これは、2015年の1月に仕込んだ仙台味噌です。
これを仕込んだ時の様子は 仙台味噌・西京味噌を仕込む (2015年手前味噌 その2) をご覧ください。
大豆 1500g
米麴 750g
塩 600g
この分量で完成量は約5kgです。
1年熟成させた時点(2016年1月)で、約3kg取り出して食べました。
その時の様子は 仙台味噌と八丁味噌を合わせて赤だしを作る をご覧ください。
残りを、さらに1年半熟成させました。
正確に言うと、放置してました。
2年半熟成させた仙台味噌の様子を見てみる
蓋を開けてみます。
味噌の表面にラップがピターッと貼られています。
そして、カビは全く生えていません。
カビ対策が有効だったみたいです。
私は、以前から味噌のカビ対策について色々と意見してました。
カビの発生を抑えるために、よく味噌の表面に塩をまいてからその上にラップをするという方法が採られていますが、あれは表面の塩のせいでラップが密着せずに、隙間から空気が出入りしてそこからカビが生えるからダメだと主張していました。
カビの発生を防止する正しい方法は、塩をまかずにラップをピタッと貼る事によって、空気の出入りを封じ込めるのが有効であると主張してました。
その後、何年もかけてその事を検証しました。
味噌表面のラップの貼り方についての検証結果
一応、私の主張は正しくなかったのですが、無条件に間違いでは無かったです。
味噌を仕込んだ初期は、味噌からガスが発生するので、たとえ表面のラップが完璧に密着していたとしても、味噌内部のガスが抜ける事によってラップに隙間が生じてしまいます。
よって、その隙間からカビが発生します。
塩をまいていたら、ラップが密着していないので隙間からカビが生えます。
味噌を仕込んだ初期は、どのようにラップを貼ってもカビが生えるという事です。
初期のガス発生期を過ぎた味噌なら、ピタッとラップを密着させる事によって、カビの発生を抑える事が出来ます。
今回の仙台味噌は、1年熟成させてガス発生期を過ぎた時点で混ぜてラップを密着させたので、その後1年半もの間カビの発生を抑えられたのだと思います。
何度か同じような実験結果を得た中で、そのように感じました。
現時点での結論
カビの発生を抑えるには、仕込み初期は、こまめに天地返しをする事が有効じゃないでしょうか。
一夏を越した味噌なら、ガス発生期を過ぎているので、ラップを密着させる事でカビの発生を抑える事ができます。
以上は、ラップを使った場合に限定した話です。
ラップを貼る以外に、もっと有効な方法があると思うのですが、まだ模索中です。
ラップをはがしました。
カビが生えてないので、全く捨てるところはありません。
2リットルの容器に移し替えました。
濃い色になってます。
そして、凄い味噌の匂いです。
この匂いを何と例えたらいいのでしょうか?
とにかく強い味噌の匂いです。
今後は冷蔵庫で保管しながら使っていきます。
豆腐とわかめの味噌汁を作りました。
うまいな~。
実にうまい。
この仙台味噌は、1年熟成させた時点でも旨味たっぷりで十分に美味しかったです。
普通の味噌より塩分濃度が高めなので、味噌の分量が多いと塩辛く感じました。
しかし、味噌の量が多いと塩辛く感じるなんて当たり前の事ですよね。
当たり前の事なんですが、それが、この2年半熟成となると、当たり前じゃないのです。
どのような化学変化を起こしたのか分かりませんが、まろやかで塩辛さを感じません。
まろやかで旨味の質も高まり、塩分濃度が高いのに塩辛くないのです。
これは発酵による不思議な変化ですね。
発酵食品の奥深さを感じさせる逸品に仕上がりました。
長期熟成は想像を超える変化があります。
今回の塩分濃度が高いのに塩辛くないという結果は、私の知的好奇心を大いにくすぐる結果となりました。
手前味噌作りは、回を重ねるごとに大量仕込みで、なおかつ長期熟成へとエスカレートしていますが、この流れはまだまだ続きそうです。