ウクレレのブリッジ故障をゼラチンで修理する方法
趣味でやってるウクレレのブリッジが剥がれてしまいました。
修理は、単純にブリッジを接着すれば済むのですが、接着剤に、あのゼリーを作るゼラチンを使う方法をご紹介します。
これは5000年以上昔から行われてきた木工技術を応用した物です。
そして、無事に修理できましたが、最後に衝撃の事実が発覚しました。
【目次】
1.ブリッジが剥がれる
2.楽器に木工用ボンドは使いません
3.楽器用の接着剤
4.今回使用する接着剤は?
5.修理開始
6.ゼラチンで接着する
6−1.1日経過
7.弦を張る
8.試奏するが…
9.弦を交換しました
10.衝撃の事実が!?
11.最後に思った事
12.動画で説明
ブリッジが剥がれる
ウクレレは、たまに弾く程度なのですが、久しぶりに取り出したら、こんなになってました。
ご覧の通り、ブリッジが剥がれています。
これでは、全く音が出せません。
接着しなければいけません。
ここの部分をナットと言いますけど、ナットも外れています。
ナットは、弦を張れば押さえつけられるので、頑丈に付ける必要はありません。
ちょっとくっ付ける程度で大丈夫です。
楽器が壊れてショックではありますが、実は、これ、5年前にも同じ事をやったことがあります。
その時は、真夏に炎天下の車の中にこれを置いてたのです。
高温の状況にさらされたから、楽器が壊れるのは当然です。
↓その時の記事↓
それを修理して、5年間大丈夫でした。
しかし今回は、ずっと家に置いてあったのに、壊れてしまいました。
また修理したいと思います。
楽器に木工用ボンドは使いません
普通、こういったものは、木で出来てますから、常識で考えると、木工用ボンドを付けたら良いのではないかと思いますけど、楽器の場合は、木工用ボンドは使いません。
木工用ボンドは、接着力は強いですが、固まったら弾力を持つのです。
固まった木工用ボンドは爪で押したら爪の跡が付くぐらいに弾力があります。
それの弾力が楽器にはいけないのです。
弾力があると、楽器の振動を吸収してしまうのです。
ウクレレの場合、弦を弾いた振動がブリッジからボディーに伝わり、ボディー全体が振動して、穴から音が前に出てくるようなイメージで音が鳴ります。
だから、ブリッジを木工用ボンドで接着すると、そこで振動を吸収するから、音が悪くなります。
楽器用の接着剤
楽器の接着には膠(にかわ)又はタイトボンドを使います。
これが膠です。
これは、5年前に同じようにブリッジが外れた時に、これを買って修理しました。
これは、画材屋さんで売ってます。
日本画で、何に使うのか知りませんが、とにかく日本画の画材として売ってるものです。
見た目はコーヒーシュガーみたいですね。
これは、動物の皮や骨から作られていて、主成分はタンパク質です。これをお湯で溶かして接着剤として使います。
5000年以上前の古代から木工に利用されてたみたいですよ。今では、ギターやヴァイオリンや、ウクレレなどの楽器の製作に使われてます。
膠で接着したものは、温めたり、お湯で剥がすことができるのです。
だから、真夏の車内のような高温の状況に置かれたら、楽器が壊れてしまいます。
そういう脆さもありますが、逆に楽器の修理や調整がしやすいという利点があるのです。
また、タイトボンドは、膠の性質を持った科学的に作られたボンドです。
水には溶けないのでお湯で剥がすことはできませんが、熱で剥がすことは出来ます。
今回使用する接着剤は?
膠の純度を高めたものがゼラチンです。
ゼラチンって、ゼリーを作るゼラチンですよ。
膠もゼラチンも基本的には同じ物です。
だから膠でゼリーを作ることも出来ます。
膠には不純物が含まれてるので、食品としては認められてません。
不純物を取り除いて純度を高め、食品となったものがゼラチンになります。
このブログは、料理のブログですから、今回は膠でなく、食材のゼラチンを使ってみようと思います。
と言うわけで、ゼラチンで楽器を直します。
修理開始
まずは、弦を外します。
この弦は、5年くらい使っていたので、これを機に新しい弦に変えようと思います。
こびり付いてる接着剤を剥がします。
ここに付いてるのは、前回修理した際の膠です。
濡れ布巾で拭くと、拭いてるうちに、膠がふやけて柔らかくなったので、爪で削り取ることができました。
最後は綺麗に拭き取ります。
次は、ブリッジ側も同じように濡れ布巾で拭き、爪で剥がします。
綺麗になりました。
ゼラチンで接着する
【接着剤の材料】
ゼラチン 5g
水 20ml
それでは、ゼラチンで接着剤を作ります。
ゼラチンをココットに入れ、水を加えて1分くらい置いてふやかします。
1分経ったところで、少し水を吸ってない部分があったので、その部分にも、ちょろっと水をかけてふやかしました。
それを600wの電子レンジで20秒加熱すると、トロトロの接着剤になりました。
これをまず、ブリッジの部分に塗り、次にボディーの部分にも塗ります。
そして、しっかりぎゅーっと押さえ付けます。
完全にブリッジとボディーが密着するまで押さえつけます。
ナットにも接着剤を塗り、くっ付けます。
はみ出した部分を拭き取っておきます。
そして、ブリッジの上に分厚い本でも置いて1日固定しておきます。
クランプで固定するのが理想ですが、そんな道具持ってないので妥協です。
1日経過
ちゃんとくっ付いてます。
接着剤が少しはみ出してますけど、まあいいでしょう。
ナットもちゃんと付いてます。
これで楽器は直りました。
弦を張る
楽器は直りましたけど、弦を張らないと音が鳴りませんからね。
こんな弦を買ってきました。
1540円(税込)とちょっと高めですけど、高い弦を買ってモチベーションを上げていこうと思いました。
まずは、オイルをスプレーして汚れを拭き取っておきます。
こういうメンテナンスは弦がない状態でしかできませんから、今のうちにやっておきます。
そして、弦を張るのですが、
ウクレレの弦を張るのは人生で2度目ですから、慣れない作業に手こずり、間違ったりやり直したりで、結局2時間くらいかかりました。
試奏するが…
そして、弾いてみましたけど、めちゃくちゃ変な音でした。
弦の選択を間違ったのではないかと思って、また違う弦に張り替えました。
弦を交換しました
弦を交換しました。
この弦は、フロロカーボンという釣り糸と同じ素材でできた弦です。
それで、弾いてみましたが、どうも納得のいく音にはなりませんでした。
衝撃の事実が!?
こんな変な音でどうしよう、もしかしたら修理の仕方がダメだったのかと思って、3日間悩んでました。
それで、3日悩んでやっと気づきました。
なんと1オクターブ低くチューニングしてました。
どうりで、締まりのない音だったんだ。
なんとレベルの低いミスでしょう。
ホンマに情けないですよ。
最初に張った弦は、捨ててしまいました。
あの弦も、チューニングを間違ってたから変な音だった訳で、あの弦は悪くなかったのに捨ててしまいましたよ。
勿体無いですけど、授業料と思えば安いですね。
1オクターブ高くする時は、弦に思ったより強いテンションがかかって、切れるんじゃないかってドキドキしましたよ。
また、ブリッジにも弦の張力がかかるから壊れるかもしれないと思ってドキドキしました。
けど、全然平気です。
結局、前よりいい音になりました。
これはモチベーション上がりますね。
最後に思った事
そんなわけで、途中から弦の交換の話みたいになってしまいましたが、一番言いたかった事は、ゼラチンでウクレレの修理ができるという事です。
無事に修理できて、音も前より良くなりました。
もしかしたら、膠よりゼラチンの方が純度が高くて音が良くなるなんて事があるかも知れません。
前はナイロン弦だったのを、フロロカーボン弦に変えたから、実際は弦の違いによる音の違いだとは思います。
もしかしたら接着剤の違いも影響してるかもしれません。
それとも、接着の仕方が良かったのかもしれません。
そう思いながら楽器を弾くと、また違った喜びがありますね。
そうやって、楽器というものは、メンテナンスしながら自分の音を作っていく楽しみがありますね。
そもそも、この楽器はめちゃくちゃ安い物なので、もっと高い楽器を買えば良い音が出せるでしょうけど、それは、私のお財布事情に合わせて楽しもうと思ってます。
音への追求は、突き詰めたらどこまでも終わりがありません。
いくらでもお金かけられますよね。
音だけじゃありません。
表現や技術だってどこまでも突き詰めていくものですよね。
私の場合は、表現や技術に関しては初心者なので、まだどこまでも突き詰めるレベルじゃないですけど、終わりはありません。
表現や技術に関しても、時間の許す範囲で磨いていきたいと思います。
動画で説明
動画では私が出演して熱く語ってます。
弾いてる音は動画でしかお伝えできないので、併せてご覧ください。