これは、
みりんを作る (仕込から経過編) で紹介した、みりんを布で濾した後に残った搾りかすです。
みりんの搾りかすの事を「こぼれ梅」と言います。
これを使って奈良漬を漬けてみようと思います。
奈良漬と言えば、瓜ですが、奈良漬用の瓜はあまり売ってないので、何処にでも売っている大根で漬ける事にします。
だいぶ水分が抜けました。
漬物にするには、これくらい水分が抜けているほうが美味しいのです。
あれ?
4等分したのに3つしかないぞ。
1つは何処へ行ったかな?
と思っていたら、その日の晩ごはんの、味噌汁の中に干した大根が入ってました。
「この大根、使っても良かったよね。」と妻。
あかんわ!!
さて、気を取り直して3つの干した大根を5%くらいの重さの塩で下漬けします。
3日くらいで、漬かりました。
干した大根でも、漬けると水分が出てきます。
そして、その水分は捨てます。
こぼれ梅500gに砂糖100gを混ぜて漬け床として、下漬けした大根を入れて、冷蔵庫で半年くらい漬けます。
う~む、漬け床の割合が多いなぁ、大根がもう1切れあればちょうどバランスが良いのになぁ。
こんにゃろうめ!
キュウリも一緒に漬けて、これでバランスよく漬かってます。
これを、冷蔵庫で半年間漬ける事にします。
漬けてから半年後
半年間漬けました。
美味しくなってるかな?
大根を1本取り出してみました。
ちょっと試食。
味は、アルコールの風味と甘味で、奈良漬っぽくなってますが、そんなに美味しくないです。
これは、味を改善しなければいけないなあ。
どうすればいいかな?
などと思っていた所、ちょうどナイスなタイミングで、名古屋土産に守口漬をいただきました。
守口漬とは、守口大根という1メートル以上にもなる細長い大根の奈良漬です。
これの味を手本にさせていただきます。
大和屋守口漬総本家のサイト↓
http://www.moriguchizuke.co.jp/
おいしいな~。
自家製とは味の深みが全く違う。
いったいこれは、どうやって作られているのだろうか。
そこで、守口漬けについて詳しく調べてみたら、だいたい以下のような事が分かりました。
何度も漬け換えることで、大根が柔らかくなり、漬け込む回数が多ければ多いほど、味がまろやかになり、美味しくなる。
そうか、私が漬けたものは、たった半年間しか漬けずに、一度も漬け換えてないので、そりゃぁ、美味しくなる訳がない。
それならば、自家製の奈良漬も、とりあえず漬け換えてみる事にします。
新たに漬け床を作ります。
酒粕 100g
砂糖 20g
みりん 10g
塩 3g
これに、守口漬の漬け床も少し混ぜました。
漬け換えました。
これで、あと1年半熟成と言いたいところですが、そんなに待ってられないので、3ヶ月くらい熟成して食べてみようと思います。
さらに3ヵ月経ちました。
漬け換えてから3ヶ月経ったので、食べてみる事にします。
大根の奈良漬。
味は、少し若いですが、正真正銘の奈良漬になっています。
美味しいです。
妻も美味しいと認めてくれました。
子ども達にも一切れ食べさせました。
センセーショナルな味だったみたいで、お酒の味がすると言って驚きながら食べていました。
まだ、味の良し悪しは分からないみたいです。
そして、お腹が熱くなったと言ってました。
半年漬けた時点で試食した時は、あんまり美味しくなかったのですが、その後、漬け換えた事によって味のレベルが劇的に上がったのだと思います。
こちらは、キュウリの奈良漬。
水分が抜けてぺしゃんこになっています。
新鮮なキュウリと比べてみればよく分かりますね。
キュウリの奈良漬。
味は美味しいです。
水分が抜けて縮んでしまったので、少し損したような気もしましたが、実が引き締まってコリコリして美味しいです。
さらに8ヶ月後(漬け始めてから1年半後)
最後の大根1本の存在を冷蔵庫の片隅に忘れたまま8ヶ月が経過しました。
漬けはじめから1年半なので、さらなる味の深みが期待できそうです。
1年半漬けた奈良漬。
実に美味しいです。
感動的です。
これぞ本当の奈良漬です。
1年半漬けて、ここまで来て本当に完成だと感じました。
最後に
奈良漬を漬けるのは難しくも何ともありません。
ただ必要なのは、途中で1回以上漬け換える事と、じっくりと時間をかけて1年半以上漬けておく事です。
今回は、冷蔵庫内で熟成させましたが、次回は、貴重な冷蔵庫のスペース開けるために常温で熟成させようと思います。
フリーザーバッグをピチッと密閉すれば、きっと常温でも大丈夫でしょう。
昔ながらの熟成発酵食品を仕込むのに、冷蔵庫という文明の利器を極力使わないで仕込みたいという美学もあるのです。