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料理用赤ワインの作り方と牛肉の赤ワイン煮込み

2019年2月6日

料理用赤ワインの作り方と牛肉の赤ワイン煮込み

ワインは、ブドウを原料に作られるお酒です。

作り方は、とても簡単、ブドウを潰して放置しておけばブドウの皮に付いている酵母菌が勝手に発酵を始めて、ワインが出来上がります。
ブドウを潰して放置、ただそれだけでワインは出来てしまうのです。
ワインは、お酒作りの中で、最も簡単でしょう。

【目次】
1.ワインの材料入手について
2.ぶどうジュースでも発酵させればワインになります
3.料理用ワインの作り方
3-1.仕込んでから3日経過
3-2.仕込んでから10日経過
3-3.ボトル詰め
3-4.【重要】不可飲処置
4.料理用赤ワインの完成
5.ワインの原料としてレーズンに目をつける
6.レーズンを使った料理用ワインの作り方
6-1.【重要】不可飲処置
7.レーズンを使った料理用赤ワインの完成
8.牛肉のブルゴーニュ風煮込み
9.まとめ

ワインを作ろうと思えば、まずブドウを入手する事から始めます。


そんな事は説明しなくても分かる事ですが、実は、ここに難しい問題が立ちはだかります。
ブドウを入手するのは、簡単なように思えて、簡単ではないからです。

ワインの材料入手について

ブドウを入手しようと思えば、私のような住宅地に住む者は、スーパーや果物屋さんで買う事になるのですが、ブドウは高いです。

ワイン1本(750ml)作ろうと思えば、最低でもブドウ果汁が750mlは必要です。
ブドウ果汁750mlを搾るには、ブドウにより差がありますが、上手に搾れてもブドウの搾りかすが残るから、それを含めると、850g以上のブドウが必要です。

仮に1kgのブドウを買うとしましょう。

スーパーには、季節に関係なく輸入ブドウを売ってたりします。
安いものだと100gあたり100円未満で売っているので、1kgのブドウなら1000円程度で買えます。

1000円程度か…

近頃は、コンビニで1000円未満でも美味しいワインがいくらでも売ってますからね。

コスト的に考えると、ワインを買った方が安いですね。

しかし、そこでワイン作りを諦めたら面白くありません。
作る楽しみというものが、ありますからね。

ぶどうジュースなら、もっと安く売ってますよね。

ウェルチグレープジュース

ウェルチグレープジュース。

これ飲んだ事ありますか?
濃くて美味しいぶどうジュースです。
800ml入りが、1本300円くらいで売ってます。

ぶどうジュースでも発酵させればワインになります

ウェルチグレープジュースのラベル

コンコードという品種のぶどうジュース(濃縮還元)で、香料も入ってます。

ブドウからワインを作る事に比べると、かなりショボイ原料ですが、これならどこに住んでいても季節に関係なく安く手に入ります。
料理用のワインなら、このくらいのレベルでもいいでしょう。

栄養成分を見ると、100gあたりの炭水化物が14gと書いてあります。
このジュースをアルコール発酵させると、単純計算でおよそアルコール度数7%のワインになるでしょう。

ワインのアルコール度数は、普通は12%くらいなので、7%だと物足りないですね。
このジュース100mlにつき10gの砂糖を足して発酵させれば、12%くらいのアルコール分になります。

1gの糖分をアルコール発酵させると、およそ0.5gのアルコールが発生します。
ワインのアルコールを12%にしようと思えば、ジュースの糖度を24%にすればいいのです。

砂糖を足して糖度を調節しちゃいましょう。

料理用ワインの作り方

【材料】
ウェルチグレープジュース 4本(3200ml)
砂糖 320g
イースト 3gくらい
塩 大さじ4

【必要な道具】
発酵させる容器
シリコンチューブ
ワインを入れる容器

赤ワインイースト

これは、赤ワイン用イーストです。
私がいつもお世話になっているブリューランドという楽天のショップで買ったものです。

楽天でなくても、東急ハンズでも売ってます。
これが無ければ、パン用のイーストでも大丈夫です。
赤ワイン用イーストで作ろうが、パン用イーストで作ろうが、ほとんど味に違いはありません。
けど、赤ワイン用イーストという物があると、それを使ってみたいのが人情というものでしょう。

イーストの予備発酵

ぬるま湯50ml(分量外)に砂糖3g(分量外)を溶かし、イースト3gを入れて15分くらい予備発酵させます。
画像のように泡がボコボコと出てきたら予備発酵完了です。

予備発酵が面倒ならしなくてもいいです。

梅酒用の瓶でワインを仕込む

梅酒用の瓶で、グレープジュースに砂糖を溶かして、予備発酵させたイースト(予備発酵してない場合は、イーストの粉そのまま)を入れ、押し入れなどの暗い所に放置しておくと勝手に発酵してワインになります。

発酵の期間は温度によって変わります、
夏ならおそらく3日くらい、冬なら2週間くらいで発酵完了します。

これは11月中旬の京都で発酵させています。
11月中旬の京都というと、最高気温15℃くらい最低気温8℃くらいの気候です。

仕込んでから3日経過

仕込んでから3日経過したワイン

発酵により発生した炭酸ガスによって表面に泡が出ています。 発酵が現在進行形で進んでいるので、無数の細かな気泡が発生して液体が少し白濁して見えます。
画像は白濁してるように見えませんが、実際は少し白濁してるのです。
また、瓶に耳を当てるとシュワーと発酵している音が、かすかに聞こえます。

仕込んでから10日経過

発酵完了したワイン

発酵完了しました。 白濁も無くなり、音も無くなり、瓶の底にオリが沈んでいます。
これが発酵完了したサインです。

ボトル詰め

ワインのボトル詰め

シリコンチューブを使ってサイフォンの原理で
ボトルに詰めていきます。

なぜ、このような方法でボトル詰めするかというと、瓶の底にたまったオリは美味しくないので、それを取り除きたいからです。
静かに上澄みだけをシリコンチューブでボトルに詰めていきます。

【重要】不可飲処置

ワインの不可飲処置

ボトル1本あたり大さじ1杯の塩を入れます。

日本の法律では、個人がアルコール1%以上のお酒を作ってはいけません。
けれど、大さじ1の塩を入れる事によって、しょっぱくて飲めなくなるので、お酒と見なされなくなるのです。
必ず塩を入れましょう。

これで料理用赤ワインの完成です。

料理用赤ワインの完成

自家製料理用赤ワイン

すぐに飲む事もできますが、1ヶ月以上熟成させるとさらに美味しくなります。

1ヶ月も待てないので、とりあえず3週間熟成させたものを試飲してみます。

赤ワイン試飲

まず、グラスに鼻を近付けて、香りを嗅ぐと、最初にウェルチグレープジュースの香りを感じます。
これは香料の香りでしょうか。

そして、飲んでみると、軽いです。

ウェルチグレープジュースって、ジュースとしては濃いですが、ワインにしてみると、軽いです。
良く例えると、ブルゴーニュ系のワインのようですが、そんな良い物ではありません。
軽くて飲み応えが弱いです。

あ、違った、塩が入っているのでしょっぱくて飲めないというのが、正しい感想でした。

料理に使うなら、これでも良いでしょうけど、どうせなら、もっと美味しいワインを作ってみたいと、飽くなき探究心が芽生えてきました。

ワインの原料としてレーズンに目をつける

レーズン

レーズンです。
これなら、何所に住んでいても季節に関係なく、おまけに安く入手できます。

これを使えば、レーズンの味が効いた濃厚なワインを作れるのではないでしょうか。

安いレーズンは、表面にオイルコーティングがなされています。
流水で、オイルを少し洗い流してから、使う事にします。

レーズンを使った料理用ワインの作り方

【材料】
ウェルチグレープジュース 4本(3200ml)
レーズン 800g
イースト 3gくらい
塩 大さじ4

発酵中のレーズン使用ワイン

ボコボコと発酵が進んでいます。

ウェルチグレープジュース100gあたりの炭水化物が14gで、このジュース100mlにつき10gの砂糖を足して発酵させれば、12%くらいのアルコール分になるという事は、すでに説明しました。
砂糖でなく、レーズンを投入した場合、アルコール度数はどうなるのでしょう?

とりあえず、何も調べずに、レーズンを当てずっぽうで800g入れました。

その後、ウィキペディアで調べてみるとレーズン100gに含まれる炭水化物は81gとの事。
炭水化物81gのうち食物繊維が約4.1g含まれるので、糖分は76.9gという計算になります。
それで計算してみると、今回仕込んだものは16.6%くらいのアルコール分になります。

レーズンに含まれる糖分は、物によって差があるし、含まれる全ての糖分をアルコール発酵させる事もできないとは思いますが、800gは入れすぎかも知れません。
入れすぎるとアルコール分が高くなるという弊害が生じます。

弊害!?

むしろ歓迎すべきだったりして?

けど、単純に糖分を増やしても、アルコール度数を高くするには限度があります。
酵母菌は自分でアルコールを作り出しますが、アルコール分が高くなると、逆にアルコールによって活動できなくなるのです。
アルコール殺菌されてしまうのですね。

ワイン用の酵母ならアルコール分12~13%を超えると活動できなくなります。
日本酒でも20%くらいが限界です。

今回仕込んだものは16.6%くらいのアルコール分になる計算ですが、酵母菌がどこまでアルコールに耐えてくれるかによって、完成したワインのアルコール度数が変わってきます。


もし、アルコール13%くらいで酵母菌がへこたれると、糖分が7%くらい残りますから甘いワインになります。

もっとアルコール度数を高めたい場合は、ワインを蒸留するしかありません。
ブランデーは、ワインを蒸留してアルコール度数を高めたお酒です。

レーズン使用ワイン発酵完了

発酵完了しました。

レーズンは、水分を含んで膨らみ、微妙に炭酸ガスを含んで浮いています。
瓶の底にはオリが沈んでいます。

では、これをボトルに詰めます。

【重要】不可飲処置

不可飲処置

ボトルに詰める時には、忘れずにボトル1本あたり大さじ1杯の塩を入れます。

繰り返しになりますが、日本の法律では、個人がアルコール1%以上のお酒を作ってはいけませんが、大さじ1の塩を入れる事によって、しょっぱくて飲めなくなるので、お酒と見なされなくなるのです。
必ず塩を入れましょう。

料理用赤ワイン

すぐに飲む事もできますが、1ヶ月以上寝かせた方が美味しくなります。

レーズンを使った料理用赤ワインの完成

赤ワイン試飲

1ヶ月熟成させたものを飲んでみましょう。

グラスに鼻を近づけても、ウェルチグレープジュースの匂いはあまり感じません。
レーズンとの複合的で複雑な香りになりました。

口に含むと、飲み口は軽めですが、レーズンの濃厚な風味もあり、飲み応えがあります。
レーズンのおかげで、ブドウ感が強まり、美味しくなりました。

そして、アルコール分は高そうです。
あまり甘くないので、糖分はほとんどアルコールに分解されたのでしょう。
濃くて強めのワインになっています。
普通のワインと同じペースで飲むと、予想以上に酔うので注意が必要です。

いやいや、違う!

間違いです。
塩が入ってるので、しょっぱくて飲めない。
というのが正しい感想です。

これは料理用のワインなので、飲めません。

さてさて、それでは、この料理用赤ワインを使って料理を作ってみましょう。

牛肉のブルゴーニュ風煮込み

牛肉のブルゴーニュ風煮込みは、赤ワインをふんだんに使うフランス流のビーフシチューです。
ブルゴーニュとは、フランスワインの有名な産地で、料理で「ブルゴーニュ風」と言えば、たいてい赤ワイン煮の事を言います。

作るのに手がかかりますが、贅沢で満足の味になるでしょう。

【材料】4人分
牛肩ロース 800g(牛ばら肉でも可)

◆香味野菜
玉ねぎ 1個(あら切りにしておく)
人参 1本(あら切りにしておく)
セロリ 1本(無くてもいい)あら切りにしておく
にんにく 2片

赤ワイン 1本(食塩不使用のもの)
タイム・ローレル
バター 50g
米粉 50g
トマト 1個(あら切りにしておく)
ケチャップ 大さじ3
フォン・ド・ヴォー 600ml(固形ビーフコンソメ2個と水600mlで代用可)

◆おまけの具
ベーコン 120g
ペコロス 1p
マッシュルーム 1p

炒め油 適量
塩 適量
コショウ 適量  

牛片ロース肉を切る

牛肉は5センチ角くらいに切ります。

肉と香味野菜をワインに漬ける

牛肉・香味野菜・タイム・ローレルをビニール袋に入れ、赤ワインをひたひたになるまで入れます。

一晩置いておく

袋の口を結んで冷蔵庫で1晩置いておきます。

肉を香味野菜と香辛料と共に赤ワインに漬けてくと、風味が浸み込んで柔らかくなります。

肉をフライパンで焼く

肉、香味野菜、ワインを分けて、肉に塩コショウを振り、フライパンでしっかりと焼き色が付くまで焼きます。

香味野菜を炒める

煮込み用の鍋にバター50gを溶かし、香味野菜を入れ、よく炒めます。

米粉をふり入れる

米粉をふり入れ、米粉に火が通るまで充分に炒めます。

残りのワインを入れる

炒めた肉と、肉を漬けておいたワインと、残りのワインを加えます。

トマトとケチャップを入れる

あら切りトマトとケチャップを入れます。

固形ビーフコンソメ

フォン・ド・ヴォー600mlを加えると言いたいところですが、手を抜いて固形ビーフコンソメと水600mlを加えてフォン・ド・ヴォーの代用とさせてもらいます。

煮込む

肉が柔らかくなるまで煮込みます。

煮込み時間は、およそ1~2時間です。

煮汁をハンドミキサーで撹拌する

肉を取り出し、シノワというこし器で煮汁をこすのですが、シノワなんて家にありませんから、ハンドミキサーで香味野菜を粉砕しました。
シノワもハンドミキサーも無ければ、この工程は省略してもいいです。

おまけの具を炒める

フライパンに油をひき、おまけの具を火が通るまで炒めます。

煮込んで味を調える

おまけの具と肉を入れて煮込み、塩コショウで味を調えて、皿に盛り付けます。

牛肉のブルゴーニュ風煮込み

牛肉のブルゴーニュ風煮込み。

赤ワインの風味と酸味が出て、牛肉の旨味も出て、ワインと牛肉の相性バッチリで、肉も柔らかく、贅沢で美味しい逸品になりました。

ワインの風味が出ているので、使うワインが美味しければ、もっと美味しくなるでしょう。

私は、お酒を飲まずに料理に使うなんて、贅沢すぎて抵抗があります。
料理に入れる時は、いつも少ししかいれません。
そんな私がワイン1本も料理に使ったのだから思い切りましたよ。

「使うワインが美味しければ、もっと美味しくなるでしょう。」なんて書きましたが、美味しいワインがあれば料理に使わずに飲みたいですね。

きっとこの料理は、ワインの産地ブルゴーニュで大量のワインに囲まれるような環境で考案されたのでしょう。

まとめ

  • ブドウを潰して放置、ただそれだけでワインは出来る。お酒作りの中で最も簡単。
  • ぶどうジュースでも発酵させればワインになる。
  • ウェルチグレープジュースは、ジュースとしては濃いが、ワインにしてみると軽くて飲み応えが弱い。
  • ブドウは高いが、レーズンなら季節に関係なく安く入手できる。
  • 1gの糖分をアルコール発酵させると、およそ0.5gのアルコールになる。 ワインのアルコールを12%にしようと思えば、ジュースの糖度を24%にすればいい。
  • レーズンを使ったワインは、レーズンの濃厚な風味もあり、飲み応えがあり、ブドウ感が強まり、美味しくなった。
  • 牛肉のブルゴーニュ風煮込みは、赤ワインをふんだんに使うフランス流のビーフシチュー。使うワインが美味しければ、もっと美味しくなる。

日本の法律では、個人がお酒を作ってはいけません。
お酒は作らないようにしましょう。(笑)

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このブログを書いてる人

オトコ中村
京都在住 40代 料理を通じて皆が健康で幸せになればいいなと思っている。
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