ブリーチーズとは?
ブリーチーズとは、フランスの白カビタイプのチーズの一種です。
ブリーチーズは、フランス ブリー地方のモー村で作られる白カビタイプのチーズで、正確には「ブリー・ド・モー」と言います。
ちなみに、ムラン村で作られる「ブリー・ド・ムラン」というチーズもありますが、「ブリー・ド・モー」に比べてごく僅かしか生産されてませんので、日本でブリーチーズと言えば、「ブリー・ド・モー」の事を指します。
また、白カビタイプのチーズと言えば、日本ではカマンベールが有名ですね。
カマンベールチーズは、ノルマンディ地方のカマンベール村で作られるものです。
ブリーもカマンベールも、同じ白カビタイプのチーズで、どちらもペニシリウム・カメンベルティというカビを使っています。
カビも同じで見た目もよく似てますが、作っている地方が違えば、製法も違い、味も違います。
違うのですけど、よく似てます。
分かりやすい違いと言えば、チーズの大きさでしょうか。
ブリーチーズは直径30cmくらいあるのに対し、カマンベールチーズは直径12cmくらいです。
発酵はチーズの外側から内側へ進むので、チーズの大きさが違えば発酵の進み方も違い、味も違ってきます。
ちなみにブリドー・ド・モーは、フランス政府がAOC(原産地統制呼称)を認定しているので、モー村で作った物でないとブリドー・ド・モーを名乗る事が出来ません。
市販のブリーチーズを種にして作る
知人で発酵食品に詳しいYさんから、市販のブリーチーズを種にして作る方法を教わったので、試してみました。
牛乳 900ml
ブリーチーズ 15g
塩 4g
近くのスーパーで買ってきたブリーチーズです。
チェスコという会社が作っているものです。
このチーズが良いという訳ではなく、これしか売ってなかったから、これを買ってきたのです。
日本で売っているブリーチーズやカマンベールチーズの大半は、発酵が進まないように加熱殺菌されています。
もちろんこのブリーチーズも、加熱殺菌されています。
殺菌する事によって長期保存が可能になるのです。
殺菌されているから、これを種にチーズを作る事は出来ないというのが私の考えなのですが、とりあえず教わった通りに試してみることにします。
ブリーチーズ15gは、このくらいの量です。
牛乳にブリーチーズを加え、ブレンダーでミックスします。
適当な容器に入れます。
上記のレシピにある牛乳900mlという中途半端な分量は、この容器に入りきる限界の量が900mlだったためです。
鍋に45℃くらいの湯を沸かし、容器ごと入れて、蓋をして一晩置いておきます。
翌朝
翌朝、牛乳が固まり、ヨーグルトになりました。
殺菌されたチーズからヨーグルトが出来るとは、ちょっと驚きです。
乳酸菌は殺菌されても何らかの形で生き残っているという事でしょう。
味は、チーズっぽいヨーグルトです。
ザルに煮沸消毒した手拭を敷き、そこにヨーグルトをぶちまけ、水を切ります。
24時間後
24時間後、水分が抜けました。
この上に4gの塩をパラパラと振りかけてから整形します。
塩は、表面に振りかけるだけで、熟成している間に全体に行き渡るので混ぜません。
元の形をなるべく崩さないようにしながら丸めます。
整形
手で丸めてみました。
このまま蓋をせずに冷蔵庫に入れておきます。
そうすれば、余分な水分が蒸発して、表面に白カビが生えてくるでしょう。
3日後
余分な水分は飛んで、一回り小さくなったように見えますが、白カビは生えてきてません。
さらに3日後
さらに水分が飛んで、一回り小さくなったように見えますが、白カビは生えてません。
Yさんの話によると、1日もすれば白カビに覆われるとの事。
6日経っても白カビが発生しないという事は、おそらく白カビは殺菌で死滅しているのでしょう。
やはり、無殺菌のブリーチーズを種に使わなければいけません。
無殺菌のブリーチーズを手に入れる
近くのスーパーには売ってないので、ここなら絶対にあるだろうと、京都市中京区にあるチーズ専門店「フロマージュ ドゥ ミテス」にやって来ました。
この店は、日本では珍しいチーズの専門店です。
店に入ると、まず驚いたのが、店の「空気」です。
ものすごいチーズ臭!
チーズ臭に圧倒されます。
もし、チーズ嫌いの人が行ったら死ぬかもしれないレベルです。
そして、2つの大きなショーケーズに、あふれんばかりのチーズが並べられています。
こちらのショーケースには、ハードタイプ・セミハードタイプがぎっしり。
穴あきチーズもあります。
こちらは、下の段が青カビタイプ。
上の段、左側がウォッシュタイプ。
真ん中の段、左側が山羊の乳タイプ。
それ以外は白カビタイプ。
圧倒的な品揃えです。
そして、真ん中の段の一番右がブリー・ド・モーです。
もちろん本物のブリー・ド・モーで、無殺菌との事。
100gだけ切り分けてもらいました。
100gあたり910円(税込み)で、カットしてもらった物は121gありましたので、1101円(税込み)でした。
それにしても、凄いお店です。
チーズ好きの人は満足できると思います。
◆フロマージュ ドゥ ミテス◆
住所:京都市中京区衣棚通り押小路上ル 上妙覚寺町217 ドゥエル辻本1階
TEL&FAX 075-708-2270
営業時間 10時30分~19時
定休日 月曜
通販サイト http://www.mythese.jp/
買ったチーズがこれ
このように包んでくれました。
包みを開くと、凄い匂い!
白カビタイプのチーズでも、本物は匂うものなんですね。
そして、一口試食しましたが、強烈な旨味が、ねっとりと口に広がり、しつこく残ります。
実に美味しい!!
赤ワインがあれば、飲みすぎてしまいそうで危険です。
けど、飲まずにチーズを作りますよ。
本物のブリー・ド・モーを種にブリーチーズを作る
牛乳2リットル
ブリー・ド・モー 30g
塩 8g
今回は、チーズが良いチーズですから、牛乳もワンランク上の低温殺菌牛乳を選びました。
鍋に牛乳とブリー・ド・モーを入れて、ブレンダーでミックスします。
火にかけて人肌程度まで温めて、蓋をして1日放置しておきます。
翌日
固まりました。
ザルに手拭を敷いて水を切ります。
また翌日
水切り完了。
この上に塩をパラパラとばらまいて整形します。
整形
バットの上に、ひと塊にまとめました。
これを冷蔵庫で熟成させます。
1日経過
1日で生えてくるはずの白カビが生えてこないので、ブリー・ド・モーをくっ付けて白カビを移植する作戦に出ました。
実は、牛乳を加熱する際に、油断して45℃くらいまで温めてしまったのです。
もしかしたら、白カビは45℃の熱でダメージを受けたのかも知れません。
白カビが何度まで耐えられるのか分かりませんが、45℃で死滅する可能性は十分にあります。
なので、白カビを移植する作戦を採った訳ですが、移植後3日経っても白カビは生えてきませんでした。
移植作戦も失敗か?