ウクレレのブリッジとナットがはがれてしまいました。
原因は、このウクレレを、先日のキャンプ&海水浴に持って行き、炎天下の過酷な状況に置いたからで、明らかに私の過失なんですが、さあどうしましょう。
何故、大切な楽器をそんな過酷な状況に置くのだ!と怒られそうですが、私は以前から、砂浜で夕日を見ながら波の音を聞きながらウクレレを演奏するというのが夢だったのです。
あいにく曇りだったので夕日は見れませんでしたが、夜に海辺で焚き火を楽しみながらウクレレを弾く事が出来ました。
それはもう、心地良い時間でした。
そんな訳で夢を実現する事は出来たのですが…
その後がいけなかった。
ウクレレを弾いた翌日は炎天下でした。
もちろん楽器が直射日光に当たらないようにしましたが、砂浜の何所に置いても楽器にとっては過酷だったのでしょう。
こういうのは、よくある事みたいです。
車の中に楽器を置いておくと、夏の車内はサウナ並みの温度ですから、同じようにブリッジがはがれるという事例が他にも多く見受けられます。
楽器は、分解して修理や調整ができるように、熱を加えると取れる接着剤でくっ付けられているのです。
だから、再び接着すれば大丈夫です。
逆に、強力に接着されていると、楽器に無理な力が加わった場合にブリッジごと表板の表面を引き剥がして表板に傷が付くので、修理しても傷が残ります。
私の楽器はこのように剥がれています。
本体とブリッジの双方にボンドが残っているので、残っているボンドは取り除きます。
少しだけ表板が剥がれてますが、この程度なら全く問題ないでしょう。
ナットも外れましたが、これを接着するのは簡単でしょう。
とにかくブリッジもナットも再び接着すれば大丈夫なのです。
では修理してみよう
まずは、家にある木工用ボンドで接着しようかなと思いましたが、「いや、待てよ。」とブリッジの接着について調べてみました。
結論から言うと、楽器に木工用ボンドはお勧めできません。
木工用ボンドは接着力は強いですが、接着すると剥がすのが困難なのと、固まったら弾力を持つために、楽器の振動を吸収してしまい、音が悪くなります。
楽器の接着には膠(にかわ)又はタイトボンドを使います。
膠とは動物の皮や骨から作られる接着剤で、成分はタンパク質です。
膠の純度を高めたものが、食品のゼラチンです。
ゼラチンは、ゼリーやグミを固めるやつです。
膠は、ゼラチンが固まって接着されていると考えて差し支えないと思います。
なので、接着後も熱を加えたり、お湯で剥がす事ができます。
ウィキペディアによると、5000年以上前の古代から木工に利用されていたと考えられるとの事。
ギターやヴァイオリンの製作に使われています。
もちろんウクレレにも。
一方、タイトボンドは、膠の性質を持った科学的に作られたボンドです。
熱で剥がれますが、お湯では剥がれないです。
私のウクレレは、おそらくタイトボンドで接着してあったと思われます。
そして膠を買ってきました
私は伝統的な素材の方が好きなので、タイトボンドではなく膠を買いました。
膠は何所に売っているかと言うと、画材屋に売っています。
私は画箋堂というお店で買いました。
100g入りで340円(税別)でした。
私にはよく分からないのですが、日本画の画材としても膠が使われているのです。
膠を溶かし接着剤にする
分量をしっかり量ってませんが、小さじ1杯分くらいの膠をココットに入れました。
水を入れます。
水の量も量ってませんが30mlくらいじゃないでしょうか。
これを60℃の湯煎で溶かします。
溶けました。
スプーンの先にはまだ溶けていない固まりがありますが、溶けている部分だけを使うので、これでいいです。
これが接着剤となります。
膠で接着する
溶かした膠を指に付け、ウクレレ本体とブリッジの両方に付け、接着しました。
乾くまで分厚い本を乗せてブリッジを固定しておきます。
接着してから1日経過
本を乗せたまま1日置きました。
しっかりと接着されているようなので、これで弦を張れば、めでたく弾く事が出来ます。
弦を張り、チューニングを合わせて、試しに弾いてみると、ちゃんと音が鳴りました。
やったー!
弦を張った張力と弾いたときの衝撃で、当然ブリッジに力がかかります。
また剥がれないか心配になります。
そんな事を思った矢先…
バリッ!!
また剥がれた!
ちょっとショックでした。
きっと膠の濃度が薄かったのでしょう。
もう一度同じ要領で、今度は膠の濃度を少し濃くして接着する事にします。
再度接着
ちゃんと量ってませんが、膠5gに対して水20mlくらいの割合で溶かし、接着して、本を乗せて1日置きました。
そして弦を張りました。
またブリッジが剥がれるのが怖いので、弦の張力を弱めるために、とりあえず半音下げてチューニングしました。
しかしこれでは、屁みたいな音しか出ません。
ちゃんと張ってないから張りのない音なのです。
こんなので弾いても面白くない。
恐る恐るですが、まともにチューニングしましたが、結局、大丈夫でした。
これで修理は完了です。
修理と同時に弦も交換したのですが、この楽器を買ってから15年経ちますが、初めての弦交換でした。
弦を交換した影響だと思うのですが、見違えるほど音が良くなりました。
また、このウクレレは安物なのですが、弾いているうちに良く鳴るようになってきました。
安いながらも良い音が鳴ります。
15年の間に乾燥が上手く進んだのかもしれません。
本体はマホガニーの合板だと思います。
ブリッジはおそらくローズウッド。
ブリッジを接着しているのは膠。
ナットは牛骨。
楽器を構成する素材はまともです。
マーティン製と見まがう程ですね。
多少音程が悪いのが気になりますが、ウクレレという楽器自体がその構造上の特徴ゆえに音程が悪いのであまり気にしないようにしてます。
それでもやはり気になります。
完璧な音程のウクレレなどありませんが、もう少し音程の良いウクレレが欲しくなってきました。
7歳の娘が「サンタさんに頼めばいいよ。」とアドバイスしてくれたのですが、余程良い子にしておかないと無理でしょう。
いや、大人にはサンタさん来てくれません。
だから、しばらくは、この楽器を良い状態に調整しながら使い続けようと思っています。
ただし、お金持ちになったら高い楽器を買いますよ。
とにかく楽器が直ってめでたしめでたしです。
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