夏が近づいて来ました。
春と違い、夜もあまり気温が下がらなくなり、煮物などを、鍋のまま常温で放置しておいたら危険ですね~。
食品の取り扱いには十分にご注意ください。
という訳で、なれずしに挑戦
食品の取り扱いには注意が必要ですが、逆に発酵食品は、夏に発酵が進むのです。
発酵食品も一歩間違えば、腐敗食品となってしまいますが、発酵食品は、たいてい塩を使ったりして腐敗を防いでますので、そう簡単に失敗することは無いですよ。
食品を発酵させる酵母菌や乳酸菌は、塩分に強いのです。
また、乳酸菌が出す乳酸によって他の微生物が活動できなくなるのです。
健康のためにと思って、塩分を控えたりすると、腐る確立がグンと上がります。
塩分を多く摂取するリスクと、食品を腐らせるリスク、どちらを採るかですね。
少なくとも、発酵食品に関しては、塩分を気にしなくても良いと思います。
さて、なれずしと言えば、滋賀県の郷土料理である鮒寿司が有名です。
鮒寿司は、鮒を発酵させた食品で、乳酸発酵されて健康にとても良いそうです。
で、鮒寿司には子持ちの鮒を使うのですが、入手が困難で高価なので、私のような庶民は、季節に関係なく安く手に入る塩鯖を使って挑戦してみようと思います。
鮒寿司でなくても、和歌山県の郷土料理で、鯖のなれずしというものがあるんですよ。
熟成期間が1週間程度と短いので、私のような、なれずし初心者には向いているのではないでしょうか?
次に、骨を抜きます。
ちなみに、鮒寿司は、骨ごと丸ごと漬け込みますが、長期熟成によって骨まで柔らかくなります。
鯖のなれずしは、熟成が短く骨がそのまま残りますので、しっかりと骨を抜いておきます。
これで鯖の下ごしらえは終わりです。
1.5合の米を、ちょっと硬めに炊き、約2gの塩を混ぜました。
ハランで包みます。
このハラン、実は、家の庭に生えているのです。
庭のハランについては、 葉蘭 をご覧ください。
こういった生の葉で包むと、腐敗防止になります。
3%くらいの濃度の塩水を、ひたひたになるくらいまで注ぎます。
雑菌が入るのを防ぐためです。
鯖をこの季節に常温で1週間も置くなんて、ワクワクドキドキしますね。
1週間後に食べる事にします。
そして…
1週間経過しました。
どのようになっているでしょうか。
袋を開けて中を見てみます。
匂いは、別に臭くも何ともありません。
水が白く濁っていますが、この濁りは、きっと乳酸発酵した証だと思います。
これなら大丈夫でしょう。
包みを開きました。
見た目には普通ですね。
鯖の生臭さはあるものの、嫌な臭いではありません。
パクッ…
モグモグ…
大丈夫だ!!
と言うか、美味しいですよ。
ご飯や鯖に旨味と酸味が出て、味わい深くなってます。
そして、普通の鯖寿司とよく似てます。
普通の鯖寿司は、ご飯に酢を混ぜて、鯖を酢でしめてるので、酢による酸味がありますが、この熟れずしは、酢を使ってないのに酸味があります。
酢の酸味とは違い、発酵による熟れた酸味なので、初心者には苦手と感じるかもしれませんが、むしろ私にとっては発酵による愛すべき酸味。
熟れずし、これぞ寿司の原点です。
寿司の原点とは、遠い昔に食材を長持ちさせるために編み出された発酵食品なのです。
一説によると、縄文時代の末に、稲作と一緒に東南アジアから伝わったとされています。
発酵食品である熟れずしが日本に伝わり、時代を経ることによって、酢や昆布を使って酸味と旨味を出すという現代の寿司に変化していったのです。
熟れずしも素晴らしい発明ですが、酢飯と新鮮なネタを組み合わせるという現代の寿司も、また素晴らしい発明ですね。
これを知ってるのと知らないのとでは、寿司の味わい方も変わってきますね。
ところで、寿司の原点だと褒め称えた、この熟れずしですが、家族の反応はと言うと…
8歳の息子は、ほんの一つまみ食べただけでギブアップでした。
6歳の娘は、全く一口も食べませんでした。
妻は、恐る恐る一切れ食べました。
残りは全て、私が責任を取って食べました。
いくら美味しいからと言っても、もうたくさんです。
発酵食品ですから、好き嫌いが分かれますねぇ。
さて、今回の成功に気を良くして、もっと長期熟成の熟れずしにも挑戦してみたい気になってきました。
続編があるかもしれませんよ。
⭐︎2020年9月9日に続編が出ました↓