3回目の醤油醸造(2018仕込み編)

      2018/01/27

今年も醤油を仕込みます。
通算3回目です。

過去2回の醤油醸造は、2回とも1年の熟成では足りず、2年間熟成させました。
醤油醸造というものは、上手く作れば1年の熟成で出来上がるはずです。
上手く作ればと言うか、普通に作れば2年も熟成させずに1年で完成するはずなんです。

それを1年で完成せずに、わざわざ2年熟成させたのは、最初の豆麹を作る段階で、上手に麹菌を育てられなかったからだと思います。
2年経った時点で、それ以上熟成期間を延ばせば完成するという気配も無く、それ以上熟成させてもあまり変わらないだろうと思い、諦めて2年で打ち切ったという事です。
そんな訳で、1回目の醤油は45点くらい、2回目の醤油は70点くらいの出来でした。

今回は、3度目の正直ということで、1年の熟成で完成できるように、豆麹を上手に育てたいと思います。

過去の醤油醸造については、 「醤油醸造のカテゴリ」 からご覧ください。

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醤油醸造の第一段階である豆麹を作る

まず、豆麹を作ります。
豆麹というのは、大豆に麹菌を植えつけたものです。

醤油醸造では、豆麹を育てる段階が一番大切です。
ここで上手くいかないと、後から挽回することはできません。
上手くいけば、それ以降の過程は全く放置していても醤油は完成します。

豆麹を作るには、2日間必要なので、サラリーマンの私は、土日の休みに合わせて仕込みます。
休みの日なら24時間体制で目を話さず麹のに面倒を見る事が出来ますからね。
それくらいの覚悟で挑みます。

【豆麹の材料】今回作った量
大豆 1kg
強力粉 200g
麹菌 3gくらい

茹でた大豆金曜の夜に、大豆を洗って水に浸けておき、土曜の朝になって茹で始めます。

大豆を指でつまんで簡単に潰せるくらいまで茹でて冷まします。
茹で時間の目安は3時間以上です。

強力粉を炒る大豆を茹でている間に、強力粉を炒ります。
弱火で焦がさないように混ぜながら、全体にうっすらと色が付くぐらいまで炒ります。
何のために強力粉を炒るかというと、強力粉に含まれるデンプンをアルファ化させるためです。
だから、焦がさずに、そろそろ火が通っただろうと思う程度まで炒ればそれでいいと思います。

ちなみに本当の醤油醸造では、小麦粉ではなく粒の小麦を炒り、それを粉にするのですが、作業が面倒なのと、粒の小麦の入手が面倒です。
幸いに、強力粉でも代用できるみたいなので、このようにしました。

前回までは、この工程を省略して、はったい粉を使用してました。
はったい粉は、大麦もしくは、はだか麦を炒って粉にしたものですから、もちろんはったい粉を使用しても問題ありません。

炒った強力粉に麹菌をかける十分に冷ました強力粉に麹菌を混ぜます。

熱い状態で麹菌を混ぜると、麹菌が死んでしまいますので、十分に冷めたかどうか確認するように注意しましょう。

使用している麹菌はこれです。
緑色の麹菌が入ってます。
私は4年前に買ったものを冷蔵庫で保存して使いました。
だから、少なくとも買ってから4年は持ちます。

20g入りだから、1回に4g使ったとしても5回分あります。
1年に1回豆麹を仕込んだら5年分です。
5年は持つでしょう。
だから安いものです。

麹菌が混ざった強力粉麹菌が混ざりました。

種切り 土曜日の午前9時頃

茹でて冷ました大豆茹でてた大豆を、40℃以下になるまで冷まします。

種切り強力粉に麹菌を混ぜたものを、混ぜます。
これを種切りと言います。

ここでも大豆が熱い状態で混ぜると、麹菌が死んでしまいますので、40℃以下になっているか必ず確認するように注意しましょう。

とか言いながら、確認しませんでしたけど…。

種切りしたものを鍋に入れる混ざったものを鍋に入れました。

麹菌の培養

麹菌を鍋で培養する鍋を床暖房の上に置いておきます。
24時間くらいこのままの状態で置いておきます。
温度は30℃を超えないように気をつけながら、けどなるべく30℃に近い温度である方が望ましいです。
多少温度が低くても大丈夫だと思います。
15℃以上なら時間はかかるけど麹菌は育ってくれると思います。
いや、15℃なら時間がかかりすぎるから、最低でも20℃以上はあった方がいいかな。
暖房が効いた部屋なら20℃くらいあるでしょうから、暖かい部屋に置いてあるなら無理に保温しなくても大丈夫だと思います。

そして、最初は温度が低くても、麹菌の発酵による熱で、徐々に温度が上がってきます。
だから、たまに気が付いた時には蓋を開けて、温度が上がりすぎていないかチェックします。
麹菌は酸素が必要ですから、たまに蓋を開けることによって酸素が供給されて、温度チェックと酸素供給と1度に2つの事ができて、まさに一石二鳥です。

とか言いながら、途中で様子を見たのは、種切りから12時間後と21時間後の2回だけでした。

種切りから12時間後 土曜日の午後9時頃

この時の記録は残ってません。
様子を見たという記憶が残っているだけです。
特に何も変化が無かったのだと思います。

種切りから21時間後 日曜日の午前6時頃

種切りから21時間後の麹29.4℃です。
いい感じです。
このままもうしばらく置いておきます。

種切りから24時間後 日曜日の午前9時頃

種切りから24時間後の麹30.2℃です。
30℃を超えました。

ここからは、発酵による発熱が強まるので、放熱させたり保温したりなどして26℃~30℃になるように温度調節が必要になります。
26℃を下回ってもどうって事ありませんが、麹菌が育つのに時間がかかります。
30℃を超えないようにする理由は、30℃を超えると納豆菌が繁殖するおそれがあるからです。
納豆菌が繁殖すると麹菌が負けてしまいます。

醤油は、麹菌が作るプロアテーゼというタンパク質分解酵素により、大豆のタンパク質を分解させて作ります。
だから麹菌にしっかりと育ってもらい、プロアテーゼをたくさん作ってもらうようにしないと、醤油が上手く作れません。
26℃~30℃あたりの温度を保つとプロアテーゼをたくさん作ってくれるみたいです。

30℃を少し超えた程度では麹菌も元気に活動する温度なのですが、30℃を超えた温度をキープすると納豆菌が繁殖する可能性が出てきます。
納豆菌が育つと、麹菌が育たなくなってしまいます。
30℃を少し超えるくらいなら全く問題ありませんが、私は目安として30℃というラインを設定してそれを超えないように管理する事にしました。

麹菌にとって納豆菌は天敵なのです。
麹菌と納豆菌が一緒になると、納豆菌が勝つのです。
だから、麹屋さんや、日本酒の杜氏は、納豆を食べないそうです。

趣味で麹を作ろうとしている私は、せめて麹を仕込むその日くらいは納豆を食べないようにしてます。

とか言いながら、その日の朝食に納豆が出てきました。
あ、妻にはその事を言ってなかった。
という訳で、納豆を食べました。

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どないやねん!

ところで、納豆菌もナットウキナーゼというタンパク質分解酵素を作ります。
それじゃぁ、「納豆菌が繁殖しても大豆のタンパク質を分解できるのだから醤油になるのではないか?」と、思うかもしれませんが、ナットウキナーゼによって大豆のタンパク質を分解すると、要するに納豆が出来上がる訳で、醤油としては失敗となります。
納豆が出来上がると言っても、美味しい納豆でなく、出来損ないの納豆なので、納豆菌が繁殖するという事は、腐敗とまでは言いませんが、そのくらいのミスになります。

手入れ 日曜日の午前9時頃

手入れした麹麹を混ぜて、平らな容器に移します。
麹の厚さが3cmくらいになるのが、発熱と放熱のバランスが取れて温度を保つのに理想的です。
我が家では、オーブンの天板が麹の厚さを3cmにできるちょうど良い大きさの容器になります。

そして、乾燥を防ぐ為に、事前に煮沸消毒して湿らせた手拭を上から被せます。

画像は、麹の様子をお見せするために手拭を一部めくってますが、本当は全体に被せています。

麹を混ぜる事を「手入れ」と言います。
手入れをすることによって、麹菌が均一に広がり、放熱もできるので状況を見ながら手入れを行うといいでしょう。
しかし、手入れをすると麹菌のコロニーを破壊してしまい、麹がダメージを受けるので、頻繁には行わない方がいいです。

手入れによって30℃を越えていたものが25℃になりました。
これをオーブンに入れておきます。

オーブンの電源も付けずに、ただオーブンに入れておくだけです。
オーブンは暖房の効いた部屋に置いてあるのでオーブン内の温度は20℃くらいだと思います。
我が家には、麹を保温する適当な場所が無いので、オーブンが仮の麹室なのです。
このまま、麹菌を培養させます。

種切から36時間後(オーブンに入れてから12時間後)日曜日の午後9時頃

36℃くらいまで上がってました。
いかんいかん。
混ぜて放熱させようかと思いましたが、麹にダメージを与えたくなかったのと、オーブン天板に溢れんばかりに入っている麹を混ぜると絶対にこぼれ落ちる物もあります。
こぼれ落ちたら雑菌が付くでしょうから、それは使わない方がいいでしょう。
使わなければ、その分の量が減るので、混ぜずに寒い庭に1時間くらい出しておきました。
すると20℃くらいまで下がったので、またオーブンに入れました。

種切から45時間後(オーブンに入れてから21時間後)月曜日の午前6時頃

種切から48時間が、完成の目安時間です。
あと3時間で完成ですから、そろそろ完成の気配が見えてもいい頃です。
完成していたら種麹と同じ緑色になっているはずです。

種切から45時間後の麹36.3℃で、色は白いです。

いかん、いかん。
また温度が上がりすぎた。
そしてまだ完成してないし、完成の気配すらない。

また失敗か?

ヒヤヒヤしながら1粒食べてみましたが、納豆の味はしてません。
納豆菌にはやられていないと思います。

麹菌が十分に育っていないだけかも知れません。
引き続き、温度管理をしながら培養を続ける事にします。

とりあえず温度を下げるために、庭に出しました。
この日の朝は冷え込んで、麹を1時間も庭に置いていたら、上にかぶせていた手拭が凍ってました。
そして麹の温度は18℃くらいまで下がりました。

ちなみに、今は月曜の朝です。
サラリーマンの私は仕事に行かなければいけません。
仕事に行くまでに麹を完成させる予定でしたが、まだ完成してないのだから、仕事に行きながら麹を育てなければいけません。
麹ちゃんの事が気になりますが、麹ちゃんをオーブンという名の麹室に入れて、仕事へ行きます。

18℃まで温度が下がっているから、そこから緩やかに温度が上昇しても、残業せずにダッシュで帰宅すれば、私が家に着くまでに30℃を超えることはないかな。
いや、夕方には30℃を超えるのではないか。

などと考えていましたが、幸いにも妻が麹の温度チェックに協力してくれました。
妻が家に寄るタイミングで温度を計って報告してくれました。

◆月曜日の昼12時頃に19℃
朝から1℃ほど上がっただけです。
このままなら、過度な温度上昇は無いでしょう。
ただ、温度が低いと完成まで時間がかかってしまいます。

◆月曜日の午後4時頃に24.7℃
だんだん温度が上がってきました。
きっと私が帰宅する頃まで30℃を越えることは無いでしょう。

種切から69時間後(オーブンに入れてから45時間後) 月曜日の午後6時頃

ダッシュで帰宅して麹の様子を見ました。

種切から69時間後の麹お!?

ちょっと緑色になっている。
温度は30℃を少し超えた程度でした。

いい感じです。
もっと全体が緑色になるまで育ててみることにしよう。

 

という訳で…

 

こんな調子で…

 

もう1日、麹菌の培養を続けました。

 

そして、火曜日も仕事に行って帰ってきました。

種切から94時間後(オーブンに入れてから70時間後)火曜日の午後7時頃

完成した豆麹

ジャーン!!

全体が緑色になりました。

やったー!!

これで完成です。

結局4日間もかかりましたが、上手くいきました。

これで合格なんですが、よく見ると、端の方は緑色になってません。
中心部に比べて端の方の温度が低かったので、端の麹菌がちゃんと育たなかったのだと思います。
手入れを1回しかせず、冷却で温度を調節したので麹菌の育ちが均一にならなかったのでしょう。
合格ではありますが、100点満点ではありません。
この結果は、次回につなげたいと思います。

豆麹を手にとってみるふわふわの緑色の麹菌がびっしりです。

食べてみましたが、変な味はしません。
大丈夫です。
米麹と違って、ポワーンという麹の香りはせず、表面がふわっとした大豆の味しかしませんでした。
そして、豆麹を動かすと緑色の胞子がぼわっと舞います。

ところで、最近は、カビの画像を誇らしげに紹介する機会が増えましたね。
カビを扱う料理を紹介してるから、これも必然なのですが。
ここまでカビを紹介する料理ブログも珍しいのではないでしょうか。

醤油を仕込む

完成した豆麹を使って醤油を仕込みます。

【醤油の材料】4リットルの梅酒瓶で作る量
豆麹 今回仕込んだ全部
水 約2リットル
塩 530g

仕込んだばかりの醤油まず1800mlくらいの水を入れて塩を溶かしてから豆麹を入れます。

豆麹の表面は、ふわふわの麹菌に覆われていて、水を弾くため、水に浮きました。
それを押さえ込んで沈めました。

仕込んだばかりのもろみ仕込んだばかりの状況です。

この豆麹と塩水が混ざったものを諸味(もろみ)と言います。

最初は麹を沈めても浮いてくるので、3日後にまた沈めて、1週間後にまた沈めて、それからひたひたになるまで水を足しました。

仕込んで1週間経ったもろみ仕込んでから1週間のもろみです。

豆麹が順調に育ったので、きっと1年で完成すると期待してます。
また報告しますね。

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