京北の山にある柿の木です。
少し収穫しました。
これは、渋柿で、おまけに見ての通り、とても小さい。
はっきり言って、食べるのに困りますね。
今どき、このような柿は、たいてい誰も採らずに、放置されていますが、物好きな私は、思わず採ってしまいました。
それは、柿酢を作ってみたかったからです。
柿酢は、作った事ありませんが、柿のヘタを取って、蓋付きの容器に入れてやれば、自然に発酵して出来るみたいです。
そんなに簡単に、天然の醸造酢が出来るなら、発酵食品が大好きな私が、一度やってみたいと思うのは当然ですね。
菌が生きている天然の醸造酢なんて、きっと美味しくて、体に良いですよ。
柿酢を仕込む
ヘタを取って、蓋付き容器に入れました。
ヘタを取った最初の1個目から、いきなり黒い芋虫がニョキッと出てきて、ビックリしました。
まさか渋柿を食べる虫なんて、いないだろうと思ってましたが、物好きな虫もいるのですね~。
おかげで、虫の有無を調べる為に、全ての柿を切って、中を確認してから容器に入れました。
最終的に3個ぐらいから虫が出てきて、処分しました。
1週間後
実が熟して、つぶれて、水分が出てきました。
発酵が始まっていて、ポコポコと気泡が出ています。
スプーンで、実をつぶして、混ぜました。
さらにに1週間後(作りはじめから2週間後。)
ポコポコと、元気よく発酵しています。
蓋を開けて見てみます。
表面にある白いものは、酸膜性酵母でしょう。
スプーンで、混ぜてやります。
混ぜたスプーンを舐めてみると、もう渋くありません。
シュワシュワーと泡が出てきます。
酵母菌が活発に働いているのでしょう。
このまま、あと3ヶ月くらいで、おそらく酢になると思います。
そして4ヵ月後
熟成期間の目安は3ヶ月ですから、もう4ヶ月経っているので完成してるはずです。
中を見てみますが、あまり酸っぱい匂いはしません。
表面の白いモヤモヤは、カビではなく、酸膜性酵母だと思います。
別に腐っている訳では無さそうなので、失敗してないと思うのですが…
少し味見してみます。
少し酸っぱいような気がしますが、特に何の味もしないです。
柿酢というのは、柿の糖分が発酵によってアルコールに変わり、アルコールが酢酸に変わって出来ます。
私が思うに、この柿は、問題なく発酵は進んだのだけれど、糖分が少なかったために、酸も少なく出来上がったのだと思います。
「それならば!」という事で、ちょっと邪道ですが砂糖を50gくらい投入して、再び発酵させることにします。
そうすれば、キュンと酸っぱい柿酢が出来るのではないでしょうか。
砂糖を投入してから1ヶ月経(仕込み始めて5ヶ月経過)
ポコポコ気泡が出ています。
これは、酵母菌が、砂糖をアルコールと二酸化炭素に分解してる証拠で、この気泡の正体は、二酸化炭素です。
シュワーっと酵母菌が元気に活動しています。
このまま発酵を続ければ、あ2ヶ月くらいで酢が完成するのではないでしょうか。
しかし、こんなに酵母菌が元気なら、このまま酢にするだけではもったいない。
この酵母でパンを焼いてみましょう。
柿酵母パンを焼く
まずは酵母種を育てる
30gだけ発酵途中の柿酢を取り出しました。
ここに強力粉を30g加えます。
混ぜる。
1日置きます。
翌日。
少し膨らみました。
ほらね。
酵母菌が元気な証拠です。
さらに強力粉30gと水30gを加え、混ぜます。
もう1日置きます。
翌日、さらに膨らみました。
さらに強力粉50gと水50gを加え、混ぜて、1日置きます。
翌日、さらに膨らみました。
これで柿酢から起こした酵母種が完成です。
育てた酵母種を使ってパンを焼く
柿から起こした酵母種 100g
強力粉 350g
バター 25g
甜菜糖 20g
塩 5g
水 180ml
ホームベーカリーの天然酵母パン生地コースで、1次発酵まで完了させてから、ダッチオーブンに入れて2次発酵させます。
常温で一晩、さらに40℃のオーブンで2時間発酵させて、やっと膨らみました。
天然酵母パンは、なかなか膨らまずに「失敗したかな?」と不安になることがありますが、根気よく待ち続けると、たいてい膨らんでくれるものですね。
では、これを焼きます。
※ダッチオーブンでのパンの焼き方は ダッチオーブンでパンを焼く をご覧ください。
焼けました~。
これが、ものすっごく美味しく焼けました。
特に、子ども達からの評価が高かったです。
子ども達に喜んでもらえると、ホッとひと安心です。
柿酢をさらに1ヶ月発酵させました
仕込んでから合計で6ヶ月発酵させました。
表面の白い物は、カビではなく酸膜性酵母だと思います。
ちゃんと酸っぱい匂いがするような、しないような、どうでしょう。
恐る恐る味見をしてみます。
ちょっと酸っぱいです。
ですが酢としては酸味が弱いですね。
ま、いいか。
これで完成という事にしておきましょう。
布に包んでギュッと搾ったら、およそ200mlの柿酢ができました。
白く濁っていますが、透き通るまで濾過する技術が無いので、これで良しとしておきます。
濁っていようが味に大差は無いでしょう。
少し試飲してみます。
グビッ。
ん…?
何やこれ?
少しは酸味があるのですが、酢では無いです。
何なんでしょうね、これ。
別に腐敗している訳では無いですよ。
何と言うか、柿酵母エキスとでも言いましょうか。
これでパンでも焼けそうです。
それは、もうすでにやりましたね。
いや、これを無理やりでも「柿酢」と呼ぶ事にします!
無理やり柿酢が完成したという事にして、これで料理を作る
酢の料理と言えば、やはり酢の物ですよね。
酢の物を作るには、まずは三杯酢を作ります。
三杯酢を作っておけば、あとは、好きなものに和えるだけなので、基本となる三杯酢のレシピを載せておきますね。
〈材料 酢の物4人分くらい〉
出し汁 150ml
柿酢 50ml
砂糖 10g
うす口醤油 20g
柿酢を使った酢の物。
キュウリ・ワカメ・じゃこ・ちくわを三杯酢で和えました。
普通に美味しいです。
ですが、酸味が弱すぎる!
やはり柿酢とは言えないなぁ。
柿酢と言うよりは、やはり柿酵母エキスと言うのが正しいかな…
柿酵母エキスとして、料理の隠し味で、旨味と広がりをもたらしてくれるので、逆に新たなる可能性も秘めていて、ワクワクする部分もありますが、決して「柿酢」では無いです。
補足(2016年6月26日)
後から酢の作り方を勉強したのですが、柿酢の作り方は、このようなアバウトな作り方では、まともな酢が出来なくて当然だという事が分かりました。
ちゃんとした酢作りについては、その後、米酢を作り成功させた記事 米酢を作る 仕込み編 をご覧ください。
柿酢については、また柿が手に入ったら、改めて作ろうと思います。