の続き
知人で発酵食品に詳しいYさんから教わった方法で、ブリーチーズ作りに挑戦しました。
その方法とは、市販のブリーチーズを種に作るのですが、市販のブリーチーズは加熱殺菌がされていて、大切な白カビが死滅しているために、上手くいきません。
そこでチーズ専門店買ってきた無殺菌のブリーチーズを種に使いましたが、それでも上手くいきませんでした。
私が苦戦しているのを知ったYさんが、こんなチーズをくれました。
これはイオンに売っているブリーチーズで、これを種に作れば大丈夫との事。
このチーズの白カビは強く、これを冷蔵庫で何日も置いておけば、切り口からも白カビがモクモクと生えてくるほどだそうです。
これは期待できる!
早速これを使って作ってみましょう。
イオンで売っているブリーチーズを種にして作る
牛乳 900ml
ブリーチーズ 15g
塩 4g
今回も絶対に成功させるために低温殺菌牛乳を使いました。
低温殺菌でなく高温殺菌だと、牛乳のタンパク質が変質していてチーズが上手く作れない場合があるのです。
今回の作り方は、低温殺菌牛乳でなくても大丈夫だとは思いますが、こちらの方が確実なのです。
何しろ、過去に一度も白カビタイプのチーズを成功させた事がありませんから、慎重にならざるを得ません。
まずヨーグルトを作る
牛乳とブリーチーズを撹拌したものを土鍋に入れて弱火でゆっくりと35℃まで温めます。
白カビの耐熱温度はよく分かりませんが、35℃以下なら死滅することは無いでしょう。
温度管理も慎重にやります。
上記のレシピにある牛乳900mlという中途半端な分量は、土鍋に入りきる限界の量が900mlだったためです。
蓋をして丸1日放置しておきます。
季節は10月中旬の京都です。
最高気温は25℃くらい、最低気温は15℃くらいです。
このくらいの気候なら、35℃まで温めた牛乳を1日放置しておけば、固まってヨーグルトになります。
夏ならば一晩で固まりますし、冬なら丸2日か3日か、それ以上置いておけば固まります。
固まるかどうか不安なら、土鍋でなくヨーグルトメーカーを使えば確実ですよ。
この商品は牛乳パックのまま機械に放り込んでヨーグルトにする事ができます。
1日経過
固まりました。
ヨーグルトの水を切る
ザルにキッチンペーパーを敷いて、ヨーグルトをぶちまけます。
埃が入らないよう適当に蓋をして、常温で置いておきます。
水切り開始から24時間経過
水きりヨーグルトが完成。
お!?
もうすでに白カビが生えている!!
早っ!!
今まで何回もチーズ作りに挑戦してきましたが、チーズに白カビが生えたのは初めてです。
本当にこの白カビは強いですね。
ちょっと感動です。
お皿にひっくり返してキッチンペーパーを剥がしました。
キッチンペーパーの外側にはポツポツと白カビが生えてましたが、剥がした内側は、まだ何も生えてません。
この上に塩をパラパラとかけて、ラップをかけずに冷蔵庫に入れ、余分な水分を飛ばしながら熟成させます。
水切りに使ったキッチンペーパーは
用が済んだので捨てようかと思いましたが…
ちょっと待て。
これには、繁殖力の強い白カビが付いています。
前回紹介した、本物のブリー・ド・モーを種に使ったけど、白カビの生えてこなかったチーズです。
白カビの付いたキッチンペーパーをかぶせて、移植させます。
さて、どうなるでしょう?
熟成開始から3日経過
少し余分な水分が飛んだようですが、特に大きな変化はありません。
冷蔵庫の中だとカビの進行もゆっくりになるのでしょう。
もう一方のチーズは?
キッチンペーパーの水分が飛んでカラカラになりました。
とくに白カビが移ったような形跡は見られません。
けど、見た目には変化はありませんが、確実に移植されたと思います。
このチーズの余分な水分は完全に飛んでるので、これ以上乾燥させないようにラップをかけて、冷蔵庫で熟成させます。
白カビの繁殖には、冷蔵庫内の乾燥した環境よりも、湿度の高いジメジメした環境が良いのです。
ラップをピタッと被せる方がカビの繁殖には理想的なはずです。
熟成開始から4日経過
順調に白いカビに覆われてきました。
このままもっと熟成させます。
水分がある程度飛んだので、これからは蓋をして熟成させます。
熟成開始から8日経過
さらに、ふわふわモコモコになりました。
角度を変えて撮影。
ふわふわモコモコ感が伝わりますでしょうか?
もう一方のチーズは?
変化なしです。
順調に育っているチーズから白カビちょっとだけ拝借して真ん中に乗せました。
熟成開始から14日経過
さらにふわふわモコモコになりました。
まだ育つかっ!?
って思いました。
もちろん育ってくれるのは嬉しいのですが、表面上のカビの生長よりも、チーズ内部の熟成の進み具合が気になるところです。
熟成はチーズの外側から内側に進むのですが、内部がどのようになっているかは、切ってみるまで分かりません。
もう一方のチーズは?
お!?
周りの部分に白カビが育ってきたように見えます。
角度を変えて撮影。
いいぞ。
白カビ頑張れー!
熟成開始から17日経過
見た目には、特に変化が無いようです。
2週間以上熟成させたので、これで完成という事にします。
完成したチーズを試食
ブリーチーズを種に作りましたが、これはどう見てもカマンベールチーズですね。
ブリーチーズもカマンベールチーズも、ペニシリウム・カメンベルティという同じ白カビを使っていて、両者の違いと言えば大きさぐらいのものだという事は前にも言いました。
なので、これは自家製カマンベールチーズと呼ぶことにします。
さて、チーズ内部の熟成度合いは切ってみないと分かりません。
切って、内部を見ましたが、見ただけでは熟成度合いは分かりませんでした。
食べてみないと分からないですね。
匂いは、ちゃんと白カビ系チーズの匂いがしてます。
このチーズを食べるために、赤ワインを買ってきました。
フロンテラというチリワインです。
これは1000円未満で買えるワインとしては、なかなか優れもので、もちろん白カビタイプのチーズと相性抜群です。
では、いただきます。
パクッ…
モグモグ…
ん…?
んん…?
トレビア~ン♪
美味しいです。
ちゃんと白カビ系チーズになってます。
このようなチーズを手作りできた事に感動で、それだけで嬉しいです。
ニヤニヤしてしまいます。
しばらくの間はワインを飲みながら喜びに浸りました。
祝杯みたいなものですね。
それから、冷静に味の分析をすると、チーズの熟成は少し若いです。
もう少し熟成させるともっと美味しくなると思います。
それから、チーズ表面の層と中身の食感が全く違います。
表面の層は、コンニャクとナタデココの中間のような弾力を少し柔らかくしたような食感で、中身はクリームチーズのように柔らかくねっとりとして、口の中で溶けていきます。
そして、口の中に熟成味が広がり、赤ワインが進みます。
という訳で、実験は成功でした。
今後はもっと完成度の高いものを目指していきます。
最初に市販のブリーリーズを種に仕込んだチーズは?
これは、最初にチェスコのブリーチーズを種に作ったやつです。
白カビが生える事なく、冷蔵庫で乾燥が進んだので、ハードタイプのチーズとして半年以上熟成させます。
この方法は、 自家製の6ヶ月熟成チーズが美味しくできました(またチーズその5) で紹介した事があるように、すでに実験済みの方法なので、もう安心して経過を見守る事ができます。
もう一方のチーズは?
順調に白カビが殖えてきましたが…
ちょっと青カビも発生。
こりゃいかん。
これはきっと好ましくない青カビだと思います。
青カビを取り除いて、また熟成を続けます。
白カビが強いから、そのうち全体に白カビが広がって、青カビは駆逐されるでしょう。
と、楽観視してますが、どうなる事でしょう?
また報告しますね。