨーグルトを作る事にします。
自分でヨーグルトから作った方が、完成品の自家製度がより高まり、愛着も沸くでしょう。
1リットルの牛乳を適当な蓋付きの容器に入れ、電子レンジで40℃に温めて、そこに市販のヨーグルトをスプーン1杯入れて混ぜます。
温かい所に1日置いておきます。
我が家では、冷蔵庫の上に置いてます。
夏なら一晩で固まりますし、春や秋でも24時間くらいで何とか固まります。
冬でも36時間か、48時間か、それ以上で固まります。
ヨーグルトを混ぜた牛乳は、そう簡単に腐りません。
必ずヨーグルトになります。
容器がめちゃくちゃ汚い場合は腐るかも知れませんが、普通に洗った容器なら大丈夫です。
24時間で固まりました。
これを作ったのは、9月下旬の京都です。
水切りヨーグルトを作る
ボウルの上にザルを重ね、手ぬぐいを敷き、ヨーグルトをぶちまけます。
24時間後、水切りヨーグルトの完成です。
納豆と混ぜ熟成させる
納豆1パック、塩10gを加え混ぜる。
ピントがずれてしまいましたが、このように納豆のネバネバによって、カスピ海ヨーグルトのように、ビヨーンと伸びる水切りヨーグルトになりました。
これを常温で数日間熟成させます。
4日後
蓋を開けると、プーンと納豆とヨーグルトちょっと熟成された臭い。
このように固まっています。
熱湯につけて揉む
モッツァレラチーズは、この工程が大切なのです。
揉む事によって、あの弾力が付くのです。
80℃の熱湯に入れます。
スプーン3杯分入れました。
しばらくして取り出しました。
これを揉みます。
揉めばドロドロに崩れてしまいました。
むむむ…
むむ…
納豆モッツァレラチーズ失敗!!
モッツァレラチーズ作りは、pH調節とか他にも繊細なバランスが必要なので、レンネットを使っても失敗する事があるらしいので、今回の失敗をもって納豆を混ぜる方法が間違っていたとは言えません。
そもそも私は一度もモッツァレラチーズを作った事がありません。
それなのに、こんなに変わった方法で挑戦するなんて、冒険ですね。
残った納豆モッツァレラチーズの出来損ないを熟成させる
モッツァレラチーズを一度も作った事が無いですが、熟成チーズなら何度も作って成功させています。
なので、熟成チーズに方向転換します。
納豆モッツァレラチーズの出来損ないをザルの上にクッキングペーパーを敷いてぶちまけます。
もう一枚クッキングペーパを重ねて、包むようにしました。
これを冷蔵庫に入れて、乾燥させます。
乾燥させるのは、長期熟成させるにあたって、カビ等の雑菌の繁殖を防ぐためです。
2週間後
水分が飛んで、かなり縮んだように見えます。
納豆とチーズの臭いがプーンとします。
紙をはがしてみると、このようになっています。
全くカビ等にやられている気配はありません。
おそらく納豆菌の力によって、カビをガードしてくれているのでしょう。
ちょっとだけ試食してみます。
ヨーグルトの酸味が残り、納豆の味はそのままで、まだまだ若いです。
これは、もっと長期間熟成させる必要があります。
長期熟成させる
ラップに包んで冷蔵庫で熟成させます。
ここからは、冷蔵庫の奥に眠らせて、その存在を忘れるくらいがちょうどいいでしょう。
思い出した頃には、熟成が進んで面白い事になっているはずです。
そして…
ゆっくりと…
半年熟成させました
半年の熟成でどうなっているでしょう。
見た目には特に変化はありません。
カビ等は全く発生してません。
それよりも…
プ~ン
臭いが強いです。
ウォッシュチーズ系のチーズ臭と納豆臭がします。
本物のウォッシュシーズ程の強烈さはありませんが、それを少しマイルドにした臭いです。
あのウォッシュチーズを発酵させている菌はリネンス菌という枯草菌の仲間です。
納豆菌も同じ枯草菌の仲間なので、菌が仲間同士のこのチーズからウォッシュチーズの臭いがしても、なんら不思議はありません。
熟成納豆チーズ、ちょっと試食。
パクッ
モグモグ…
ん…
ウマイなぁ~。
熟成によって美味しいチーズに化けました。
旨味と納豆臭とネバネバが歯にこびり付いて、チーズの余韻を長く楽しむ事が出来ます。
納豆の粒もチーズも同じ硬さで、口の中に入れたらどちらも同じ食感です。
赤ワインとよく合うでしょうが、残念ながら今ここに赤ワインはありません。
また新たに、純日本製のチーズが誕生してしまいました。
日本の家庭で熟成チーズを作る場合に大きなハードルとなるのが、カビの発生です。
この納豆熟成チーズは、納豆菌の力によってカビの発生を抑えてくれます。
何て画期的で簡単な方法なんでしょう。
しかも日本の食文化である納豆を使うなんて、これぞまさしく純日本製ではないですか。
それでは、この熟成納豆チーズを使って料理を作ってみます。
熟成納豆チーズのカルボナーラ風
チーズは純日本製ですが、料理は洋食です。
チーズで和食というのは、レパートリーが無くて、また考えておきます。
〈材料 2人前〉
スパゲティ 150g
ベーコン 30g
卵 1個
生クリーム(36%) 100ml
牛乳 大さじ1
熟成納豆チーズ 30g
薄口醤油 小さじ1
塩 少々
コショウ 少々
熟成納豆チーズは、みじん切りにして、粉チーズみたいにしておきます。
スパゲティを茹でながら、同時にフライパンでベーコンを炒める。
牛乳・生クリーム・薄口醤油・熟成納豆チーズ・塩・コショウを加え混ぜ、チーズを溶かす。
茹で上がったスパゲティと卵を入れ、混ぜて、最後に塩で味を調節する。
お皿に盛り付けて完成。
熟成納豆チーズのカルボナーラ風。
ウマイッ!
少し納豆の香りがするカルボナーラです。
食べているうちに馴れてきて、納豆の香りは感じなくなります。
本物のカルボナーラはペコリーノチーズという羊の乳で作ったチーズを使いますが、あれは日本人の口には、ちょっと獣臭いと感じてしまいます。
それに比べて、納豆の香りは日本人にとって馴染みの香り。
美味しく頂きました。
まとめ
という訳で、最初の目的は、水切りヨーグルトに納豆を混ぜて熟成させ、モッツアレラチーズを作る。
というものだったのですが、それは失敗に終わり、そこから方向転換したら、思わぬ発見がありました。
以下、熟成納豆チーズの作り方をまとめます。
- ヨーグルトを作る
- 水切りヨーグルトにする
- 納豆と塩を混ぜて、数日間熟成させる
- キッチンペーパーに包み、冷蔵庫で2週間くらい乾燥させる
- ラップに包み、冷蔵庫で半年以上熟成させる
- 完成
良ければお試しください。