甜麺醤(テンメンジャン)を中国古来の小麦粉を発酵させる方法で作る
甜麺醤(テンメンジャン)は、中国の調味料で、小麦粉を発酵させて作る甘い味噌ですが、日本では八丁味噌に砂糖を加えて作られるという事は、前回の記事 甜麺醤(テンメンジャン)を作り、それで料理も作る にて説明しました。
小麦粉から甜麺醤を作る方法を調べても見つからなかったので自分なりの方法で作ってみました。
【2022年9月12日注】
何年も調べた結果、本当の作り方を知りました。
本物の甜麺醤の作り方は↓こちら↓をご覧ください。
【目次】
1.小麦粉から甜麺醤を作る方法を調べる
2.中国古来の小麦粉から作る甜麺醤を手探りでやってみる
3.1年経過
4.超本格的な回鍋肉(ホイコーロー)
5.超本格的な、なんちゃって北京ダック
6.まとめ
小麦粉から甜麺醤を作る方法を調べる
日本の甜麺醤については前回の記事で説明しましたが、さて中国の小麦粉から作られた甜麺醤とはどんな物なのでしょうか。
もし売っているなら、試しに買ってみようと思い、そこら辺のスーパーなどで探してみると…
中華調味料の大手であるユウキ食品の甜麺醤は、味噌が主原料でした。
味噌は大豆から作られてますから、主原料が味噌という事は、大豆が主原料であるという事です。
また、S&Bの甜麺醤も味噌が主原料。
また、味の素Cook Doの甜麺醤も味噌が主原料でした。
日本で作られている甜麺醤は、大豆が主原料の物ばかりでした。
しかし日本では、それが当然かもしれないですね。
次にアマゾンや楽天で、輸入品の甜麺醤を探してみました。
時間をかけてじっくり探しました。
が…
しかし…
全て大豆が主原料でした。
私が調べた範囲では、すべてがそうでした。
さて、輸入品も大豆が主原料となると、小麦粉で作られた甜麺醤は、もう幻ですね。
売ってないのならば、仕方がない。
じゃあ、自分で幻の甜麺醤を作ってみようじゃありませんか。
こういったテーマは、モチベーション上がりますよ。
しかし、私が真剣に取り組んでいても、家族には何を作っているのか、なかなか理解してもらえないです。
「パパがまた何か作ってるわ。」 てな具合に。
まず、作り方を調べます。
ウェブで調べても、 「小麦粉に塩と麹菌を加え発酵させて作る」 という程度の極めて簡単な説明しか見つかりませんでした。
ウェブでは、なかなか深い情報にたどり着くのは難しいですから、そういう時は、書店や図書館で調べます。
分厚い中華料理の専門書を何冊か調べてみましたが、どの本も甜麺醤についての説明は、1行か2行くらいしか書かれていません。
ウェブで調べたのと同じ 「小麦粉に塩と麹菌を加え発酵させて作る」 「日本では味噌を原料に作る」 という程度しか書かれてません。
日本ではこれ以上の情報を得るのは難しいのか…
こうなったら中国に渡って調べるしかないか…
いや、そこまでしませんよ(笑)
そう思っただけですよ。
情報は少ないですが、小麦粉に塩と麹菌を加え発酵させて作るという事が分かっているのだから、そのように作ってみようではありませんか。
小麦粉に直接麹菌を植えつけるのは、一度も試した事が無いので、技術的に成功するかどうかが不安です。
確実に成功するように、大豆から味噌を作るのと同じ要領で、原料の大豆を小麦粉に替えて味噌を作ってみる事にします。
作る手順としましては、小麦粉に水と熱を加え練ったものに塩と米麹を加えて熟成させます。
きっとそれらしいものが出来るでしょう。
手探りでやってみる事にします。
中国古来の小麦粉から作る甜麺醤を手探りでやってみる
<材料>
小麦粉 100g
熱湯 120g
米麹 130g
塩 40g
小麦粉に熱湯を加えて練り、30度以下まで冷ます。
塩・米麹を加え混ぜる。
手を使って混ぜました。
適当な容器に隙間ができないように詰める。
ラップをピタッと貼り付けて、空気に触れないようにする。
味噌作りと同じ要領です。
このまま熟成させます。
う~む、容器の中に隙間があるのが気になるなぁ。
一回り小さい容器に入れ替えよう。
これで隙間無くピッタリになりました。
さて、これを1年間熟成発酵させようと思います。
1年経過
これが小麦粉を1年熟成発酵させた甜麺醤(テンメンジャン)です。
色は、市販の甜麺醤のように黒くありません。
香りは、大豆から作った味噌とそっくりで、あるいは金山時味噌の香りにも似ています。
そして麹の香りがポワーンとします。
味は、これまた大豆から作った味噌とそっくりですが、甘いです。
市販の甜麺醤と大豆味噌の中間のような味でしょうか。
また、味噌に砂糖などを調合した味噌だれのような味とも言えます。
それから、大豆味噌に比べて食物繊維が少ないためか、口溶けが良いです。
まあ、とにかく美味しい事は間違いないです!
美味しくて良かった。
1年かけて作った甲斐がありました。
果たして、これが本物の甜麺醤なのかどうかは、歴史の謎なので分からないですが、これを本物と信じて話を進めていきます。
いずれにせよ、これは美味しい調味料ですよ。
せっかく本物の甜麺醤が完成したのだから、これを使って本格的な中華料理を作ってみましょう。
超本格的な回鍋肉(ホイコーロー)
回鍋肉の「回」は戻るという意味です。
鍋で肉を茹でて、それを再び鍋に戻して炒める事から回鍋肉という料理名になったのです。
せっかく本物の甜麺醤で作るのだから、本物の作り方で作ります。
超本格的な回鍋肉
<材料 4人前>
キャベツ 200gくらい
ねぎ 1本
ピーマン 2個
豚ばら肉塊 150gくらい
ニンニクスライス 1かけ分
甜麺醤 大さじ2
醤油 小さじ2
豆板醤 小さじ1
老酒(無ければ日本酒) 大さじ1
豚ばら肉を15分間茹でます。
茹でている間に野菜を適当な大きさに切っておきます。
調味料を合わせておきます。
15分間茹でた豚ばら肉をスライスします。
フライパンで豚ばら肉を中火で香ばしくなるまで焼く。
弱火にしてニンニクを入れて香りを出す。
野菜を入れて強火で炒める。←ここからは手早く。
野菜が少ししんなりしたら調味料を加え、フライパンを振って混ぜる。
最後に味見をします。
フライパンの底の汁をサッと指でさらって舐めてみます。
指は熱いですが、一瞬ならどうって事ありません。
怖かったらスプーンを使うとか、箸で一つまみ食べるとか、何でも良いから味見します。
甘さが勝っていたら醤油や豆板醤(分量外)を追加します。
塩辛さが勝っていたら甜麺醤(分量外)を追加します。
いずれも素早く行います。
中華炒めは、ここぞという時の素早さが大切なので、迷わずテキパキと行いましょう。
そして味が調ったら完成です。
超本格的な回鍋肉(ホイコーロー)
めちゃくちゃウマイです!
発酵によるポワーンとする香りが美味しさを引き立てます。
甜麺醤を1年かけて作った甲斐がありました。
家族にも好評で、瞬く間に食べ尽くされてしまいました。
超本格的な、なんちゃって北京ダック
北京ダックを鶏もも肉で代用して作るので、なんちゃって北京ダックです。
けど、それを超本格的に、小麦粉を練って薄く焼いた荷叶餅(ホーイエピン)で包んで、本物の甜麺醤を付けて食べます。
ホーイエとは、蓮の葉の事で、ピンとは小麦粉を練って丸く平たく整形したものの事です。
要するにホーイエピンとは小麦粉を練って薄い円形に焼いたものの事です。
なんちゃって北京ダックは、鶏もも肉に塩コショウで味付けして、皮がパリッとなるようにフライパンで焼きます。
別名、鶏のソテーとも言います。
次に、荷叶餅(ホーイエピン)を焼きます。
ホーイエピンを焼くのは、初の試みだったので、上手に焼けるかどうか自信がありませんでした。
そのため小麦粉を練って伸ばす過程を撮影してませんでした。
作り方は、小麦粉を熱湯で練った生地を、1枚分ずつに切り分けて、2枚分の生地(2個の生地)の片方に油を塗って、2枚分を重ねてめん棒で伸ばします。
2枚分が重なったまま伸ばされて、2枚が重なったまま焼いて、焼けたら2枚をはがします。
本当に上手くはがれるか、という部分が、ちょっと心配です。
フライパンを熱し、油をひかずに焼きます。
焼いているのは1枚に見えますが、2枚の生地が重なっているのです。
30秒くらいでひっくり返し、さらに30秒くらい焼けばOKです。
これを取り出して、熱いうちに2枚をはがします。
簡単にはがれました。
ちょっと拍子抜けでしたが、ホッとしました。
2枚分を一度に伸ばして焼く事が出来るなんて、合理的な方法ですね。
焼きあがったホーイエピンの焼き目を外にして折りたたんで盛り付けます。
なんちゃって北京ダックは細く切ります。
それと白髪ねぎを用意しておきます。
ホーイエピンに、なんちゃって北京ダックと白髪ねぎを乗せ、甜麺醤を付け、包んでいただきます。
超本格的です。
超本格的ですが…
味は…
味は普通でした。
いや、美味しいのですが、鶏肉だと普通の食材なので、非日常感があまり出ません。
家族の反応も、普通の料理を食べているという感じでした。
まとめ
回鍋肉と北京ダック以外にも、茹でた野菜に甜麺醤を付けて食べるというシンプルな料理が美味しかったです。
手の込んだ料理をしなくても美味しいのです。
甜麺醤は、わざわざ1年かけて発酵させただけの価値がある逸品でした。
専門的な本に甜麺醤は小麦粉を発酵させて作ると書いてあるのに、そんな甜麺醤がどこにも売っていないという「謎」に関しては、引き続き調査を続けたいと思います。