ストレート法での焼き方(天然酵母パンその3)
天然酵母パンの作り方第3弾です。
ストレート法と言って酵母液をそのまま使ってパン生地をこねて焼く方法です。
今回は、ストレート法で2種類の天然酵母パンを焼いてみます。
天然酵母パンの焼き方を全5回にてご説明します。
1.酵母液の作り方
2.元種法での焼き方
3.ストレート法での焼き方 ←当記事
4.失敗例から学ぶ
5.パンが膨らまなかった時のリカバリー法
これらを全て読めば天然酵母パンマイスターになれますよ。
【目次】
1.ストレート法での天然酵母パンの焼き方
2.ストレート法でレーズン酵母パンを焼く
2ー1.こね
2ー2.1次発酵
2ー3.冷蔵庫で24時間後
2ー4.さらに冷蔵庫で24時間後(合計48時間経過)
2ー5.さらに常温で12時間経過
2ー6.成型
2ー7.2次発酵
2ー8.焼成
2ー9.ストレート法で焼いたレーズン酵母パンを試食
3.ストレート法でミント酵母パンを焼く
3ー1.こねと1次発酵
3ー2.HBで4時間後
3ー3.そのまま7時間放置
3ー4.成型
3ー5.2次発酵
3ー6.4時間半後
3ー7.焼成
3ー8.20分後
3ー9.さらに20分後(焼き始めから40分後)
3ー10.完成
3ー11.ストレート法で焼いたミント酵母パンを試食
4.ストレート法で焼くときの注意点
5.まとめ
6.動画で説明
ストレート法での天然酵母パンの焼き方
ストレート法は、元気な酵母液を作る事ができれば
こね→1次発酵→成形→2次発酵→焼成と進んでパンが完成します。
ストレート法でレーズン酵母パンを焼く
レーズン酵母液です。
瓶の蓋を開けたら溢れんばかりに気泡が出るほど元気な酵母液です。
この酵母液を使ってパンを焼きます。
酵母液の作り方は、酵母液の作り方(天然酵母パンその1)をご覧ください。
こね
【ストレート法で焼く天然酵母パンの材料】(1斤分)
酵母液 140ml
地粉 250g
砂糖 10g
塩 3g
油脂 10g
油脂というのは、バターかラードがおすすめです。
ホームベーカリーの容器に、全ての材料を入れます。
普通のパン生地コースをセットしました。
普通のパン生地コースは、ドライイーストを使って1時間でパン生地をこねて1次発酵まで完了するコースです。
ドライイーストを使えば1時間で1次発酵まで完了します。
天然酵母の場合、ましてストレート法の場合は、とても1時間では足りません。
これはとりあえず、パン生地をこねてもらうためのものです。
1次発酵
1時間経ち、パン生地コースが終わりました。
全く発酵は進んでません。
打ち粉をしてガラスのボウルにパン生地を入れました。
ラップをかぶせて一旦冷蔵庫に入れて1次発酵させます。
1次発酵は、30℃を超えるような暑い環境が理想的です。
当然ですが、温度が高ければ発酵時間は短くなり、温度が低ければ発酵にかかる時間は長くなります。
夏ならエアコンの効いてない暑い部屋に置いておくといいです。
冬なら暖房が効いている温かい部屋に置いておくといいです。
言うまでもないことを一応言っておきますが、例えば100℃を超えるとか、氷点下だとか、極端な温度では発酵が進みません。
気温は温かい方がいいですが、仕事や用事などがあり、すぐに手を付けられない場合は、冷蔵庫に入れておくといいです。
冷蔵庫に入れると発酵のスピードが、ほとんど止まったくらいに遅くなるので、冷蔵庫を活用するといいですよ。
冷蔵庫でも1日置いておけば一次発酵が完了する事もあります。
冷蔵庫で24時間後
ちょっと様子を見てみます。
もう1次発酵が完了した頃かと期待してましたが、全くでした。
さらに冷蔵庫で24時間後(合計48時間経過)
まだまだ全くと言っていいほど発酵が進んでません。
今度は常温で置いておきます。
さらに常温で12時間経過
やっと膨らみました。
これで1次発酵完了です。
1次発酵前と後で見比べてみましょう。
明らかに膨らみましたね。
常温で置いた12時間の気温の変化です。
最高気温が24℃程度の日の、朝7時から夜7時までの12時間です。
成形
台に打ち粉をしてパン生地を取り出します。
ちょっと細長くして、4等分にして丸め、5分程度ベンチタイムを取ります。
ベンチタイムというのは、しばらく生地を休ませる事です。
コッペパンみたいにしたくてちょっと細長く整形しました。
オーブン天板に並べました。
2次発酵
これを40℃のオーブンで90分2次発酵させました。
2次発酵前と後を比べてみましょう。
明らかに膨らみました。
焼成
これを170℃のオーブンで20分焼きました。
ストレート法で焼いたレーズン酵母パンを試食
ちょっと固いです。
これは、中力粉を使ったのですが、それがいけませんでした。
イーストで焼くなら中力粉でも膨らむのですが、天然酵母の場合は強力粉を使わなければいけません。
それはさておき、噛み締めると旨みと香りが広がる味わい深いパンです。
ほんのりレーズンの香りと、それだけでなく、酵母が醸し出すフローラルな香りも感じられます。
酵母が醸し出す香りというのが、この香りを楽しむのが、天然酵母パンの醍醐味です。
この香りも酵母によって変わるので、毎回違う香りを楽しむことができます。
また、天然酵母パンは何故か、パンを焼いてから日数が経つと風味が変化します。
どんなパンでも日数が経つと劣化して風味はおちますが、それは別の話。
日数経過による劣化は、トーストすれば済みます。
天然酵母パンは、それと違った風味の変化があります。
それを楽しむのも天然酵母パンの醍醐味です。
とは言うものの、天然酵母パンの風味の変化を楽しむために、何日もパンを置いておくのはおすすめできません。
天然酵母パンは、カビが生えやすいです。
すぐに食べない分は冷蔵か冷凍保存しましょう。
次は、強力粉を使ってふんわりと柔らかいストレート法での焼き方をご紹介します。
ストレート法でミント酵母パンを焼く
ミントで作った酵母液です。
冷蔵庫に入れてたので冷たいのに、蓋を開けたらシュワシュワーと炭酸の泡が弾けるくらいに元気な酵母液です。
こねと1次発酵
【ストレート法で焼くミント酵母パンの材料】(今回作った量)
酵母液 210ml
国産強力粉 400g
砂糖 15g
塩 4g
ラード(バターでも可) 15g
全ての材料をホームベーカリーにセットして天然酵母パン生地コースをスタートしました。
天然酵母パン生地コースというのは、ホシノ天然酵母を使って4時間でパン生地をこねて1次発酵まで完了するというコースです。
ホシノ天然酵母は、天然酵母界の超エリートですから、4時間で1次発酵まで完了できます。
今回のようなストレート法では、とても4時間では1次発酵まで完了できません。
HBで4時間後
少しは発酵してますが、まだです。
そのまま7時間放置
膨らみました。
7時間前と後で比較してみましょう。
一応膨らんでます。
7時間の気温の変化です。
だいたい25℃のあたりを推移してます。
成型
台に打ち粉をしてパン生地を取り出し、ガス抜きをしながら丸めました。
2次発酵
ダッチオーブンで焼きます。
ダッチオーブンに打ち粉をして、パン生地を入れ、パン生地の上にも打ち粉をしました。
蓋を閉め、このまま常温で置いて2次発酵させます。
4時間半後
蓋を開けて様子を見ます。
膨らみました。
2次発酵前と後で比較してみましょう。
明らかに膨らみました。
この4時間半の気温の変化はこのようになってます。
焼成
ダッチオーブンを火にかけます。
火力は弱火です。
まずはこのまま20分焼きます。
20分後
ダッチオーブンをひっくり返します。
この状態でさらに20分焼きます。
さらに20分後(焼き始めから40分後)
さあ、焼けた頃です。
火を止めてダッチオーブン本体を取り外してみます。
ちゃんと焼けてます。
なんと、蓋とパンがくっ付いて取れないので金属ヘラで無理やり剥がすことにしました。
ガリガリと金属ヘラでめくります。
取れました。
パン生地の上部にもたくさん打ち粉をしておけば、くっ付く事はなかったと思います。
完成
このようなパンに焼き上がりました。
スライスしてからいただきます。
ストレート法で焼いたミント酵母パンを試食
ふんわり柔らかく美味しいです。
ほんのりミントの香りが心地良いです。
そして、何故か分かりませんが、ミルクのような生クリームのような香りがします。
乳製品は全く使っていません。
おそらくミントの成分か、もしくは酵母菌がそんな風味を醸し出したのでしょう。
しっとり感もあります。
パン自体を大きく焼いて、それをスライスしていただいてるので、パンの中心部はしっとりしています。
とても美味しいパンになりました。
ストレート法で焼くときの注意点
ストレート法で焼くときの注意点は、とにかく1次発酵に時間がかかるという事です。
最初に焼いたレーズン酵母パンは、冷蔵庫で48時間と常温で12時間です。
合計で1次発酵に60時間かかっています。
冷蔵庫に入れていた時間をカウントしなくても12時間かかっています。
次に焼いたミント酵母パンは、HBの天然酵母コースが4時間と常温で7時間。
合わせて11時間かかっています。
このように1次発酵に長い時間がかかるのです。
ストレート法で焼くときはその事を念頭に入れておいてください。
そうでないと、こねたのに、ちっとも膨らまないといって諦めてしまう事になりかねません。
しばらく膨らまなくても諦めずにずに、じっくり待つ事です。
とは言っても、酵母液の力が弱ければいつまで経っても膨らまないです。
酵母液の状態によって、待てば膨らむ場合と、待っても膨らまない場合があります。
膨らむか膨らまないかの明確な境目はよく分かりません。
様々な要素が絡み合って、影響し合って、膨らんだり膨らまなかったりします。
だから、一概には言えません。
それで、1次発酵でちゃんと膨らめば、その後の2次発酵は必ず膨らみます。
そこは心配ありません。
という事で、ストレート法で焼くときは、1次発酵が完了するまでじっくり待つという事です。
待っても待っても膨らまなかったら、諦めて硬いパンを焼きましょう。
天然酵母パンの焼き方を全5回にてご説明します。
1.酵母液の作り方
2.元種法での焼き方
3.ストレート法での焼き方 ←当記事
4.失敗例から学ぶ
5.パンが膨らまなかった時のリカバリー法
まとめ
- 1次発酵は温かい環境で行うのが理想だが冷蔵庫に入れるという手もある。
- 天然酵母の場合中力粉で焼くと固くなってしまう事が多い。
- 酵母が醸し出す香りを楽しむのが天然酵母パンの醍醐味。
- 天然酵母パンは焼いてから日数が経つと風味が変化する。
- 天然酵母パンはカビが生えやすい。
- すぐに食べない分は冷蔵か冷凍保存する。
- ストレート法は1次発酵に時間がかかる。
動画で説明
動画では私が実演してます。
動画でしか表現できないこともあるので、併せてご覧ください。