河原に咲く菜の花の種で作る天然粒マスタード
毎年春になると河原に生える菜の花。
その種で粒マスタードを作る事ができます。
菜の花の見分け方、種の収穫方法から粒マスタードの作り方までご説明します。
【目次】
1.河原に咲く菜の花が種になるまで
2.カラシナの種の収穫方法
3.雑誌に掲載されました
4.カラシナとアブラナの見分け方
5.種を水洗いする
6.粒マスタードの作り方
6−1.6日後
6−2.1日後
7.天然粒マスタードを試食
8.菜の花って何の花?
9.カラシナの種から取った油
10.まとめ
11.動画で説明
河原に咲く菜の花が種になるまで
ここは4月8日の京都の鴨川です。
ここの河川敷に菜の花が咲いてます。
これはセイヨウカラシナの菜の花です。
カラシナと言うくらいですから、これの種でマスタードを作ることができます。
4月23日です。
菜の花はまだ少し咲いてますけど、穂と鞘ができています。
この鞘の中に種が入ってます。
これが成熟して乾燥したら収穫できます。
5月28日です。
鞘はほぼ乾きました。
これを収穫します。
本当はもう数日待って、もっと乾いてから収穫するのが理想ですが、この日は梅雨入りの前日で、雨が降ると収穫できないので、この日が収穫できる最後のチャンスだったのです。
梅雨に入ってからでも晴れた日だったら収穫できます。
私が収穫に来れる日が晴れてるとは限らないので、梅雨入り前の都合の良い日に収穫することにしました。
カラシナの種の収穫方法
適当なところにハサミを入れて切ります。
穂はこのようになっています。
鞘の中には黒くて小さい種が詰まっています。
これがマスタードの原料です。
種が飛び散るので、ブルーシートを広げてその上に穂を集めます。
これをブルーシートの上でしごいてやります。
軍手必須ですよ。
素手でやったら手が傷だらけになりますからね。
こうやると、種と鞘が落ちます。
ブルーシートを広げるなんて面倒で真似できないとお考えの方も大丈夫ですよ。
傘を開いて逆さに向けて、その上で穂をしごくという方法も手軽で良いですよ。
これを真ん中に集めました。
鞘しか見えませんが、種は細かく鞘に比べて比重が重いので底に沈んでます。
上に集まっている鞘を取り除きます。
この段階である程度鞘を取り除いておきます。
タッパーなどの蓋のできる適当な容器を用意します。
ここに種を入れます。
この段階で、またある程度鞘を取り除いておきます。
これを持ち帰ります。
鞘は少しくらい残っていても大丈夫です。
後述しますが、水で流せば簡単に取り除くことができます。
雑誌に掲載されました
農文協の「のらのら」2016年夏号に中村家がカラシナの種でマスタードを作る記事が掲載されました。
農文協の「のらのら」とは、子供向け農業雑誌で、今は休刊となってます。
雑誌記事は、農文協のらのらウェブサイトで一部だけ見る事ができます。
興味のある方は のらのら2016年夏号 にアクセスしてみてください。
アクセスしたら、こんなページが出てきます。
そこの 「■カラシナとアブラナの見分けかた」 というところをクリックしてください。
PDFファイルで記事の一部を見る事が出来ます。
記事では2016年当時の中村家の様子を垣間見ることができます。
カラシナとアブラナの見分け方
ところで、カラシナとよく似たアブラナという植物があります。
先ほど紹介した雑誌「のらのら」にアブラナとカラシナの見分け方が載っています。
わかりやすいので、雑誌記事の内容を少し拝借します。
<アブラナの特徴>
葉のふちがギザギザしていない。
葉をかじっても辛くない。
カラシナの花よりやや大きい。
葉の付け根部分が茎を包み込む。
<カラシナの特徴>
葉がギザギザしている。
葉をかじるとピリッと辛い。
アブラナの花よりやや小さい。
葉の付け根部分は茎を包まない。
これを見て、アブラナの種でマスタードを作らないようにしましょう。
実験でアブラナの種でマスタードを作った事がありますが、アブラナの種で作ったものは辛くないだけでなく、香りも違います。
全然美味しくなかったです。
お勧めできません。
種を水洗いする
まずは、収穫した種をボウルに入れて水洗いします。
不要な部分は水に浮かぶので水と一緒に流します。
2〜3回洗えばだいたい不純物は無くなります。
濾し器で水を切ります。
ザルは目が荒いので種が通過してしまいます。
バットにキッチンペーパーを広げ、その上に種を広げます。
これを風通しのいいところに置いて乾燥させます。
この日は用事があったので、収穫する時間があまりなく、量は少ないです。
それでも採り方から洗い方まではご理解いただけたと思います。
1日乾かしました。
重さを測ってみると25gです。
少ないなあ。
でも心配いりませんよ。
我が家には種の備蓄があるのです。
ちょっと足して30gにしてからマスタードを仕込みます。
粒マスタードの作り方
<粒マスタードの材料>
カラシナの種 30g
リンゴジュース 30ml
酢 30ml
塩 3g
全ての材料を瓶などの蓋付き容器に入れ、混ぜます。
蓋をして、これを冷蔵庫で1週間くらい寝かせます。
6日後
こんなになりました。
あまり種が水分を吸ってませんね。
種が水分を吸って膨らんでるはずだったのですが、種の乾燥が足りなかったかもしれません。
まあいいや、これをすり鉢に入れます。
すり潰します。
ある程度潰すと、マスタードっぽくなってきました。
香りも広がってきました。
これをまた瓶に入れ、冷蔵庫で1日以上寝かせます。
今すぐ食べられそうに見えますが、すぐに食べるととても不味いです。
1日寝かせると、何故か味が落ち着いて、美味しくなります。
1日後
これで完成です。
美味しそうに出来ました。
余っていた水分も種が吸い取って、いい感じに仕上がりました。
天然粒マスタードを試食
粒マスタードを美味しくいただくために、ソーセージをフライパンでこんがり焼いてます。
それでは、粒マスタードをいただきます。
美味しいです。
文句なしの美味しさです。
ツンという辛味と香り。
ソーセージと粒マスタードという組み合わせは絶対に間違いないですね。
粒マスタード単独で食べてみると、野草独特のクセのようなものを少し感じますが、ソーセージと一緒に食べるとクセを感じません。
また、市販の粒マスタードよりも、種の外皮の繊維質を強く感じますが、全く許容範囲内で、違和感はありません。
美味しい粒マスタードです。
これが手作りというだけでなく天然素材で作ったのですから、面白いではありませんか。
菜の花って何の花?
ところで、余談になりますが菜の花って何の花かご存知ですか?
もうすでにカラシナの菜の花と、アブラナの菜の花の事を説明したので、「菜の花」という特定の植物の花では無いという事は、お分かりですよね。
では、菜の花というのは何の花かと言いますと…
アブラナ科の植物の花を菜の花と言います。
アブラナ科の植物と言えば、大根もアブラナ科です。
大根の葉が伸びて、菜の花を咲かせます。
キャベツもアブラナ科です。
キャベツが生長すると開いて菜の花が咲きます。
小松菜もアブラナ科です。
小松菜も伸びると菜の花が咲きます。
アブラナ科の植物を言い出したらキリがないですが、ブロッコリーやカリフラワーもアブラナ科です。
ブロッコリーやカリフラワーを食べるのは、菜の花を食べてるのとあまり変わらないと言えます。
カラシナの種から取った油
カラシナはアブラナ科の植物である事はすでに述べましたが、アブラナというのは、種から油を取る事ができるからアブラナというのです。
アブラナの種から搾り取った油を菜種油と言います。
キャノーラ油は、キャノーラという品種のアブラナの種から搾り取った油です。
それで、カラシナの種からは油は取れないのかというと、取れます。
マスタードオイルという油があるのです。
日本では売ってませんが、インドではマスタードオイルを使うみたいです。
私はマスタードオイルを食べた事ありませんが、マスタードの香りがする油のようです。
まとめ
- 河原に咲く菜の花はカラシナやアブラナの花。
- カラシナの種でマスタードを作る事ができる。
- アブラナの種ではマスターをを作る事ができない。
- カラシナの種で作る天然粒マスタードは美味しい。
- 菜の花とはアブラナ科の植物の花。
- インドにはカラシナの種から作ったマスタードオイルというものがある。
動画で説明
動画では、私が出演して種の収穫からマスタードを作って食べて熱く語るところまで全てやってます。
動画でしか伝わらない事もあるので併せてご覧ください。