天然麹菌で米麹を作る(前編) の続き
〈前回までのあらすじ〉
天然麹菌を捕まえるために、おにぎりトラップを作りました。
上手くいけば、おにぎりトラップに天然麹菌が付着して育ってくれるはず。
しかし、麹菌は捕まえられず、残ったのはカラカラに乾燥したおにぎりだけでした。次に、雑菌の繁殖を防ぐ為に、灰の上澄みでご飯を炊き、それでおにぎりトラップを作り、乾燥を防ぐ為に毎日霧吹きでおにぎりトラップを湿らせましたが、結局、訳の分からないカビの生えた乾燥おにぎりが出来上がりました。
前回の失敗を踏まえて、麹菌が住んでいると言われるヨモギの葉で、灰の上澄みで炊いたご飯のおにぎりを包んだら乾燥を防げるし、麹菌も繁殖するのではないかと考えました。
という事で…
![鴨川](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/IMG_1608.jpg)
ヨモギを摘みに鴨川へやって来ました。
けど、この時は4月前半で、ヨモギはまだ摘めるほど大きく育ってませんでした。
そこで、稲ではありませんが、同じイネ科のススキの葉を摘んでみることにしました。
稲の仲間だから麹菌が住んでるかも知れません。
![ススキの葉を洗っておく](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2143.jpg)
ススキの葉は洗っておきます。
![ススキの葉の中におにぎりを入れる](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/45EA68B2-C498-424C-914E-36E5947EE544.jpeg)
大きなタッパーにススキの葉を敷き詰めて、灰の上澄みで炊いたご飯のおにぎりを入れます。
灰の上澄みで炊くと、灰のアルカリによって雑菌の繁殖が抑えられるのです。
そして、麹菌だけがそのアルカリの環境でも繁殖できるのです。
![ススキの葉を敷き詰める](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2152.jpg)
その上から、さらにススキの葉を敷き詰めます。
これで軽く蓋を乗せれば、おにぎりが乾燥することはないでしょう。
![庭に置いておく](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2153.jpg)
庭に置いておきます。
8日後
![8日後](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2183.jpg)
お!?
変化があります。
ちょっと画像を拡大して見てみましょう。
![8日後を拡大](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2183-001.jpg)
拡大しました。
何やら変化があります。
これは麹菌なのでしょうか?
もう少し置いて、様子を見てみましょう。
さらに2日経過
![さらに2日経過](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2184.jpg)
おお!?
さらに変化してます。
![ススキの葉を取り除く](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2185.jpg)
かぶさっているススキの葉を取り除きました。
むむむ…
怖い事になっていますね。
何でしょうか、とにかくカラフルになってます。
画像を拡大して見てみましょう。
![カラフルおにぎり](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2185-001.jpg)
ジャーン!!
気分を害す方がいるといけないので、モザイクにしています。
興味のある方は、画像をクリックすると普通の画像を見ることが出来ますのでどうぞ。
このように、様々な菌が繁殖しております。
これを見た限り、少なくとも食欲は沸きません。
けど…
もしかしたら、この中に麹菌があるかもしれません。
無いかもしれませんが…
いや、必ずあるはずです。
白いふわふわの部分が麹菌っぽいじゃないですか。
そうと信じて、この中から麹菌だけを純粋に培養すればいいのです。
カラフルおにぎりから麹菌だけを純粋培養
![ご飯にカラフルおにぎりを混ぜる](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/7EBF73FD-76B9-46AB-BC09-1B984F4A667E.jpeg)
硬めに炊いたご飯2合を冷まして、カラフルおにぎりを混ぜます。
![温かいところに置いておく](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2192.jpg)
ボウルに入れて軽く蓋を乗せて、温かい所に置いておきます。
20時間後
![特に変化の無いごはん](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2193.jpg)
特に変化はありません。
ですが、これで良いのです。
目に見えない部分で麹菌の菌糸が伸びているはずです。
![ご飯を混ぜる](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2194.jpg)
混ぜます。
この混ぜる事を、手入れと言います。
![40℃で保温](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2195.jpg)
オーブンを40℃に設定して24時間保温します。
オーブンの40℃という設定は、パンを発酵させるためのものですが、麹菌を育てるのにも都合が良いので活用させてもらってます。
オーブンの時間設定は最長95分なので、95分経てば自動的に切れます。
切れたらまた40℃で95分に設定して、切れたらまた40℃で95分に設定して、を繰り返します。
外出時や就寝時は切れたままになってますが、細かいことは気にしなくても麹菌は育ってくれます。
そして…
24時間経過
![変色したご飯](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/69272DC7-10F1-4CA3-A6A5-425C84DD7AD8.jpeg)
あれ!?
全体的に黄色っぽくなり、部分的にオレンジ色の部分もあります。
麹菌が育つと白くなるはずですが、炊き込みご飯みたいになってますね。
見た目は炊き込みご飯です。
匂いはどうかと言いますと…
匂いは…
どうかと言いますと…
要するに…
腐ったご飯の臭いや!!
時間と手間隙をかけて、腐ったご飯を作ってしまいました。
何たる不覚でしょうか。
ただ、運が良い事に、この日はゴミの日だったので、すぐに捨てる事ができました。
私は、食べ物は絶対に捨てないというポリシーがあるのですが、さすがにこれは食べるわけにいきません。
真に残念で、申し訳ない気持ちです。
もうこれ以上の失敗は許されません。
また天然麹菌について調べる
天然麹菌を育てる方法として、稲に付く稲麹を素に米麹を作る方法があるみたいです。
![稲麹](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/Rice_false_smut.jpg)
これが稲麹です。
画像はウィキペディアより拝借しました。
ウィキペディアによると、稲麹は「稲こうじ病」と紹介されていて、病気なんだそうです。
【ウィキペディアより引用】
稲こうじ病菌はバッカクキン科のカビであり、米麹などを作るコウジカビとは全く関係がない。「稲麹」という名称が誤解を与えるため、麹菌の野生種と混同されている事例がみられる。稲こうじ病菌自体がウスチロキシンというマイコトキシンを産生するため人体に有毒である。また、稲麹の病粒から分離したカビを用いて醸造する手法が知られているが、たまたま混入したコウジカビ類の菌を利用したものと考えられる。この場合も、野外のコウジカビ類(Aspergillus flavusなど)にはアフラトキシンやオクラトキシンなどのマイコトキシンを産生するものがあるため、稲麹を用いることは危険である。
ちょっと理屈っぽくて読みにくいので、要約してみます。
要約するとこうです。
- 稲こうじ病菌は、米麹などを作るコウジカビとは全く関係がない。
- 稲こうじ病菌は、人体に有毒である。
- 稲麹の病粒から醸造する手法が知られているが、たまたま混入したコウジカビ類の菌を利用したものと考えられる。
ウィキペディアは稲麹について否定的ですな。
しかし実際に稲麹から米麹を作っている人がいるのです。
以下、稲麹から米麹を作ったという人のサイトです。
天然菌で麹仕込み
http://beart-nowhere.net/2015/03/naturalkoji/
稲麹から黄麹菌の菌おこし 種取り
http://ameblo.jp/sakuranoyama/entry-11929241498.html
このように稲麹から米麹を作っている人がいるのだから、それを「たまたま混入したコウジカビ類の菌を利用したもの」と、「たまたま」なんて言葉で片付けてはいけません。
私はウィキペディアのように稲麹から米麹を作ることにに関して否定はしません。
肯定派です。
ただ、実物を見た事も触った事も無いので、私の肯定には全く説得力がありません。
実際に稲麹で実験してみたいのですが、簡単に手に入るものじゃないので、稲麹での実験は棚に上げておきます。
稲麹とは関係なく再挑戦
![摘んできたヨモギ](https://otokonakamura.com/wp-content/uploads/CSC_2197.jpg)
今度こそススキではなく、麹菌が付いていると言われるヨモギを摘んできました。
※2019年8月14日注
↓天然麹菌で米麹作りに成功しました↓