
カリカリ梅の作り方(中村式)
カリカリ梅の作り方です。
カリカリ梅は、卵殻のカルシウムと梅のペクチンが反応して硬化する事でカリカリ食感が出ます。
本来は、卵殻を焼いてから使うのですが、うっかり卵殻を焼かず作ってしまいました。
しかし、それでもカリカリ梅になります。
今回は、卵殻を焼かずに作る方法をご紹介します。
それだけでなく、なぜカリカリ食感になるのかなども説明します。
ちょっとした科学メシの内容となってます。
【目次】
1.なぜ梅がカリカリになるのか
2.カリカリ梅の材料
3.卵殻を準備しておく
4.本来ならここで卵殻を焼くが焼かなくても大丈夫
5.梅の下ごしらえ
6.漬ける
6ー1.1日経過
6ー2.2日経過
6ー3.3日経過
7.焼いてない卵殻を使った場合の注意点2つ
8.赤紫蘇と一緒に漬ける
8ー1.ここからは冷蔵保存する
8ー2.赤紫蘇と一緒に漬けて3日経過
8ー3.赤紫蘇と一緒に漬けて20日経過
9.カリカリ梅を試食
10.まとめ
11.動画で説明
なぜ梅がカリカリになるのか
まず最初に、なぜ梅がカリカリになるのかをご説明します。
一言で言うと、「卵殻のカルシウムと梅のペクチンが反応してペクチンが硬化するから」です。
ペクチンは、梅などの果実の細胞壁に含まれる多糖類で、水分や他の成分と結合して固まる性質があります。
ジャムなどをドロっとさせる成分です。
卵殻のカルシウムが梅のペクチンと結合すると、「カルシウムペクチン酸塩」と呼ばれる硬い構造が形成されます。
この構造が、ペクチン分子同士を固い骨組みで固定して、梅の果肉を硬く、カリカリ食感にします。
では、カリカリ梅を作っていきましょう。
カリカリ梅の材料

【カリカリ梅の材料】(作りやすい量)
青梅の小梅 1kg
塩 200g
卵の殻 2個分
赤紫蘇漬け 100g〜200g
赤紫蘇漬けは、色を付けるためのものです。
多ければ色が濃くなり、少なければ色が薄くなります。
お好みの量入れてください。
色だけでなく赤紫蘇の香りも付きますけど、カリカリ梅を食べる時に、あまり赤紫蘇の香りを意識することはありません。
だから香りについては、あまり考えていません。
また、赤紫蘇を全く入れないという選択肢もあります。
赤紫蘇を全く入れなかったら白カリカリ梅になります。
赤紫蘇漬けの作り方については以下の記事をご覧ください。
卵殻を準備しておく
卵2個を割って殻を取り出します。
卵の中身は冷蔵庫に入れておいて、また何か料理に使えばいいでしょう。
殻を水洗いして、薄皮を取り除きます。
薄皮は簡単に取れますよ。
これをお茶パックに入れておきます。
本来ならここで卵殻を焼くが焼かなくても大丈夫
卵殻の表面にはサルモネラ菌が付いてる可能性があります。
サルモネラ菌は水洗いだけでは完全に取り除くことはできません。
そう言った意味では卵殻を焼いた方が食品衛生的に安全と言えます。
しかし、サルモネラ菌が残っていても、結局のところ梅の酸で菌は死滅しますから大丈夫です。
卵殻を焼く意味は別の所にあります。
卵殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)です。
炭酸カルシウムは水に溶けにくく、ペクチンとの反応が起こりにくいです。

卵殻を高温で焼くと、炭酸カルシウムが「酸化カルシウム」(CaO)又の名を「生石灰」に変化します。
酸化カルシウムは水に溶けると「水酸化カルシウム」(Ca(OH)₂)又の名を「消石灰」(Ca(OH)₂)になります。
これで、アルカリ性のカルシウム溶液となり、梅のペクチンと反応しやすくなります。
と言うわけで、本来なら、卵殻をオーブンなどで焼いて炭酸カルシウムを酸化カルシウムに変えてから使います。
しかし、卵殻を焼かなくてもいいです。
私は、うっかり焼かずに仕込みましたが、それでもカリカリ梅になりました。
焼かない場合は、やり方によっては失敗するので、失敗しないためにはどのようにすればいいかを作りながらご説明します。
梅の下ごしらえ
まずは、買ってきた小梅を水洗いします。
梅のヘソの部分を竹串などで取り除きます。
取れました。
簡単に取れますよ。
これを取るのは簡単なのですが、小梅1kgとなると、梅何個になるのでしょうか。
結構な回数これを行う必要があります。
1kgの小梅なら15分くらいかかります。
ちょっと面倒ですけど、ここを乗り越えたら仕込みはほとんど終わったみたいなもんですよ。
できました。
漬ける
上から塩をかけます。
卵殻を入れたお茶パックを乗せます。
重石を乗せます。
適当な蓋を載せました。
適当な蓋がなければラップでもいいですよ。
このまま常温で置いておきます。
1日経過
1日経ちました。
かなり水が上がってきました。
この水分を梅酢と言います。
梅酢は、梅を塩漬けにした際に抽出される液で、主にクエン酸やリンゴ酸などの有機酸を含み、pHは2~3程度の強い酸性です。
卵殻も梅酢に浸かり始めました。
梅酢に卵殻が浸かるようにしましょう。
卵殻の炭酸カルシウム(CaCO₃)は水にはほとんど溶けませんが、梅酢の酸が炭酸カルシウムを溶かします。
梅酢の酸と炭酸カルシウムと反応し、カルシウムイオン(Ca²⁺)、水、二酸化炭素(CO₂、気泡として放出)を生成します。
要するに、卵殻が梅酢に溶けるという事です。
また重石を乗せて、蓋を乗せて置いておきます。
2日経過
もう全体が水に浸かった状態になりました。
卵殻をもっと溶かすために、もう1日重石を乗せて置いておきます。
3日経過
もう1日経ちました。
卵殻はもう取り除いてもいいですが、あと数日一緒に漬けておいてもいいです。
焼いてない卵殻を使った場合の注意点2つ
1.常温で置きましょう
青小梅が手に入る季節の気温は20〜30℃くらいです。
このくらいの温度が、梅酢の生成と炭酸カルシウムの溶解に最適です。
低温(10℃以下)だと反応が遅く、高温(35℃以上)だと梅の品質や酸の安定性に影響が出ます。
20~30℃はバランスが良いです。
2.3日は漬けましょう
梅酢が生成され、卵殻からカルシウムイオンが溶け出すのに十分な時間を考えると3日は必要です。
3日以上なら何日でもいいと思います。
赤紫蘇と一緒に漬ける
適当なタッパーに梅を移し替え、赤しそ漬けを適当にばら撒きます。
赤しその量はお好みで増減してくださいね。
タッパーの蓋をして冷蔵庫に入れておきます。
ここからは冷蔵保存する
カリカリ梅は、冷蔵保存してください。
梅干しは常温でも腐りませんが、カリカリ梅は、干してないから、梅干しではありません。
「梅干し」でなく、「梅漬け」です。
カリカリ梅は、常温で置いてたら、夏は梅酢に浸かってない空気に触れる部分にカビが生えたりします。
だから冷蔵保存です。
赤紫蘇と一緒に漬けて3日経過
3日経ちました。
まだあまり色が染み込んでません。
一応、もう食べることはできますが、もっと色が染み込むまで待ちます。
赤紫蘇と一緒に漬けて20日経過
20日経ちました。
ちょっと色付きました。
もっと濃くしたければ、紫蘇の量を増やしたらいいですよ。
先述した通り、逆に最初から紫蘇を全く入れないという選択肢もあります。
まあ、これで完成という事にします。
20日でなくても食べたい時から食べ始めたらいいですよ。
食べると言っても、たいていは1年くらいかけて少しずつ食べますから、最初は色が染みてなくてもそのうちに染み込んでいきますから。
カリカリ梅の完成です。
カリカリ梅を試食
確かにカリカリ梅になってます。
カリカリ感は若干弱いかもしれません。
でも間違いなくカリカリ梅になってます。
そして、新鮮な梅の風味がします。
普通は、梅干しを食べた時にフルーツを感じる事はあまりないです。
しかし、これは新鮮ですからフルーツ感がまだ残ってます。
フルーツ感は徐々に弱まって消えていくでしょう。
フルーツ感は新鮮な時にだけ味わえる感覚です。
そして、新鮮であるが故に、塩の角が立ってます。
1年以上漬けた梅の場合は、塩の角が取れてまろやかな塩味になりますが、こちらは新鮮ですから塩味をガツーンと感じます。
これは、お弁当用に使います。
お弁当には小梅がちょうどいいサイズです。
昨年(2024年)は梅が大不作で、小梅を店頭で見かける事はありませんでした。
だから昨年は小梅を仕込むことができませんでした。
今年(2025年)は2年ぶりの小梅が手に入り、このように小梅漬けを作れる事に喜びを感じております。
まとめ
- カリカリ梅は卵殻カルシウムと梅のペクチンが反応してカリカリ食感が出る
- 赤紫蘇漬けは、色を付けるためのもの。
- 赤紫蘇を全く入れなかったら白カリカリ梅になる。
- 本来なら卵殻を焼く必要がある。
- 梅の酸で卵殻が溶けるから焼かなくても良い。
- 梅を漬ける時は常温。
- カリカリ梅は冷蔵保存。
- 新鮮なものはフルーツ感がある。
動画で説明
動画では私が実演しております。
動画でしか表現できない事もあるので、併せてご覧ください。