
背脂クッキーの作り方
(豚の背脂から作ります)
豚の背脂からラードを作ってそれでクッキーを焼いてみます。
イギリスでは伝統的にラードでお菓子を作るレシピがあるし、沖縄のちんすこうもラードを使います。
ラードでクッキーを焼くというのは特別なレシピではありませんよ。
今回は、豚の背脂からラードを作り、それでクッキーを焼くので「背脂クッキー」と呼ぶことにします。
【目次】
1.まずは背脂からラードを作る
2.手作りラードはどんな味か
3.背脂クッキーの材料
4.背脂クッキーの作り方
5.背脂クッキーをいただく
6.バターとラードの価格差
7.イギリスでは伝統的にラードを使ったお菓子がある
8.現代の日本では?
9.まとめ
10.動画で説明
まずは背脂からラードを作る

豚の背脂を細かく切って

鍋でじっくり加熱すると、じわじわと脂が染み出してきます。

火を点けてから30分程度でラードが完成します。

ラードは冷やすとこのように白く固まります。
背脂からラードを作る方法について詳しくは以下の記事をお読みください。
手作りラードはどんな味か
自家製は精製してないから、油の味だけでなく、肉の旨味成分も混ざっています。
肉の旨味成分というのは、要するにポークブイヨンです。
だからこのラードを炒め物に使うと、ポークブイヨンを少し入れて炒めたのと同じですから、旨みが足されて美味しいのです。
売ってるラードは精製されてるから、味がスッキリしていて、脂のコクはありますが、旨み成分はありません。
お菓子作りに使っても、意外にも肉の旨味が美味しさとなります。
こういう手作りラードはお肉屋さんやネット通販でも手に入りますが、安くなかったりします。
安くても、内臓の脂が混ざっていたりして獣臭い場合もあります。
獣臭い脂は、お菓子作りに使うと、そのまま獣臭いお菓子になるので、とても使えたものではありません。
やはり自分で作るのが確実かと思います。
では、手作りラードを使ってクッキーを焼きます。
背脂クッキーの材料

【背脂クッキーの材料】(作りやすい量)
背脂から作ったラード 50g
砂糖 50g
米粉 120g
溶き卵 1個
私は一応グルテンフリーなので、小麦粉でなく米粉を使ってます。
なので小麦粉を使っていただいても構いません。
ラードは背脂から作らなくても売ってるラードでも大丈夫です。
背脂クッキーの作り方
ラードに砂糖・米粉・溶き卵を加え、その都度混ぜます。
混ざりました。
少し柔らかい生地です。
このままクッキー型でくり抜いて焼くというのは不可能な柔らかさです。
絞り袋で絞り出すにはちょっと硬い程度の柔らかさです。
だから冷やして切ります。
ラップで包んで棒状に整形して、冷凍庫に入れて1時間以上冷やします。
1時間冷凍して、ラップを剥がしたものです。
ちゃんと固まっています。
これを5ミリくらいの厚さに切ります。
オーブン天板にクッキングシートを敷いて並べ、170℃のオーブンで20分焼きます。
焼けました。
これで完成です。
背脂クッキーをいただく
では背脂クッキーをいただきます。
サクッとしてホロっと崩れます。
この食感は米粉を使ってるからです。
小麦粉の場合はグルテンによる結着力があるので、ホロっと崩れるような仕上がりにはなりません。
また、バターにも少し結着力がありますが、ラードにはほとんど結着力はありません。
だからラードで作るとサクッとホロっとした食感になります。
バターとラードの結着力の差は少しだけです。
それよりも米粉と小麦粉の結着力の差が大きいです。
米粉とラードという結着力の弱い素材を組み合わせているために、卵の結着力でクッキーとしての形を保持しています。
味は、美味しいです。
肉の香りは感じません。
肉の旨味も特に感じません。
旨味は隠し味程度の働きなのでしょう。
バターで作るとバター特有の香りが口の中を広がり、心地良い余韻がしばらく続ます。
ラードの場合は、その香りや余韻がなく、さっぱりしています。
軽くてスッキリしています。
バターに比べると薄っぺらい味と言えるかもしれません。
しかし十分に美味しいです。
バターとラードの価格差

今回使った背脂は100gあたり30円(税抜)でした。
100gの背脂からおよそ80gのラードが取れます。
だから、このラードは100gあたりの原価は約36円(税抜)です。
バターは最近また高くなりました。
近所のスーパーで雪印の加塩バター200g入りが579円(税抜)で売ってました。
バター100gあたり約290円(税抜)です。
この価格差大きいですよ。
バターが高いために焼き菓子を作る気が萎えたりする事がありますが、ラードで代用できればモチベーションアップになりますね。
イギリスでは伝統的にラードを使ったお菓子がある
産業革命以前の昔のイギリスでは。バターが非常に高価だったために、伝統的なラードを使ったお菓子のレシピがあります。
昔のイギリスの農村部では、豚を家畜として育てていたようです。
豚は雑食性だから、言い換えれば何でも食べるという事です。
人間の残飯、農作物の籾殻やふすま、豆のさやとかも食べてくれるそうです。
雑木林で放し飼いにしてるとドングリも食べるそうです。
要するに豚は放っておいても育ったのでしょう。
一方、乳牛の飼育は労働力や飼料の確保が難しく、バターは貴重品だったみたいです。
そして、ラードは身近なものだったのです。
こんなお菓子もラードを使って作ります。
こんなお菓子もラードで作ります。
パイ生地や、タルト生地や。クッキー生地をラードで作るのです。
他にも、菓子パンにもラードを使うものがあります。
現代の日本では?
日本ではバターが高価なために安い植物油脂で代用する商品が溢れるように売られてます。
私は植物油脂は身体に悪いと思っています。
だからそういうお菓子は買いません。
せめてラードで代用してくれたらいいのに、植物油脂の方がもっと安いですから、ラードが使われる事はあまりありません。
世の中は植物油脂パラダイスですよ。
原材料を気にするならやはり手作りするしかありません。
まとめ
- 手作りラードには旨味がある。
- 手作りラードは原価が安い。
- ラードでクッキーを作りのは簡単。
- 背脂クッキーはサクッとホロっとしてあっさり軽い。
- 昔のイギリスではパイ生地やタルト生地やクッキー生地や菓子パンにもラードを使った。
- 今の日本ではバターの代わりに植物油脂で代用してるパターンが多い。
- 原材料を気にするなら手作りするしかない。
動画で説明
動画では私が実演しております。
動画でしか表現できない事もあるので併せてご覧ください。