パン系

失敗例から学ぶ(天然酵母パンその4)

2024年8月28日

あまり膨らまなかった天然酵母パン

失敗例から学ぶ(天然酵母パンその4)

天然酵母パンの作り方第4弾です
第1弾から第3弾までは天然酵母パンがちゃんと焼けた例だけを紹介しました。
天然酵母パンというのは、いつも上手焼けるとは限りません。
失敗する事もありますよ。

今回は

なぜ失敗するのか?
どこで成功失敗の判断をするのか?

というあまり触れられなかった部分に焦点を当ててみようと思います。
これを知る事で成功率が格段に上がる事でしょう。

天然酵母パンの焼き方を全5回にてご説明します。

1.酵母液の作り方 
2.元種法での焼き方
3.ストレート法での焼き方
4.失敗例から学ぶ ←当記事
5.パンが膨らまなかった時のリカバリー法

これらを全て読めば天然酵母パンマイスターになれますよ。

【目次】
1.なぜ失敗するのか?どこで成功失敗の判断をするのか?を検証するために失敗例の天然酵母パンを焼く
2.(失敗例)元種を仕込む
2ー1.【失敗例】強力粉と酵母液を混ぜる=1回目
2ー1ー1.倍にふくらむまで置く
2ー1ー2.成功例
2ー2.【失敗例】強力粉と水を混ぜる=2回目
2ー2ー1.倍にふくらむまで置く
2ー2ー2.成功例
2ー3.【失敗例】強力粉と水を混ぜる=3回目
2ー3ー1.倍にふくらむまで置く
2ー3ー2.成功例
3.何故元種作りを失敗したのかを考える
4.どこで成功失敗の判断をするか【重要!】
5.失敗例のパンを焼く
5ー1.こね
5ー2.HBで4時間経過
5ー3.1次発酵(8時間後)
5ー4.成型
5ー5.2次発酵
5ー6.焼成
5ー7.あまり膨らまなかったパンを試食
6.まとめ
7.動画で説明

なぜ失敗するのか?どこで成功失敗の判断をするのか?を検証するために失敗例の天然酵母パンを焼く

失敗したリンゴ酵母液

このあまり元気でないリンゴ酵母液を使って元種法でパンを焼いてみます。
この酵母液は、あまり元気でないから酵母液としても失敗でした。
これを使って焼いたパンは、当然ですが、あまり膨らみませんでした。

要するに失敗です。

良い失敗例のサンプルとなりました。
これと成功例を比較しながら、なぜ失敗するのか、どこで成功失敗の判断をするのかという事について説明していきます。

(失敗例)元種を仕込む

天然酵母パン元種の作り方

・強力粉と酵母液を混ぜる(1回目)
・倍にふくらむまで置く。
・強力粉と水を混ぜる(2回目)
・倍にふくらむまで置く。
・強力粉と水を混ぜる(3回目)
・倍にふくらむまで置く。

これが元種の仕込み方です。
元種の仕込み方について詳しくは 元種方での焼き方(天然酵母パンその2)をお読みください。

【失敗例】強力粉と酵母液を混ぜる=1回目


まずは、地粉と酵母液を混ぜました。
地粉は中力粉ですから、強力粉に比べて膨らみが悪くなります。
イーストを使うなら発酵力が強いので地粉でパンを焼いても問題ありません。
天然酵母パンの場合はイーストに比べて発酵力が弱いので、地粉でなく強力粉を使ったほうがいいです。


蓋を閉めて倍に膨らむまで置いておきます。

倍にふくらむまで置く

1日置きました。
画像のように、1日置いて少しは膨らみましたが、もっと膨らんで欲しいところです。


この1日(24時間)の気温の変化です。
最高気温が20℃未満です。

これは4月下旬だったのですが、この時期にしては気温が低い方です。
この気温だったら膨らむまで24時間以上かかってもおかしくありません。
あと数時間置いてたら膨らんだかもしれません。

しかし、この時は、酵母液自体の発酵力が弱い事を疑いました。
いや、実際に弱かったですけどね。

成功例


31時間かけて倍以上に膨らんでます。
これは少し膨らみすぎですけどね。


この31時間の気温の変化です。
後半はグッと気温が上がり30℃を超えてますから、気温が高くて、過発酵気味です。

あまり発酵が進みすぎると酸味が出てくるので注意が必要です。
それでも膨らんでないよりマシです。

だから成功例として採り上げました。

【失敗例】強力粉と水を混ぜる=2回目


さて、失敗例です。

地粉と、水ではなく酵母液を加えて混ぜます。
水よりも酵母液を混ぜたほうがよく膨らむからです。
あまり変わりませんけどね。

繰り返しになりますが、地粉はあまり膨らまないので強力粉を使った方がいいです。

倍にふくらむまで置く


発酵が進んでません。
全く膨らんでません。


最高気温が20℃にも満たなかったから、温度が低いです。

もっと時間をかけたら膨らむかもしれませんが、いや、ほとんど膨らむ事はないと思います。
この時点で膨らんでなかったら、もう失敗を疑った方がいいです。

てかもうダメです。

成功例


成功例はたった8時間でこんなに膨らんでます。
輪ゴムをはめて膨らむ前の高さを記録してあるので、わかりやすいですね。

気温の変化のグラフ

気温はこうなってます。
30℃を超えてすでに5時間経った時点で十分に膨らんでたので、そこから冷蔵庫に入れたので、急に気温が下がってます。

だから実質5時間で倍までふくらんだのです。

すぐに手をつけられない時などは、そのまま放置すると発酵が進みすぎてしまいます。
冷蔵庫に入れておくと発酵がほぼストップするので時間稼ぎをすることができますよ。

さて、失敗例の元種はダメっぱいですが、失敗例の実験のためにこのまま進めます。

【失敗例】強力粉と水を混ぜる=3回目


ここに地粉と水じゃなくて酵母液を入れて混ぜました。

倍にふくらむまで置く


また1日経って、このようになりました。
全く膨らんでませんね。

成功例


成功するとこのように膨らみますよ。

何故元種作りを失敗したのか!?

そもそも使った酵母液がダメじゃなかった?

その通り!
もっと発酵力の強い酵母液を使う。それに尽きます。
炭酸の気泡がシュワシュワ発砲するような元気な酵母液がいいです。

使った粉が中力粉だったのがいけなかった?

中力粉はパンを焼いた時にあまり膨らまないので、パンをふんわり膨らませるには強力粉を使うべきです。
しかし元種が発酵しなかった事とは別問題です。

もっと発酵時間を長くすれば膨らんだのでは?

1回目でもっと発酵時間が長ければ膨らんだかもしれないという疑いは確かにありました。
もし、時間をかければ膨らんだとしたら、潜在的な発酵力を秘めてた事になります。
潜在的な発酵力があった場合、2回目でその潜在能力が必ず出てきます。
それが出てこないということは、潜在能力が無かったと言う事です。

どこで成功失敗の判断をするか【重要!】

2回目を混ぜて全く膨らまなかったらダメです。

ここで最終判断できます。

1回目で膨らまなかった場合は、もっと時間をかけたら膨らむかもしれない。
潜在的ななパワーがあるかもしれないと、まだ考えられる。

1回目で潜在的なパワーが残ってた場合は、2回目で必ず膨らみます。
2回目でも膨らまなかった場合は、潜在的なパワーもないという事です。

だから2回目を混ぜて全く膨らまなかったらダメと判断できます。


これが失敗例の元種です。
とろーっとした状態になりました。
見た感じだけでは、失敗例には見えません。

これでパンを焼いたらどうなるのでしょうか?
逆に興味ありませんか?
という事で、これでパンを焼きましょう。

失敗例のパンを焼く

【失敗例の天然酵母パンの材料】(1斤分)
元種 150g
水 80ml
地粉 250g
砂糖 10g
塩 3g
ラード 10g

何度も言いますが、地粉では膨らみが弱いので強力粉を使った方がいいです。

こね


ホームベーカリーの容器に全ての材料を入れます。


天然酵母パン生地コースをセットしました。

天然酵母パン生地コースというのはホシノ天然酵母を使って4時間でコネから1次発酵まで完了するコースです。
ホシノ天然酵母は天然酵母界の超エリートですから、4時間で1次発酵まで済みます。
自家製の天然酵母は、上手くいけば4時間で1次発酵まで済む場合もあります。
大抵の場合はもっと時間がかかります。

HBで4時間経過


まだ全くパン生地らしくなってません。
まだ、こねただけの小麦粉って感じです。


生地を丸めてボウルに入れ、ラップをして常温で放置します。

1次発酵(8時間後)


常温で8時間放置しました。

発酵前に比べて膨らんでます。

発酵後は膨らんではいるのですが、生地がダレてます。
もうちょっと重力をもろともせずに上へ膨らんでるほうが酵母が元気だと言えるでしょう。

こういった特徴を見ても発酵力の弱さがわかります。
元種が全く膨らんでなかったのに、ここまで膨らんだというのは頑張った方だと思います。


この8時間の気温は、20℃から25℃の範囲で推移してます。

成型


6等分に丸め、オーブン天板に並べました。

2次発酵


40℃のオーブンで2時間発酵させました。

少し膨らみましたが、あまり膨らんでません。

2次発酵前と後で比較してみましょう。
膨らむと言うよりは、生地がダレて広がったって感じです。
生地がダレたら、もうこれ以上膨らむことは期待できません。

これは流石に発酵力の弱さを見せつけてくれました。

焼成


170℃のオーブンで15分焼きました。

焼いても焼く前と比べてあまり膨らんでません。
焼いたら少しは膨らんでほしいのですが…

あまり膨らまなかったパンを試食


シンプルな丸いパンに見えます。


変な割れ目ができてます。


指先にちょっと力を入れなければパンを割ることができないレベルです。

ビスケットやスコーンに似た固さです。

口の中で唾液が吸い取られてパサパサになります。
そんなに噛まなくても細かくなりますが、口の中の唾液量が回復するまで飲み込めないので、結果よく噛んで食べる事になります。

と言うわけで食べるのに時間がかかります。

そうやって時間をかけて飲み込むと、天然酵母パンと同じ味がします。
そりゃそうだ。

りんご由来の天然酵母の風味も感じられます。

やはり、ふんわり柔らかいパンの方が美味しいと当たり前の事も言っておきます。
ハード系のパンとは違う意味の固さ、本物の固さがこのパンにはあります。

しかし、固いとは言っても、これはパンです。

過去に、ホームベーカリーでイーストを入れ忘れてパンを焼いた事が何度かあります。
天然酵母じゃなくてイーストで膨らませるのにイーストを入れ忘れたという事です。

当然全く膨らんでないものが焼き上がります。
あれは小麦で作った餅みたいな塊です。
美味しくないですよー。

でも捨てるわけにもいかないから、食べましたよ。

あれに比べると、ちゃんとパンでしたよ。

パンはパンでも、やっぱりふんわりと焼きたいですよね。
だから、膨らまなかった時に、リカバリーして膨らませる方法をご紹介します。
ちょっと邪道かもしれませんけど、膨らまないパンを焼くよりもマシです。
次回はリカバリー法をご紹介します。

天然酵母パンの焼き方を全5回にてご説明します。

1.酵母液の作り方 
2.元種法での焼き方
3.ストレート法での焼き方
4.失敗例から学ぶ ←当記事
5.パンが膨らまなかった時のリカバリー法

まとめ

  • 天然酵母パンは中力粉でなく強力粉を使った方が良い。
  • 元種の発酵が進みすぎると酸味が出てくるので注意が必要。
  • 当然だが発酵力の強い酵母液を使う。
  • 元種の2回目を混ぜて全く膨らまなかったらダメ。
  • 失敗したパンでもパンにはなっていた。

動画で説明

動画では私が実演しております。
動画でしか表現できない事もあるので、併せてご覧ください。

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このブログを書いてる人

オトコ中村
京都在住 40代 料理を通じて皆が健康で幸せになればいいなと思っている。
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