
納豆をとことん発酵させるとどうなるか実験してみたが…
納豆を、これ以上ないほどに発酵させて食べてみようという実験です。
【目次】
1.6月28日実験開始
2.今回の実験の趣旨
3.6月29日(1日後)
4.7月3日(5日後)
5.7月6日(8日後)
6.7月12日(14日後)
7.8月10日(43日後)
8.8月17日(50日後)
9.8月30日(63日後)
10.9月13日(77日後)
11.今回の実験で分かった事
12.他にも納豆の実験をやっている
13.まとめ
14.動画で説明
6月28日実験開始
実験に使う納豆はこれです。
滋賀県産の大豆を使った納豆です。
賞味期限は7月4日と書いてありますが、今回の実験ではどうでも良い情報です。
これのパックを開けて、タレとカラシは取り除き、、瓶に入れました。
6パック分入れました。
蓋を軽く乗せます。
実験の仕込みは以上です。
これを常温で置いて発酵を進めます。
今回の実験の趣旨
2年前にこんな実験をしました。
この実験では、もちろん期待通り発酵がどんどん進みました。
でも、納豆をパックのまま置いていたために、日数が経つにつれて水分も飛んでいって、最終的には、セミドライ納豆って感じになりました。
水分が少なくなればなるほど発酵が進まなくなります。
もし水分量を維持したまま置いておけば、もっと発酵が進んだであろうと推測されます。
そこで、今回の実験です。
瓶に入れて蓋をして水分が飛ぶのを防ぎます。
蓋は閉めますが、納豆の発酵には空気が必要なので、蓋は密閉せずに、軽く閉めるだけにしておきます。
そして、たまに蓋を開けて呼吸させてあげます。
それでも少しは水分が蒸発するでしょうから、その時は少し加水して、水分量が減らないように調節します。
それでこのクソ暑い真夏に置いておいたらとことん発酵が進むでしょう。
では、実験の経過をご覧ください。
6月29日(1日後)
納豆には特に変化は見られません。
瓶の内部に水滴が付いてます。
蓋の水滴が分かりやすいです。
これは水分が蒸発したのか、納豆が呼吸してるのか、いずれか、それとも両方でしょう。
蓋を一瞬開けて空気を少し入れ替えます。
空気の入れ替えは毎日ではありませんが、納豆を観察するときは必ず行います。
7月3日(5日後)
このようになってます。
納豆の色が変わってきました。
瓶に菌糸のような白いものが付着しています。
何か良くわからないですが、納豆菌が活動してるのでしょう。
蓋の部分の水滴も確認できます。
7月6日(8日後)
納豆の量が少し減ったように見えます。
日数の経った納豆に出てくるチロシンの粒々も発生しています。
それと、瓶の底の方には納豆の水分が溜まっているのがわかります。
この水分の層は最初には無かったものです。
7月12日(14日後)
見た目には大きな変化はなくなってきました。
毎日ではありませんが、このように観察するときには蓋を一瞬開けて新鮮な空気を吸わせてあげると共に、匂いも確認しています。
強烈な納豆臭がします。
8月10日(43日後)
このようになっています。
徐々に量が減ってるように見えます。
匂いは、鼻を刺すような強烈な納豆臭です。きっとアンモニアも含まれてるのだと思います。
8月17日(50日後)
このようになっています。
匂いは、鼻を刺すような刺激は弱まり、強烈だけどまろやかな納豆臭に変わってきました。

ちなみに2年前の実験で、パックのまま放置した納豆は50日後にこんな状態でした。
かなり水分が飛んでるのがわかります。
このように水分が飛ぶと、発酵が進まなくなってきます。
今回は、蓋を開けて小さじ1杯の水を足しました。
8月30日(63日後)
このようになっています。
水分の層の上に白っぽい層ができました。
また小さじ1杯の水を足しました。
匂いは、強烈だけどまろやかな納豆臭に加えて、チョコレートのような香りを見出しましたよ。
これは熟成香でしょうか。
面白くなってきました。
ちなみに瓶の底はこのようになっています。
チロシンの粒がびっしりですね。

2年前の実験では72日後のものはこのようになりました。
明らかに水分が飛んでいます。
9月13日(77日後)
ここで、悲しい事が起こりました。
画像を拡大するとこうなります。
赤丸の中に注目です。
上から撮影。
拡大するとこのようなものが確認できます。
なんと、虫が発生してしまいました!
いやまさか虫が発生するとは、これはおそらくコバエです。
コバエが納豆を食べるなんて思いもよりませんでした。
いつ侵入したのでしょうか。
蓋を開けた時は、私が見てるからわかるはずです。
きっと空気の通り道を確保するために、蓋を完全に閉めずに軽く閉めただけだったために、そのわずかな隙間から侵入したと考えられます。
納豆を発酵させる場合は、カビや他の微生物に対して、ほぼ無防備で大丈夫です。
納豆菌は強いですから。
しかし、虫の対策は考えてませんでした。
いや、考えてなくはないです。
ちゃんと蓋をしてました。
でも、蓋の仕方に隙がありました。
それで、残念ながらこの納豆は廃棄処分になりました。
今回の実験で分かったこと
これを捨てる時に分かった事ですが、納豆がすごく柔らかくなってました。
水分を保持したまま納豆を発酵させたら、もっともっと発酵が進む事が分かりました。
63日以上経った納豆からはチョコレートの香りを見出しましたから、実験を成功させたら、きっと人類が到達した事のない納豆の新境地が発見できると思います。
それから、コバエが納豆を食べるという事も分かりました。
だからちゃんと対策しておかなければいけません。
という訳で、この実験はまた来年の春に再チャレンジしようと思います。
他にも納豆の実験をやっている。
実は、他にも納豆の実験を進めています。これは今のところ虫が湧いてないので大丈夫です。
もう一つの実験というのは納豆醤油です。
醤油に納豆を漬け込むというものではありませんよ。
納豆にかける納豆用醤油の事でもありません。
納豆で醤油を醸造するというものです。

普通の醤油というのは、大豆に麹菌を生やして豆麹を作り、そこに塩水を加えて熟成発酵させて作ります。
この画像は2018年に仕込んだ時の画像です。
醤油醸造の方法について詳しくは以下の記事をお読みください。
普通の醤油は、麹菌が作ったプロテアーゼというタンパク質分解酵素の働きで大豆のタンパク質を分解して、それがアミノ酸となって旨味となって、それが醤油の旨味となります。
そして納豆菌は強いです。
納豆菌は麹菌の天敵です。
麹菌と納豆菌が一緒になれば麹菌は負けてしまいます。
醤油醸造での納豆菌の混入は、醤油の品質が悪くなるので厳禁です。
だから、普通は醤油醸造に納豆なんて考えられない事です。
しかし納豆にはナットウキナーゼというタンパク質分解酵素があります。
それを逆手に取って、納豆に塩水を加え、置いておいたら、ナットウキナーゼの働きで大豆が分解されて、醤油になるのではないかと考えました。
それで納豆に塩水を入れて仕込みました。
これは6月28日に仕込みました。
仕込んでから1年以上は置いておこうと思います。
来年の6月以降に搾って、納豆醤油にしようと思ってます。
ちゃんとできるかどうか分かりませんが、もしかしたら、糸引く醤油になるかもしれません。
完成をお楽しみにお待ちください。
来年には今回の熟成納豆の実験に再挑戦しますので、そちらもお楽しみにお待ちください。
まとめ
- 納豆を瓶に入れて置くと熟成発酵に都合がいいはず。
- 納豆をパックのまま置くと水分が飛んでしまう。
- なんとコバエが納豆を食べる。
- 納豆を長期熟成発酵させるにはコバエ対策も必要。
- 醤油醸造に納豆菌は厳禁。
- 納豆にはナットウキナーゼというタンパク質分解酵素が含まれる。
動画で説明
動画では私が実演しております。
動画でしか表現できないこともあるので併せてご覧ください。