今回は、じゃがりこを手作りしたいと思います。
私にとってじゃがりこは、おやつを超えた、食事でした。
じゃがりこは、スナック菓子の割にあっさりとしていて、胃もたれしません。
じゃがりこにお湯を注げばポテトサラダになると言われてますから、ポテトサラダを食べるのとあまり変わらないのでしょう。
だから、じゃがりこは食事になるのです。
冗談を言ってるのではないですよ。
冗談じゃない証拠に、ずっと以前の独身時代の事ですが、一人旅にじゃがりこを携えて、本当に食事として食べてました。
あのカップ型の入れ物も優れています。
あの容器、持ち運びには多少かさばるのですが、軽いですし、雨に濡れても凹んでも、中のじゃがりこは、湿ることなくサクサクを維持して美味しくいただく事ができました。
アウトドアの過酷な環境にも耐えられる、食事にもなる優れたお菓子なのです。
そんなじゃがりこを手作りしてみましょう。
じゃがりこのレシピを考える
じゃがいも(遺伝子組換えでない)、植物油、脱脂粉乳、粉末植物油脂、食塩、乾燥にんじん、ミルクパウダー、パセリ、こしょう、乳化剤(大豆を含む)、調味料(アミノ酸等)、香料、酸化防止剤(V.C)
原材料は、ほとんどポテトサラダの材料と変わらないです。
ポテトサラダに少し添加物が入っている程度ですね。
作り方のイメージは、ポテトサラダをサクッと揚げたら出来上がりってな具合です。
とりあえず試作してみる
ゆでたジャガイモ(メークイーン) 100g
ゆでたニンジン 10g
マヨネーズ 15g
塩 1g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
パセリは、粉末パセリを作っておきます。
パセリを皿に広げて電子レンジで水分を飛ばします。
カラカラに乾きました。
指で押さえれば粉々に潰れます。
こうやって粉末にして適当な容器に入れて保存しておくと便利ですよ。
ニンジンは、みじん切りにしておきます。
全ての材料をボウルに入れて、ジャガイモを潰しながら混ぜます。
じゃがりこっぽくなって来ました。
手でじゃがりこ形に伸ばして、オーブン天板に並べます。
200℃で10分、180℃で5分、120℃で5分焼きました。
カルビーの工場では油で揚げていますが、自宅には油を切る道具が無いので、完成品が油ギトギトになるのではないかと思い、それを避けるために材料に油分であるマヨネーズを混ぜてオーブンで焼きました。
そうする事によって完成品に含まれる油の量を調節する事ができます。
じゃがりこ試作品第1弾。
じゃがりこそのものに見えますね。
美味しそうに見えますね。
しかし…
ふにゃっと軟らかい。
味は、いい線いっているのですが、サクサクしてません。
そこで、電子レンジで加熱して水分を飛ばしました。
水分は飛びましたが、少し焦げました。
それと、電子レンジで無理やり加熱して水分を飛ばしたので、味が悪くなりました。
これでは、じゃがりこと言えません。
気を取り直して第2弾と行きましょう
第1弾は、オーブンで焼きましたが、やはり揚げてみましょう。
揚げたらカリッと揚がるかもしれません。
また、ジャガイモは第1弾ではメークイーンを使いましたが、メークイーンは加熱すると焦げやすいみたいなので、男爵を使うことにします。
ゆでたジャガイモ(男爵) 100g
ゆでたニンジン 5g
片栗粉 10g
塩 0.5g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
完全に水分が飛ぶまで揚げようと思えば、油をたくさん吸い込んで、ギトギトベタベタになるので、完全に水分を飛ばす事は出来ませんでした。
揚がりました。
フライドポテトみたいに、外はサクッと中はホクッとした状態です。
このままでも十分に美味しいのですが、じゃがりこではありません。
結局水分を飛ばすために、電子レンジで加熱しました。
じゃがりこ試作品第2弾。
じゃがりこっぽいけど、最後に電子レンジで無理やり水分を飛ばしたため、味が落ちました。
それから、油っこくなってしまいました。
カルビーの工場では遠心分離機のような機械で油を切っているのでしょうか?
自宅には油を切る機械はありませんので、クッキングペーパーで油を吸い取りましたが、油っこいです。
これでは、じゃがりことは言えません。
続いて第3弾
じゃがりこの、あのサクサク食感を出すためには、如何にして水分を飛ばすのかが鍵になりそうです。
今度は、焼く前に乾燥させてから、その後に焼いてみます。
ゆでたジャガイモ(男爵) 200g
ゆでたニンジン 10g
片栗粉 20g
サラダ油 20g
塩 1g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
材料を混ぜて、整形したものを、3つの方法で乾燥させてみます。
1つは、冷凍庫で乾燥させます。
もう一つは、冷蔵庫で乾燥させます。
さらにもう一つは、常温で…
ベランダにて乾燥させます。
そして
これは2日間ベランダで乾燥させたものです。
最初は77gだったものが36gになりました。
重量比で53%の水分を飛ばした事になります。
それでは、これを焼いてみます。
200℃で6分120℃で4分焼きました。
200℃は温度が高すぎました。
おかげで少し焦げました。
乾燥の度合いによってオーブン温度を調節する必要がありそうです。
じゃがりこ試作品第3弾その1、ベランダ乾燥版。
ちょっと固いです。
ボリボリ食感のじゃがりこになりました。
乾燥させた時に縮んだため、密度が濃くなり固くなってしまいました。
味は美味しいのですが、これはじゃがりこではありません。
こちらは冷蔵庫で2日間乾燥させたもの。
93gだったものが、59gになりました。
重量比で37%の水分を飛ばした事になります。
それでは、これを焼いてみます。
160℃で5分120℃で8分焼きましたが、まだ若干水分が残っています。
乾燥が足りなかったのでしょう。
水分が残っているという事は、サクサクではありません。
ふにゃっとモチッとした食感です。
これの水分を飛ばしたとしても、乾燥によって縮んでますから、ボリボリ食感になるでしょう。
という訳で、冷蔵庫乾燥版も、いまひとつの出来栄えでした。
これは、冷凍庫で4日間乾燥させたものです。
最初は72gだったものが57gになりました。
重量比で21%の水分を飛ばした事になります。
しかし、4日乾燥させても21%とは、乾燥のペースが遅すぎて研究が進みません。
50%以上の水分を飛ばすには2週間くらいかかりそうです。
しかし、冷凍での乾燥が一番期待できます。
いわゆるフリーズドライ食品に近い状態になるので、水分が抜けても、縮むことなく中に細かな空洞ができて、それを焼くとサクサク食感になるのではないかと期待されます。
だから、気長にこれが乾燥するのを待ちましょう。
では、違ったアプローチでまた試作(第4弾)
こんな物を買ってきました。
フレーク状になったポテトで、水分ゼロです。
普通は、お湯又は牛乳で戻してから料理します。
これを使えば水分を飛ばす工程を省略できて、簡単にじゃがりこが完成するのではないでしょうか。
男爵いものマッシュポテト 20g
ゆでたニンジン 5g
サラダ油 10g
塩 0.5g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
材料を混ぜます。
水分が無くパサパサで、生地がまとまりません。
仕方なく熱湯20gを加え混ぜました。
それでも少しパサパサです。
無理やりパサパサの生地を棒状にまとめました。
そして、160℃のオーブンで10分焼いた後、オーブン温度を120℃に下げて10分焼きました。
じゃがりこ試作品第4弾。
さて、お味は?
ポテトの味は、じゃがりこに近いです。
と言いますのも、素材となる男爵いものマッシュポテトは、カルビー製品ですからね。
そして、サクサクしています。
サクサクと言っても、じゃがりこのサクサクとは違います。
口に入れたらホロッと崩れて、口の中で細かい粒がサクサクしている感じです。
それよりも、何よりも、男爵いものマッシュポテトを水で戻していない為に、粉っぽいです。
この、粉っぽさは大きなマイナスです。
これを解消するには水分をたっぷり加えて戻してから練って焼かなければいけませんが、そんな事するのだったら普通のジャガイモを使った方が良いですね。
これを試食した妻が、「試作品第1弾が一番良かった。」と言いました。
いろいろ作ったけど、確かに、そうかも知れないなぁ。
もう一度、原点に戻って、試作してみます。
では、原点に戻ってまた試作(第5弾)
試作品第1弾では、ジャガイモを茹でたのですが、茹でるとジャガイモが水を吸い込んで水分が多くなります。
だから、アルミホイルで包んでオーブンで焼くことにしました。
こうすると、水分を吸う事がありませんので、第1弾よりも水分を減らす事が出来ます。
焼いたジャガイモ(男爵) 100g
焼いたニンジン 5g
マヨネーズ 10g
塩 0.5g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
全ての材料を混ぜます。
160℃のオーブンで10分焼いた後、オーブン温度を120℃に下げて10分焼きました。
それでも結局水分が残っていたので、電子レンジで水分を飛ばしました。
じゃがりこ試作品第5弾。
お味は?
う~む。
いい線いってるけど、第1弾とあまり変わりません。
やはり電子レンジで無理やり水分を飛ばしたから味が悪くなってます。
どうやら電子レンジで水分を飛ばす方法は、味が落ちるのでやってはいけないみたいです。
さて、冷凍庫で乾燥させているものはどうなっているでしょうか。
これは、冷凍庫で8日間乾燥させたものです。
最初は72gだったものが49gになりました。
重量比で32%の水分を飛ばした事になります。
しかし、まだです。
せめて焼く前に50%以上の水分を飛ばしておきたいところです。
ところで、こんな情報を得ました。
に
『じゃがりこ』はどのようにして作られるのですか?家でも同じように作ることはできますか?
という質問があり、その回答として、家で作るのはむずかしい旨と以下の製造工程を表す画像が使われていました。
この製造工程の画像は、私にとって欲しい情報がたくさん詰まっています。
これによると、「1原料をスライスして蒸す」と書いてあります。
私はジャガイモを茹でたり焼いたりしてましたが、これからは蒸す事にします。
また「4形を整える」ところてんのように生地を押し出し、スティック状に整えます。と書いてあるので、この方法も採り入れようと思います。
それから、生地を焼く(揚げる)前に乾燥させるという方向が間違ってなかった事も分かりました。
では、以上を踏まえてまた試作(第6弾)
蒸したジャガイモ(男爵) 100g
蒸したニンジン 5g
マヨネーズ 10g
牛乳 10g
塩 0.5g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
全ての材料を混ぜます。
混ぜた生地を絞り袋に入れます。
適当な太さに絞り出しました。
80℃のオーブンで乾燥させます。
80℃のオーブンで3時間乾燥させたら127gの生地が44gになりました。
重量比で66%の水分を飛ばした事になります。
適当な長さに切って160℃のオーブンで4分焼いた後、オーブン温度を140℃に下げて4分焼きました。
結構いい感じに仕上がりました。
サクサクしてますよ。
ちょっと細く仕上がったため食べ応えが弱いので、もう少し太く仕上げた方が良さそうです。
という訳でまた試作(第7弾)
先ほどと同じ要領で少し太く絞りました。
80℃のオーブンで4時間乾燥させました。
適当な長さに切って140℃のオーブンで4分焼いた後、オーブン温度を120℃に下げて8分焼きました。
じゃがりこ試作品第7弾。
かなりイイ感じ。
サクサクポリポリしています。
これで満足していいかも知れない完成度ですが、本物のじゃがりこのような硬くて軽いサクサク感ではありません。
けれど、もう十分に研究したから、これで満足しても良いんじゃないですか。
いや、ダメだ!
しかし、これ以上のアイデアが思い浮かばない。
いや、待て!
アイデアというのは無いところから搾り出すのだ!
しかし…
もう搾り尽くしたよ…
そんな時、9歳の息子が「アイスクリームのように空気を混ぜたら軽くなるんじゃないの。」と提案してきました。
おお!その手があったか!
アイスクリームは、生クリームに泡立てた卵を混ぜて冷やして作ります。
泡立てた卵に含まれる空気の粒がアイスクリームをふんわり柔らかくしてくれるのです。
もし、アイスクリームに空気が混ざってなければカチカチの固まりになってしまいます。
その要領で、じゃがりこ生地に空気を含ませたら軽やかなサクサク感を作り出す事ができるのではないでしょうか。
じゃがりこの原材料に卵は入っていないので、じゃがりこ生地に泡立てた卵を混ぜる訳にはいきませんが、じゃがりこ生地自体を泡立て器で混ぜて、ふんわりしたじゃがりこ生地を作ってみようではありませんか。
では、また試作(第8弾)
蒸したジャガイモ(男爵) 150g
蒸したニンジン 7g
マヨネーズ 15g
牛乳 20g
塩 0.7g
コショウ 少々
粉末パセリ 少々
材料を混ぜてじゃがりこ生地を作りました。
これを泡立て器で混ぜます。
ところが!
いくら混ぜても、じゃがりこ生地が泡立て器の中に入り込んで、ちゃんと混ざりません。
頑張っても、じゃがりこ生地が入り込んだものを回しているだけです。
もうやめじゃ~!!
後になって冷静に考えると、もう少し牛乳を加えるなどして生地を柔らかくすれば、混ざったかもしれませんが、この時の私はキレました。
じゃがりこ生地に冷蔵庫に余っていた野菜を刻み、片栗粉30gを加え、混ぜます。
適当に丸めて、フライパンで焼きます。
ジャガイモのお焼きになりました。
外はカリッとして中はモチモチしているので、我が家では、ポテ餅と呼ばれる料理です。
こっちの方が美味しいやないか!!
こちらは家族に好評で、瞬く間に売り切れました。
しかし、じゃがりこ研究は行き詰ったのでありました。
最後の望み、冷凍庫で乾燥させたやつはどうなったのでしょう
冷凍庫で11日乾燥させて最初は72gだったものが42gになりました。
重量比で42%の水分を飛ばした事になります。
水分が飛んでも軽くなっても、最初の形から縮む事無く順調に乾燥が進んでいます。
やはりこれは期待できます。
もうしばらく乾燥させてから焼く事にします。
最後のじゃがりこ実験
これが最後の望み、じゃがりこ生地を整形して、冷凍庫で乾燥させたものです。
冷凍庫で26日乾燥させて、最初は72gだったものが27gになりました。
重量比で63.5%の水分を飛ばした事になります。
もう十分に乾燥させる事が出来たと思います。
軽くなったけど、生地の大きさは縮んでません。
じゃがりこ生地に含まれていた水分が凍り、結晶となり、それが蒸発したことにより、じゃがりこ生地内に無数の細かな空洞ができたと思われます。
それがサクサク食感になってくれれば良いのですが、果たしてどうでしょうか。
これをオーブンで焼きます。
160℃で5分焼いてから、オーブン温度を140℃に下げて5分焼いてから、オーブン温度を120℃に下げて2分焼きました。
じゃがりこ試作品最終版
では、いただきます。
パクッ!
おっ?
おおっ?
何やこれ?
口に入れた瞬間に、ホロッと崩れて溶けていきます。
歯で噛まなくても崩れて溶けていきます。
驚きの口溶け食感です。
味は、じゃがりこではなく、東ハトのポテコに似てます。
予想外の新食感を開発してしまいましたが、全くじゃがりこではありませんでした。
結論
じゃがりこを食べたければ、お店で買いましょう。
手作りであの食感を再現するのは一筋縄ではいきません。
カルビーの企業努力の賜物なんですね。