2年間熟成発酵させた白たまりを味わう
小麦麹を塩水に漬けて熟成発酵させた調味料を白たまりと言います。
白たまりの熟成期間は2〜3ヶ月程度で済むのですが、我が家には2年も熟成させた白たまりがあり、熟成が進みすぎて真っ黒になっています。
果たして、どんな味になってるのでしょうか。
今回はそれを搾って味わってみようと思います。
【目次】
1.白たまりとは
2.白たまりの作り方
3.工程1:小麦麹を作る
3–1.小麦麹を作らずに買っても良い
4.工程2:小麦麹を塩水に漬ける
5.工程3:熟成発酵
6.実は白たまりを仕込むつもりでは無かった
7.白たまりを観察
8.工程4:搾る
9.濾過
10.白たまりを味わう
10–1.マグロの刺身
10–2.卵かけご飯
11.搾りカスの有効利用
12.まとめ
13.動画で説明
白たまりとは
白たまりは、小麦麹を塩水に漬けて熟成発酵させて、最後に絞った液体の事で、醤油の仲間です。
醤油の原料は基本的に大豆と小麦です。
白たまりは小麦100%で大豆は入ってません。
大豆が入ってないものは醤油と呼べないので、白たまりと呼ばれています。
濃口醤油の熟成期間は1年以上ですが、白たまりの熟成期間は2〜3ヶ月と短いです。
2〜3ヶ月の熟成で済むはずのものですが、これは2年熟成させた白たまりです。
真っ黒になってます。
今回は、これを搾って味わってみたいと思います。
その前に、まずは白たまりの作り方をご覧ください。
白たまりの作り方
ものすごくザックリとした説明ですが、白たまりの作り方です。
◆白たまりの作り方
1.小麦麹を作る
2.小麦麹を塩水に漬ける
3.熟成発酵
4.搾る
5.完成
およそ、このような流れになります。
工程1:小麦麹を作る
玄小麦に麹菌を生やし小麦麹を作ります。
ネット通販で玄小麦を買いました。
小麦は、普通は粉になった状態で売ってるので、このような粒の小麦は珍しいです。
石臼があれば、これを小麦粉にする事も可能です。
玄小麦を水に浸けます。
1日に1回は水を換えて、3日くらい置きました。
すこし発芽の兆候が見られるようになりました。
発芽玄小麦になりました。
これを鍋で蒸します。
1時間くらい蒸しました。
木桶に広げて冷まします。
30℃くらいまで冷めたところで、麹菌の登場です。
麹菌を茶漉しに入れて、全体に満遍なくふりかけます。
混ぜます。
麹菌が全体に広がるように混ぜます。
適当なタッパーに入れます。
蓋をします。
麹菌は呼吸をするので、蓋は少し隙間を開けておきます。
床暖房の上に置き、ブランケットを被せておきます。
その後、数回様子を見ましたが、特に混ぜるなどの手入れはしませんでした。
種付けから48時間後にこの通り、白いフワフワに覆われました。
これで小麦麹が完成です。
白たまりの仕込みでは、小麦麹を作るのが最も重要で大変です。
しかし、ここさえクリアしたら99%完成したようなものです。
あとは時間さえかければ完成するからです。
小麦麹を作らずに買っても良い
この工程はあまりに面倒なので、小麦麹の完成品を買うという方法もあります。
今ではネット通販で何でも手に入ります。
ところがAmazonや楽天などのネット通販大手では、大麦麹は売ってましたが、小麦麹が見つかりませんでした。
麹屋さんが直接販売してるものを買うといいでしょう。
以下リンクは、外部サイトですが、小麦麹を販売している麹屋さんです。
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工程2:小麦麹を塩水に漬ける
小麦麹に水と塩を入れ混ぜます。
この時どれだけの量を入れたのか記録が残ってなくて分かりません。
この分量ですが、醤油の仕込みでもそうですが、標準的な分量というのが特にありません。
作る人の好みです。
これを瓶に入れます。
ピッタリ満タン入りました。
さらに、ひたひたになるまで塩水を入れました。
工程3:熟成発酵
この状態で2年間放置しました。
最初は発酵してガスが発生して、中の水分が少し漏れました。
画像をよく見ていただくと、ガスが発生してるのが確認できると思います。
ガスの発生は、1週間程度で落ち着きました。
実は白たまりを仕込むつもりでは無かった
実は、これは白たまりと違うものを仕込んだつもりでした。
何を仕込もうとしたのかと言うと…
甜麺醤です。
本物の甜麺醤という中華の調味料は、小麦粉を麹菌で発酵させて作ります。
本物の作り方が、調べても分からなかったので、自分なりに「これが本物の作り方だろう」と考えて玄小麦から仕込んだのが今回の物です。
これを仕込んだ後に、本物の甜麺醤の作り方を知りました。
甜麺醤について詳しくは、こちらの記事を見てください。
そして、仕込んだ後に、これは甜麺醤でない事が分かりました。
だから、これは行き場を失って2年も放置されてしまったのです。
そして最近になって、これは白たまりではないか、という事を知りました。
だから2〜3ヶ月熟成で済むはずの物を2年熟成させたのです
白たまりを観察
絞る前に、仕込んだばかりの物と、2年熟成させた物を見比べてみます。
明らかに色が変わっていますね。
どちらが2年熟成か説明しなくても分かりますよね。
時間の経過とともに色が黒くなっているのが分かります。
蓋を開けて表面を見てみると、これを何と表現したら良いのでしょうか。
匂いは、味噌の匂いにそっくりです。
美味しそうな匂いです。
工程4:搾る
ボウルにザルを乗せ、さらしを被せ、そこにぶちまけます。
下に真っ黒な液体がポタポタと落ちてます。
しかし、あまりにも落ちるのが遅すぎます。
重力だけではなかなか落ちていかないので、手を使って搾ります。
ギュッと力を入れて絞ります。
結構な力を入れて絞ってます。
力一杯絞っても、このペースでしか絞れません。
結構な重労働ですよ。
まだ絞れそうですが、手が疲れたので、この辺にしておきます。
これが搾りかすです。
これだけ絞れました。
少しスプーンですくって味見してみましたが、めちゃくちゃ美味いです。
醤油というか、味噌というか、たまり醤油に似てます。
麹の香りが効いてます。
塩分と水分を足して味を調節するつもりでしたが、何も足さない事にします。
濾過
少し濁っているので、さらにこれを濾過します。
瓶にジョウゴを乗せて、コーヒーフィルターを乗せ、ここに注ぎます。
ポタポタとゆっくりゆっくり落ちていきます。
最初は1秒に1滴くらいのペースでした。
画像は、濾過開始から3時間経った頃ですが、この頃には10秒に1滴くらいのペースで落ちてました。
とにかくゆっくり時間をかけて濾過していきます。
結局丸1日かけて濾過できました。
澄み切った黒い白たまりが完成しました。
白たまりを味わう
では、完成した白たまりを味わってみます。
マグロの刺身
白たまりを柿形の醤油差しに入れて使う事にします。
そして、スーパーで買ってきたマグロの刺身に付けていただきます。
とても美味しいです。
ほんのり甘く、香りも良く、刺身醤油として素材の味を引き立ててくれます。
これは良い組み合わせです。
卵かけご飯
醤油を味わうなら卵かけご飯でしょう。
醤油じゃなくて白たまりですけど。
卵かけご飯にしてみると、香りは良いですが、甘味に少し違和感を覚えました。
この上に濃口醤油を追加すると私好みの味になりました。
とにかく香り良く甘めの白たまりです。
煮物に使っても美味しく出来るでしょう。
しかし、完成した白たまりは少量ですから、煮物だと一回で50mlとか使うから無くなってしまいますよ。
なんと贅沢な煮物になる事でしょうか。
私はチビチビと使っていこうと思います。
搾りカスの有効利用
搾りカスが残りました。
これ、味は白たまりそのものの味なので、美味しいです。
しかし、小麦のふすまがゴワゴワで食べられたもんじゃありません。
美味しい味だけを抽出する方法を考えたいと思います。
鍋にお湯を沸かして、出汁用の削り節を入れて、まず出汁を取ります。
ここに白たまりの搾りかすを大さじ山盛り5杯入れました。
沸騰させないように、しばらく置いて味を出します。
これをザルで濾します。
白たまりの風味が出た出汁ができました。
これで豆腐とわかめの味噌汁を作ります。
豆腐を入れて、味噌を溶かし、わかめを入れて、味噌汁の完成です。
白たまり由来の麹の風味が広がって、味噌汁のレベルが上がりました。
これは高級な味噌を使ったような味です。
搾りカスから美味しさだけ抽出するのに成功しました。
まとめ
- 白たまりは小麦100%の醤油。
- 白たまりは小麦麹を塩水に漬けて2〜3ヶ月熟成発酵させて作る。
- 今回の白たまりは甜麺醤を作るつもりで仕込んだ。
- 搾るのは力仕事。
- 搾った後に濾過もしたほうが良い。
- マグロの刺身によく合う。
- TKGには甘く感じた
- 搾りカスを煮て美味しさだけを取り出して使うと良い
動画で説明
動画では私が出演して熱く語っています。
動画でしかお伝えできない部分もあるので、併せてご覧ください。