
世界一臭いドリアンを発酵させた調味料「トンポヤ」を手作りしてみた
世界一臭いと言われるドリアンを発酵させた調味料、トンポヤ(tempoyak)をご存知でしょうか。
トンポヤは、マレーシアやインドネシアで伝統的に食べられている調味料なのです。
今回はこれを手作りしてみました。
また、既製品のトンポヤを入手しようとしましたが、日本ではほぼ入手不可能なことが分かりました。
その理由と、手作りの結果を書いていきます。
【目次】
1.トンポヤ(tempoyak)とは
2.トンポヤは日本ではほぼ入手不可能
2-1.日本のネット通販では出てこない
2-2.東南アジアの通販ならある
2-3.個人輸入を本気で考えた
2-4.最大のハードルは検疫
3.ではトンポヤを自分で作ってみる
3-1.発酵期間の目安
4.トンポヤの完成!食べてみる
4-1.妻にも食べてもらった
5.【次回予告】トンポヤを使って作る料理
6.まとめ
7.動画で説明
トンポヤ(tempoyak)とは

ドリアンの果肉に塩を混ぜ、乳酸発酵させた調味料です。
ドリアン原産地であるマレーシアやインドネシアで伝統的に食べられている調味料です。
現地では白身魚を煮込む料理や、サンバルソースなど他にもいろいろ使われています。
現地の人にとってのトンポヤは、日本人にとっての味噌くらい馴染みのある調味料なのかもしれません。
既製品のトンポヤを入手して味を知ってみようと思ったら、全く予想外のハードルにぶち当たりました。
トンポヤは日本ではほぼ入手不可能
今からトンポヤが日本でほぼ入手不可能な理由について書きます。
トンポヤ作りとは直接関係ない話なので、読むのが面倒なら、次の「ではトンポヤを自分で作ってみる」まで飛んでください。
日本のネット通販では出てこない
日本のネット通販で「tempoyak」と検索しても、商品が全く出てきません。

Amazonでは全く関係のない音楽しか出てきませんでした。
音楽と認識されているようです。

楽天では何故かイヤホンばかりがヒットしました。
東南アジアの通販ならある

次に、東南アジア最大のネット通販Lazadaのマレーシア版で「tempoyak paste」を検索すると、数え切れないほどの商品がヒットしました。

この商品を見てみます。
(Burka App)という表示が邪魔ですが、これはLazadaのweb版でなくアプリ版を開けという意味です。
この表示を無視して見てください。
普通のトンポヤと唐辛子入りと2種類があるのが分かります。

値段は、ご覧の通りです。
(1リンギット=39円で換算)
| 商品 | 容量 | 価格(円換算) |
|---|---|---|
| オリジナル | 300g | 約390円 |
| 唐辛子入り | 300g | 約468円 |
| オリジナル | 500g | 約546円 |
| オリジナル | 1kg | 約1,014円 |
ドリアンの果肉300gを日本で買うと安くても2〜3,000円はかかるので、トンポヤ300gが390円とは、かなり安いです。
いや、めちゃくちゃ安いです。
トンポヤには安いドリアンを使うからこのように安いのです。
個人輸入を本気で考えた
安いですから、個人輸入しようかと考えました。
私は個人輸入のノウハウなど全くありません。
しかし輸入代行サービスに手数料を払えば可能です。
輸入代行手数料:約3,000円
国際送料:約15,000円
合計:約18,000円
輸入代行サービスを使うと、輸入代行手数料が約3,000円と国際送料が約15,000円。
合わせて18,000円ほどかかる計算でした。
390円の商品を買うのに18,000円の手数料を払うことになります。
それならば、たくさん仕入れてメルカリで売れば元が取れるのではないかとも考えました。
しかし、それは考えが甘すぎます。
そもそも、日本ではニーズが無いので、買う人がいません。
いや、問題はそれだけではありませんでした。
お金を出せば入手できるわけではなかったのです。
最大のハードルは検疫
トンポヤは基本的に非加熱で、乳酸菌などの発酵微生物が生きています。
ここが問題になります。

瓶詰め・缶詰で加熱殺菌済みなら問題ありません。
しかし非加熱だと、微生物や虫が生き残っている可能性があると判断されます。
乳酸菌は検疫上問題ありませんが、それ以外の生物が生きているかどうかは分かりません。

日本の検疫を通すには、現地の調査機関に調べてもらい、有害な微生物や虫が生きていないことを証明してもらい、マレーシア政府に安全の調査証明書を発行してもらう必要があります。

証明書がないと税関検疫を通れず、没収・廃棄、あるいは送り返されます。
調査費用は見積もっていませんが、10万円や100万円といった規模になるでしょう。
検査の結果がダメならその費用は無駄になります。
そしてトンポヤは、検査するだけ無駄ではないかと推測されます。
仮に検査がOKでも、390円の商品のために10万円〜100万円をかけることになります。
生きた微生物がいる食品を日本に持ち込むのは、それほどハードルが高いということです。
現地で食べるのが一番手っ取り早くて安いので、やはりフィールドワークしかなさそうです。
フィールドワークも、「じゃあ、ちょっとマレーシアにトンポヤを食べに行ってくるわ」などとファミチキを食べに行くようなノリでは行けませんよ。
という訳で、一度も食べたことがなく、どんな味になるのが正解か分かりませんが、手探りで自分で作ってみるしかありません。
ではトンポヤを自分で作ってみる
トンポヤの材料(今回作った量)
ドリアン(果肉)100g
塩 1g

まずは、ドリアンの実を取り出します。

そして皮の部分にも、少しだけ食べられる部分が付いています。
これは、ドリアン臭も弱ければ、味も薄くて美味しくはありません。
かと言って不味くもありません。
普通はこんな部分は食べません。
トンポヤには本来、安いドリアンを使うようです。
今回のドリアンは高級な部類のものです。
勿体無いですから、本来なら捨ててしまうような、この部分も有効利用します。
ただ、それだけでは量が足りなかったので、高級な実も使います。
ドリアンの食べ方については以下の記事をお読みください。

すり鉢に果肉を入れ、種を取り出して、塩を加えます。
ちなみにドリアンの種も食べることができます。
そのことについては以下の記事をお読みください。

すり潰します。

ドリアンの実は柔らかいので簡単に潰れました。

適当な容器に入れます。
乳酸発酵させるので、空気に触れないように表面にラップを貼ります。

ドリアン臭が漏れないように、蓋を閉めて、蓋の上からさらにラップをして、ビニール袋に入れました。
これを常温で10日ほど置き、そのあと冷蔵庫で10日ほど寝かせたら完成です。
発酵期間の目安
調べると「5日置いて5日寝かせる」など「2週間」など情報がバラバラでした。
今回は10日置いて10日寝かせるを目安にしました。
詳しく調べると、現地では放っておいたら勝手にできるという認識のようで、わざわざ作り方を活字に残すような事はしていないのでしょう。
だから調べても情報は出て来ません。
ということで、アバウトでいいと思います。
仕込んだのは、9月の最高気温が30℃ほどの時期でした。

10日後に袋から出して、匂いで乳酸発酵してるかどうか確かめましたが、ドリアン臭しか感じませんでした。
腐ってる様子ではなかったので、この気温なら確実に乳酸発酵が進んでることでしょう。
この後、予定では冷蔵庫で10日寝かせるところを、実際は15日寝かせました。
トンポヤの完成!食べてみる

常温で10日、その後に冷蔵庫で15日置きました。
見た目には変化が分かりません。

匂いは、ドリアン臭しかしません。
匂いの変化もよく分かりません。

食べてみます。
ドリアン臭は健在です。
ドリアンのクリーミーさと甘味の中に塩味もあります。
そして、乳酸発酵による酸味もちゃんと出ています。
それらの味が口の中で混ざり、ドリアン臭が口の周りに漂います。
本物を食べたことがないので答え合わせはできませんが、乳酸発酵した味なので、これで合っていると思います。
妻にも食べてもらった
妻は、前回ドリアンを食べて「美味しい」と言っていたので、食べてもらいました。

すごいね、もうこれで完成されてる。
ドリアンの玉ねぎ臭がちょっと無理って言ってた人も、これだったら納得がいくと思う。
玉ねぎ臭が全く気にならない。

フルーツとして食べてるわけじゃないから。
調味料として食べると、この臭いもいいかもね。

これだったらドリアン嫌いな人でも食べられる。

ホンマかいな。

食べられる。
マンゴーチャツネじゃないけど、カレーに入れるチャツネみたいな感じがする。

うん、カレーに入れるのは確実やね。

カレーにドリアンを入れたら美味しいことは
すでに証明済みです。

豆腐に乗せてもいいぐらいだよ。

マジか!?

柚子胡椒みたいに何にでも乗せるかもしらんよ。
妻は柚子胡椒が好きで、何にでも柚子胡椒を付けて食べるのです。

美味しい
なんだろう、何と合わせたらいいんだろう。
白身魚?

うんうん。

白身魚のカルパッチョの上に乗せて。

生の白身魚!?

これはね、こんな料理で食べたらいいんだろうなって、ものすごいイメージが膨らむ。


現地では白身魚をトンポヤで煮込む「Gulai Tempoyak Ikan Patin」という料理があるよ。

日本だから、生魚でもいけるんじゃない?
おしゃれにカルパッチョ。
色んなピンクペッパーとか乗せて醤油とも合いそう。

そやね。

これは新たな調味料だよ。

いや、新たではないで。
マレーシアやインドネシアでは伝統的に作られてるんやで。

そうなの?

でも日本では新たかもしれない。
日本では超入手困難な調味料だから、自分で作るしかないね。

和風のものとすごい合いそう。
これ絶対ドリアン嫌いな人でも絶対いけるって。
本当に美味しい。
なんか白味噌のような、白味噌に酸味があって、コクがあってとも感じられる。
華やかなフローラルな香り。
ドリアン臭のことをね、妻はこのように風に表現します。
確かにドリアン臭は、南国フルーツ特有の華やかフローラルな香りの要素はあります。
ただし、紙一重のところで、熟し過ぎて腐り始めたような臭いにも感じられるのです。
ドリアン好きな人は華やかな香りに感じられて、嫌いな人は腐った臭いに感じられる、本当に紙一重の違いだと思います。

これは良い調味料だよ。
非常に前向きな意見をいただきました。
妻はドリアンの味を気に入りましたから、こういう前向きな意見なのですが、もっと多くの人に食べてもらわないといけませんね。
偏った意見になってしまいました。
とにかく、手作りのトンポヤはちゃんと出来たということです。

食べるまでは、ちょっと不安に思ってたけど、美味しい。
【次回予告】トンポヤを使って作る料理
次回は、現地の言葉でトンポヤを使った料理を調べて、それを作ってみようと思います。
トンポヤを使った料理は、日本語や英語で検索してもほとんど出てきませんが、マレー語で調べたらいくらでもヒットします。
そして、マレー語は文法が簡単なのでAIによる翻訳の精度が高いです。
それを日本で手に入る食材にアレンジして日本人の口に合うように作ってみようと思います。
ただし、トンポヤだけは、日本人の口に合おうが合うまいが関係なしに使いますよ。
だってそれがテーマですからね。
まとめ
- トンポヤは、ドリアンと塩だけで仕込める乳酸発酵調味料
- 高級ドリアンの皮に付いた果肉でも作れる
- 非加熱で微生物が生きているため、日本への輸入は検疫の壁が高い
- 手作りでも、ドリアン嫌いの人が食べられるほどクセが和らいだ
- 現地語(マレー語)で検索するとレシピが大量に見つかる
動画で説明
動画では私が実演しています。
動画でしか表現できないこともあるので併せてご覧ください。







