パン系

元種法での焼き方(天然酵母パンその2)

2024年8月26日

自家製天然酵母パン

元種法での焼き方(天然酵母パンその2)

天然酵母パンの作り方第2弾です。
まず、前回紹介した酵母液と小麦粉を練って発酵力を高めた元種を作ります。
その元種を使ってパンを焼きます。

今回は、元種法で2種類の天然酵母パンを焼いてみます。

天然酵母パンの焼き方を全5回にてご説明します。

1.酵母液の作り方 
2.元種法での焼き方 ←当記事
3.ストレート法での焼き方
4.失敗例から学ぶ
5.パンが膨らまなかった時のリカバリー法

これらを全て読めば天然酵母パンマイスターになれますよ。

【今回の目次】
1.元種の作り方
2.元種の材料
3.実際に元種を作る
3ー1.強力粉と酵母液を混ぜる(1回目)
3ー2.16時間後
3ー3.強力粉と水を混ぜる(2回目)
3ー4.8時間後
3ー5.強力粉と水を混ぜる(3回目)
3ー6.4時間後
4.元種法でパンを焼く
4ー1.パン生地をこねる
4ー2.1次発酵
4ー3.(7時間半経過)1次発酵完了
4ー4.成形
4ー5.2次発酵
4ー6.焼成
4ー7.ミント酵母パンを試食
5.セイタカアワダチソウ酵母パンを焼く
5ー1.こねと1次発酵
5ー2.4時間後
5ー3.さらに常温で3時間放置
5ー4.成形
5ー5.2次発酵
5ー6.12時間後
5ー7.焼成
5ー8.セイタカアワダチソウ酵母パンを試食
6.元種はつなぐ事ができる
7.元種の保存方法
8.まとめ
9.動画で説明

元種の作り方

元種の作り方はこのような流れになります。

・強力粉と酵母液を混ぜる(1回目)
・倍にふくらむまで置く。
・強力粉と水を混ぜる(2回目)
・倍にふくらむまで置く。
・強力粉と水を混ぜる(3回目)
・倍にふくらむまで置く。

これで元種の完成です。

元種の材料

以下3種の材料があれば大丈夫です。

酵母液
強力粉
水(水道水でOK)

以下に、材料をもう少し詳しく書きます。

元種の材料

【1回目】
国産強力粉 100g
酵母液 90ml

【2回目】
国産強力粉 50g
水 45ml

【3回目】
国産強力粉 50g
水 45ml


これはミント酵母液です。
今回はこの酵母液を使います。
好きな素材で作った酵母液をお使いください。

酵母液の作り方について詳しくは前回の 酵母液の作り方(天然酵母パンその1) をお読みください。


今回使用している強力粉は、国産の春ゆたかブレンドです。
カルディで買ってきたものです。

実際に元種を作る

では、実際に元種を作ります。
繰り返しになりますが、元種の作り方の流れをもう一度書いておきます。

・強力粉と酵母液を混ぜる(1回目)
・倍にふくらむまで置く。
・強力粉と水を混ぜる(2回目)
・倍にふくらむまで置く。
・強力粉と水を混ぜる(3回目)
・倍にふくらむまで置く。

上記の流れで実際に作ってみます。

強力粉と酵母液を混ぜる(1回目)


強力粉100g・酵母液90mlを混ぜます。


このように完璧に混ざらなくてもいいです。


蓋をして常温で置いておきます。
冬なら温かい部屋に置きます。
夏なら暑い部屋に置いておきます。
発酵によっておよそ倍くらいに膨らむまで置いておきます。

16時間後


こんな感じになってます。
少し膨らんで、柔らかくなって容器の形に馴染んでます。
こうなったらOKです。

膨らむ前と後を比べてみましょう。


仕込んでからの気温の変化はこのようになってます。
だいたい25℃から30℃の間で推移してます。

今回は、16時間でできましたが、気温によってできる時間は変わります。
気温が高ければ短時間で発酵が進み、気温が低ければ長時間かかります。

目安として、最高気温が25℃を超えない程度の季節なら24時間くらいで膨らみます。

冬なら暖房の効いた温かい部屋に置いても24時間以上かかります。

発酵時間は気温だけでなく、酵母液の状態にも左右されるので、気温が何度なら何時間とかそういう基準はありません。

とにかくちゃんと発酵するまで待つという事です。

強力粉と水を混ぜる(2回目)


強力粉50g・水45mlを足して混ぜます。
1回目は酵母液を混ぜましたが、2回目からは酵母液でなく普通の水でいいです。
水道水でも大丈夫です。

水でなく酵母液を入れても構いません。


蓋をして置いておきます。

輪ゴムをはめて膨らむ前の高さを記録しておきます。
スマホで画像を撮って膨らむ前の状態を記録しておくのもいいです。

8時間後


こんなになりました。
もう十分膨らんでます。


ここまでの気温の変化はこうなってます。
30℃を超えて5時間経過した後に、急激に温度が下がっています。
これは5時間経過した時点で十分に膨らんだので、冷蔵庫に入れたためです。

5時間経過した時点で、私は仕事中でした。
仕事先で、元種の事を思い出しました。
暑いから発酵が進みすぎてないかと思って、家にいる妻に、元種の画像を送ってもらいました。
そしたら、もう十分に発酵してるから、冷蔵庫に入れてもらいました。
冷蔵庫に入れると発酵のスピードを、遅くすることができます。
そうやって時間を調整する事ができます。

あまり発酵が進みすぎると酸味が出るので要注意です。
幸いに酸味は出てませんでした。

強力粉と水を混ぜる(3回目)


強力粉50g・水45mlを足して混ぜます。


また輪ゴムの位置を合わせます。
このまま常温で置きます。

4時間後


また膨らみました。
これで元種の完成です。


この4時間の気温の変化はこうなってます。
だいたい28〜29℃の間で推移してます。

 
このように、粘り気のある生地になってます。
これが元種です。

やっとこれを使ってパンを焼くことができます。

この元種は、仕込み開始から28時間で完成しました。
これが涼しい季節だったら3日かかったり、冬だったらそれ以上かかったりします。
天然酵母は人間の都合に合わせて発酵してくれません。
私たち人間が天然酵母の都合に合わせてあげないと上手にパンを焼く事ができません。

元種は冷蔵庫で保存できますが、徐々に発酵力が弱まっていくので、2〜3日か、遅くても1週間以内には使いましょう。

元種法でパンを焼く

天然酵母パンが焼けるまで

酵母液ができて、元種もできたので、こねる→1次発酵→成形→2次発酵→焼成という流れでパンを焼きます。

【天然酵母パンの材料】(1斤分)
元種 150g
水 80ml
国産強力粉 250g
砂糖 10g
塩 3g
油脂 10g

油脂はバターかラードがおすすめです。

パン生地をこねる


ホームベーカリーの容器に全ての材料を入れます。


ホームベーカリーの本体にセットしてパン生地コースをセットしました。
このように自動でこねてくれます。

もちろん手でこねても構いません。

ホームベーカリーのパン生地コースというのは、ドライイーストを使って1時間でこねてから1次発酵まで完成するコースです。
イーストだと1時間もあれば余裕で1次発酵まで完了しますが、天然酵母だと1時間じゃとても1次発酵まで完了しません。
とりあえずホームベーカリーにこねてもらうだけです。

1次発酵


ガラスのボウルに打ち粉をして、こねた生地を入れ、ラップをかけておきます。

そして、この日はもう夜遅かったので、もし夜中に1次発酵が完了しても困ります。
だから冷蔵庫に入れて翌朝を迎えます。
冷蔵庫でもゆっくりですが、発酵は進みます。

(7時間半経過)1次発酵完了


起きて、冷蔵庫から取り出して常温で1時間半経ちました。

少し膨らみました。


膨らむ前と後を見比べてみましょう。
一般的には2倍のボリュームにまで膨らめば良いと言われてます。
これは2倍にはなってませんが、まあこれでいいでしょう。

成形


台に打ち粉をしてパン生地を取り出します。
まずは2当分して、それぞれを少し細長くします。
そして、全部で8等分にしました。
これを丸め、オーブン天板に並べました。

2次発酵


これを40℃のオーブンで2時間、2次発酵させました。

ちょっとふくらみました。


2次発酵前と後を比較してみましょう。
一般的には2倍のボリュームにまで膨らめばいいと言われてます。
もう少し時間をかけたほうが良さそうです。

しかし私は、サラリーマンですから仕事にいかなければいけない時間になってきました。

だからもうこれを焼きます。

焼成

170℃のオーブンで15分焼くようにセットして、仕事に行きました。

後は、妻に面倒を見てもらいます。
と言っても15分後にオーブンから取り出してもらうだけです。


焼けました。

妻は、15分後に焼けた画像を送ってくれましたが、オーブンに入れっぱなしでした。
オーブンに入れっぱなしでも、すぐに冷めないだけでオーブンと共にゆっくり冷めるというだけです。
特に問題はありません。

ミント酵母パンを試食


少し膨らみが足りないです。
1次発酵と2次発酵どちらも少し短めでしたから。
人間が天然酵母の都合に合わせなければいけないと、偉そうな事をすでに書きましたが、私は夜遅いから寝るだとか、仕事に行くとか人間の都合も優先しました。
だから結果は、こんなもんです。

味は、ミントの香りがほんのりして、心地よいパンです。
国産小麦のモチモチ感もあって美味しいです。

と言うわけで、サラリーマンをやりながら平日に天然酵母パンを仕込むと、時間的な制約があったりします。
だから、完璧ではありませんでした。
それでもちゃんと天然酵母パンを焼くことはできます。

それでは、次は、セイタカアワダチソウ酵母で元種を作ってパンを焼きます。

セイタカアワダチソウ酵母パンを焼く


これはセイタカアワダチソウで作った酵母液です。

これの作り方について詳しくは前回の 酵母液の作り方(天然酵母パンその1) をお読みください。


セイタカアワダチソウの酵母液で、このような元種ができました。

こねと1次発酵


全ての材料をホームベーカリーの容器に入れます。
材料は先ほどのミント酵母パンと基本的に同じです。
違うのは元種だけです。
これはセイタカアワダチソウ酵母の元種を使っています。


これは、ホームベーカリーの天然酵母コースをセットしました。

ホームベーカリーの天然酵母コースというのは、ホシノ天然酵母を使った時のコースで、4時間でこねから1次発酵まで完了します。

ホシノ天然酵母は、天然酵母界の超エリートですから、4時間で1次発酵まで完了しますが、自家製の元種だと、4時間でできるとは限りません。
上手くいけば4時間でできる場合もありますが、大抵の場合はもっと時間がかかると思っておいた方がいいです。

4時間後


まだです。

さらに常温で3時間放置


少しだけ膨らみました。
まあこれでいいでしょう。

成形


台に打ち粉をしてパン生地を取り出し、そのまま丸めました。


今回は、ダッチオーブンで焼きます。
ダッチオーブンに打ち粉をして丸めたパン生地を入れます。

2次発酵


蓋をします。
このまま常温で置いて2次発酵させます。

12時間後

12時間で2次発酵完了しました。
2次発酵前と後を見比べてみましょう。
このように膨らんでるのがわかります。
今回は十分に2次発酵させる事ができました。

焼成


ダッチオーブンを火にかけます。
火力は弱火です。


そして、蓋をガンガンに焼きます。
天ぷら火災防止のセンサーが無いほうがいいです。

この方法は決して安全でないので、非推奨です。


ガンガンに焼いたふたを乗せます。

20分後にまた同様に蓋を焼いて乗せ、合計で40分焼きます。


焼けました。


ダッチオーブンで焼いたセイタカアワダチソウ天然酵母パンです。


このようにスライスしてからいただきます。

セイタカアワダチソウ酵母パンを試食


ふんわり柔らかく、国産小麦のモチモチ感があり美味しいです。
発酵時間が十分に足りていたためにふんわりしてます。
セイタカアワダチソウの香りは、干し草のような香りがします。

本来ならば、セイタカアワダチソウは、ヨモギのような爽やかなキクの香りがするので、すりつぶしてパン生地に混ぜるとヨモギぱんに似て美味しいです。
以下が、そのように焼いたセイタカアワダチソウあんぱんの記事です。

今回のセイタカアワダチソウ酵母パンの香りは、爽やかなキクの香りではなく、セイタカアワダチソウを干したような香りでした。

天然酵母パンというものは、ここまで読んで下さった方なら分かるでしょうけど、めちゃくちゃ面倒くさいです。

イーストがどれだけ便利でありがたいものかわかりますね。
けど、手間暇かけて焼いた天然酵母パンを食べると幸せですよ。
酵母を愛情かけて育てるから、パンに愛情がこもってますよ。
だから食べると幸せなんでしょうね。

元種はつなぐ事ができる

残った元種に強力粉と水を足して、倍に膨らむまで置いておけば、またそれを元種としてパンを焼くことができます。

だから、理論的には、無限につないで天然酵母パンを焼き続ける事ができます。

けど、それは理論上の話です。

実際に何度も繋いていくと、次第に酸味が出てきたり、膨らみが弱くなったり、何か不具合が出てくる事があります。

だから無限につなぐ事は難しいです。

けど、2〜3回なら大丈夫です。
元気な酵母ができた場合はそうやって何度か繰り返してパンを焼く事ができます。

元種の保存方法

完成した元種は冷蔵庫で保存できます。
しかし、冷蔵庫で数日経つと次第に発酵力が弱まっていきます。
2〜3日程度なら大丈夫ですが、1週間も経つと発酵力が弱まりダメになります。

発酵力が弱まった元種を回復させる方法は今の時点では開発できてません。

だから、元種はすぐに使ってしまわなければいけません。

天然酵母パンの焼き方を全5回にてご説明します。

1.酵母液の作り方 
2.元種法での焼き方 ←当記事
3.ストレート法での焼き方
4.失敗例から学ぶ
5.パンが膨らまなかった時のリカバリー法

まとめ

  • 元種を作るのに3日程度かかる。
  • 元種の材料は酵母液・強力粉・水の3つ。
  • 気温によって元種ができるスピードが変わる。
  • 天然酵母パンを焼くには人間が天然酵母の都合に合わせなければならない。
  • 天然酵母パンを食べると幸せになる。

動画で説明

動画では私が実演しております。
動画でしか伝わらない事もあるので、併せてご覧ください。

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このブログを書いてる人

オトコ中村
京都在住 40代 料理を通じて皆が健康で幸せになればいいなと思っている。
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